人工呼吸管理は、呼吸不全になった原疾患が改善するまでの間、呼吸状態を維持するために 必要な管理です。
ですが、陽圧換気や高濃度酸素投与は、様々な合併症リスクとなるため早期に呼吸器から離脱することが望ましいとされています。
今回はSATやSBTに加えて、抜管前ステロイド投与や離脱時の呼吸補助デバイスなど、早期の人工呼吸器離脱を目指す上で最低限知っておくべきポイントを端的にAntaa Slide にまとめました。
適切な時期での人工呼吸を離脱を目指して、一緒に学んでいきましょう。
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以下、スライドの文章まとめです。URL等参考にしていただれば幸いです◎
【人工呼吸器離脱】SAT・SBT・抜管前ステロイド投与のまとめ
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目次 ①SAT/SBT ②リークテスト ③抜管時呼吸補助デバイス ④抜管前ステロイド
目次 ①SAT/SBT ②リークテスト ③抜管時呼吸補助デバイス ④抜管前ステロイド
長期人工呼吸管理は合併症リスク↑ 早期の離脱を意識した評価が必要 スライド画像)オンライングラフィックツール『Canva』より 人工呼吸関連肺炎 (VAP : ventilator-associated pneumonia) 人工呼吸関連肺障害 (VILI: ventilator-induced lung injury) ICU-AW (intensive care unit-acquired weakness)
人工呼吸器離脱の客観的評価 SAT/SBT スライド画像)広島大学病院 演者作成 ●SAT: spontaneous awaking trial ・鎖静薬を中止または漸減し、覚醒が得られるか評価 ・麻薬などの鎮痛薬は中止しない ➡人工呼吸による苦痛を最小限に ●SBT: spontaneous breathing trial ・抜管に耐えうる自発呼吸が適切に得られるかを評価 ・自発呼吸による呼吸機能が十分であれば抜管
SAT・SBTの大まかな流れ 引用)日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会・日本クリティカルケア看護学会の3 学会合同人工呼吸器離脱ワーキング https://www.jsicm.org/pdf/kokyuki_ridatsu1503b.pdf
SAT開始基準 スライド画像)広島大学病院 演者作成 【SATの開始が不適当な状態】 ・痙攣やアルコール離脱症状のため鎖静薬を持続投与中 ・興奮状態が持続し,鎖静が増加している ・筋弛緩薬を使用している ・24時間以内の心筋虚血 ・頭蓋内圧の上昇 ・臨床的な医師の判断 参考)日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会・日本クリティカルケア看護学会の3学会合同人工呼吸器離脱ワーキング https://www.jsicm.org/pdf/kokyuki_ridatsu1503b.pdf 志馬伸朗, 編著 ER・ICU 100のスタンダード 中外医学社
SATの評価 ●観察時間は30分~4時間程度 ●RASSなどの鎮静スケールを用いて覚醒の程度を評価 不安・興奮・疼痛が著しくないこと 頻呼吸・低酸素血症・新たな不整脈が出現しないことを合わせて確認 引用)日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会・日本クリティカルケア看護学会の3 学会合同人工呼吸器離脱ワーキング https://www.jsicm.org/pdf/kokyuki_ridatsu1503b.pdf
SAT評価項目・成功基準 スライド画像)広島大学病院 演者作成 成功基準は以下の①と②がともにクリアできた場合 ① RASS-1~0 ② 鎮静薬を中止しても以下の状態とならない ・興奮状態 ・持続的な不安状態 ・鎮痛薬を使用しても痛みをコントロールできない ・頻呼吸(呼吸数≧35回/分 5分以上) ・SpO2<90%以上が持続し対応が必要 ・新たな不整脈の出現 参考)日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会・日本クリティカルケア看護学会の3学会合同人工呼吸器離脱ワーキング https://www.jsicm.org/pdf/kokyuki_ridatsu1503b.pdf 志馬伸朗, 編著 ER・ICU 100のスタンダード 中外医学社
SBTの評価 ●CPAPモードヘ変更 ●FiO2≦0.5 PS≦5cmH2O PEEP≦5cmH2O の条件とすることが一般的 ●観察時間は、一般的に30分-120分程度 30分と120分の観察時間を比較した研究結果では 再挿管率・ICU内死亡率・院内死亡率に有意差なし ➡基本的には30分観察するだけで十分 引用)Perren A, et al.: Intensive Care Med. 2002: 28(8) : 1058-63.(4) SBTに伴う横隔膜筋疲労は回復までに約24時間を要するといわれている実施は基本的に1日1回 引用)Travaline JM, et al. : Am J Respir Crit Care Med. 1997: 156(5): 1562-66.
SBT開始基準 スライド画像)広島大学病院 演者作成 ①酸素化が十分である FiO2≦0.5 PS≦5cmH2O PEEP≦5cmH2O でSpO2>90% ②血行動態が安定している 急性の心筋虚血がない・心拍数≦140 昇圧剤に依存している(DOA>5γ、DOB>5γ、NAD>0.05γ) ③十分な吸気努力がある 一回換気量>5ml/kg・分時換気量>5L/分・RSBI<105 呼吸性アシドーシスがない(pH>7.25) ④異常呼吸パターンを認めない 呼吸補助筋の過剰な使用がない・シーソー呼吸(奇異性呼吸)がない ⑤全身状態が安定している 発熱がない・重篤な電解質異常を認めない・重篤な貧血を認めない 重篤な体液過剰を認めない 参考)日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会・日本クリティカルケア看護学会の3学会合同人工呼吸器離脱ワーキング https://www.jsicm.org/pdf/kokyuki_ridatsu1503b.pdf 志馬伸朗, 編著 ER・ICU 100のスタンダード 中外医学社
Rapid shallow breathing index (RSBI) の評価も大切 スライド画像)広島大学病院 演者作成 RSBI=呼吸回数(rpm)÷一回換気量(L) ●30分後に測定されたRSBI 105以上:高い感度・特異度でSBT失敗を予測 引用)Meade M, et al. :Chest.2001: 120 (6 suppl): 400-24S.
SBT評価項目・成功基準 スライド画像)広島大学病院 演者作成 ・呼吸数<30回/分 ・SpO2≧94%、PaO2≧70mmHg ・心拍数<140bpm ・新たな不整脈や心筋虚血の徴候を認めない ・過度の血圧上昇を認めない ・以下徴候を認めない(SBT前の状態と比較) 1. 高度な呼吸補助筋の使用 2. シーソー呼吸(奇異性呼吸) 3. 冷汗 4. 重度の呼吸困難感、不快感、不穏状態 参考)日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会・日本クリティカルケア看護学会の3学会合同人工呼吸器離脱ワーキング https://www.jsicm.org/pdf/kokyuki_ridatsu1503b.pdf 志馬伸朗, 編著 ER・ICU 100のスタンダード 中外医学社
目次 ①SAT/SBT ②リークテスト ③抜管時呼吸補助デバイス ④抜管前ステロイド
リークテスト ●抜管前に、チューブ抜去後の上気道の浮腫や狭窄 が発生する危険性があるかどうかを評価 抜管当日でなくても上記の項目に該当しており、数日中に抜管が可能な臨床経過が想定される場合は、あらかじめリークテストの実施を考慮 【カフリークテストの適応症例】 長期挿管>3日 女性 大口径の気管チューブ(男性:≧ID 8.0 女性:≧ID 7.0) 挿菅操作に難渋した 外傷 参考)日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会・日本クリティカルケア看護学会の3学会合同人工呼吸器離脱ワーキング https://www.jsicm.org/pdf/kokyuki_ridatsu1503b.pdf 志馬伸朗, 編著 ER・ICU 100のスタンダード 中外医学社
リークテストの手順 スライド画像)広島大学病院 演者作成 1.誤嚥を防ぐため、口腔内・カフ上・気管吸引を十分に行う 2.調節呼吸(A/C: assist control)とする 3.カフを入れた状態で吸気呼気のVt1を人工呼吸モニターを 用いて測定・記録する 4.気管チューブのカフを抜く 5.患者の呼吸状態が安定したところで、連続6呼吸サイクルの 呼気Vtを人工呼吸モニターを用いて計測・記録する 6.上記の値の低いほうから3測定値の平均値Vt2を算出する 7.カフリークボリューム「Vtl1- Vt2」を算出する 参考)日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会・日本クリティカルケア看護学会の3学会合同人工呼吸器離脱ワーキング https://www.jsicm.org/pdf/kokyuki_ridatsu1503b.pdf 志馬伸朗, 編著 ER・ICU 100のスタンダード 中外医学社 カフリークボリューム≦110ml➡上気道浮腫(カフリーク陽性) 陽性の場合…抜管を延期しステロイド投与を検討
目次 ①SAT/SBT ②リークテスト ③抜管時呼吸補助デバイス ④抜管前ステロイド
⼈⼯呼吸器離脱後のHFNC/NPPV装着の適応 ●NPPV/HFNC を予防的に適用することで 再挿管のリスクを減げることが目標 再挿管のタイミングを遅らせないために過度のサポート条件を避ける 導入早期(<l時間)における観察と再挿管適用判断を行うことが大切 引用)志馬伸朗, 編著 ER・ICU 100のスタンダード 中外医学社
目次 ①SAT/SBT ②リークテスト ③抜管時呼吸補助デバイス ④抜管前ステロイド
リークテスト ●抜管後上気道閉塞のリスクが高い患者に対して 再挿管率を下げるために予防的にステロイド投与を検討 メチルプレドニゾロン(20mg) ×4時間毎点滴静注(計60mg) 抜管予定8時間前に投与開始 【抜管前ステロイド投与の適応】 36時間以上挿管管理が行われた15歳以上の患者 以下の適応基準のいずれかを満たす場合 ・気管挿管時に挿管困難(2回以上の挿管企図) ・抜管後上気道狭窄の既往 ・カフリークボリューム≦110ml以下or 一回換気量と比較し25%以下 ・咽喉頭疾患あリ(上気道および頸部術後・上気道外傷・熱傷など) ※除外基準:NSAIDsやステロイドの慢性使用患者 消化管潰瘍患者 参考)日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会・日本クリティカルケア看護学会の3学会合同人工呼吸器離脱ワーキング https://www.jsicm.org/pdf/kokyuki_ridatsu1503b.pdf 志馬伸朗, 編著 ER・ICU 100のスタンダード 中外医学社 引用) Francois B, et al. :Lancet. 2007: 369: 1083-9.
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