輸液耐性(Fluid tolerance)という言葉をご存じですか?
これ以上輸液したら呼吸状態がきつくなる…という実臨床の感覚を用語化した概念のことです。
輸液耐性について総論的に解説した論文がありましたので、輸液療法の周辺知識と合わせてまとめてみました。
自分自身、まだ色々とつかみ切れていない概念だと感じていますので、
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皆様とインタラクティブに理解を深められればと思っています!
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スライドの見どころ
輸液耐性(Fluid tolerance)という言葉の概念や総論的な内容を理解することができます。
周辺知識である輸液反応性などの蘇生輸液についての知識も合わせて学ぶことができます。
本スライドの対象者
内容
輸液耐性(Fluid tolerance)という言葉をご存じですか?
これ以上輸液したら呼吸状態がきつくなる…という実臨床の感覚を用語化した概念のことです。
輸液耐性について総論的に解説した論文がありましたので、輸液療法の周辺知識と合わせてまとめてみました。
自分自身、まだ色々とつかみ切れていない概念だと感じていますので、
スライド内容に関してのご意見や修正点などありましたら是非コメントなどでご連絡いただければ幸いです。
皆様とインタラクティブに理解を深められればと思っています!
参考文献
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Kattan E, et al. J Crit Care. 2022 Oct;71:154070. PMID: 35660844
スライド本文
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本日の論文 ~輸液耐性(Fluid tolerance)~ Kattan E, et al. J Crit Care. 2022 Oct;71:154070. PMID: 35660844.
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背景 ●蘇生輸液のトレンド ・輸液反応性を指標とした輸液負荷 ・輸液のフェーズに合わせた輸液制限 過剰輸液によるうっ血・臓器障害を避ける 図引用)Girish P Joshi, et al Up To Date® Intraoperative fluid management last updated Apr 15,2022
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体液過剰(Fluid overload) (入院後体重/ベースラインの体重×100)-100 = %FO %FO>10→体液過剰と定義
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背景 ●過剰輸液は明らかに害である一方で… ・輸液反応性では静脈系のうっ血に伴う臓器障害 への影響は判断できない ・輸液反応性がある症例でも、輸液に伴いうっ血に伴う 臓器障害が進行する可能性もある ・輸液療法のリスクとベネフィットのバランスを見る フレームワークが必要 輸液耐性(Fluid tolerance)という概念
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輸液耐性(Fluid tolerance)とは ●臓器障害を来すことなく、輸液療法に耐えられるかどうか の程度・範囲を表す ●輸液反応性と体液過剰(Fluid overload)の間の領域における 治療判断に役立つ可能性がある 体液過剰 臓器還流
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各用語の特性 de-resuscitation:利尿薬あるいは腎代替療法を用いて水分バランスの均衡化を図る手段
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輸液耐性の決定因子 ●複数の要素で規定 ・不変:年齢・併存疾患・初療での循環不全の重症度 ・可変:初期蘇生輸液戦略・血管外漏出・血管内皮障害・炎症 ●各臓器によって輸液耐性は異なる ・多くの臓器において初期段階では早期認知は困難 ・臓器障害を疑うスコアリング(SOFAなど)の上昇 →既に明らかな臓器障害が進行した後期の段階 正味の水分過多量を計算するだけでなく うっ血に伴う初期の臓器障害の兆候を探ることが大切
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輸液耐性を臓器別に評価 ●確認項目 病歴・身体所見・X線・エコー ●特に注意すべき臓器 ①肺 酸素需要・Bline(肺エコー)PCWP・左房圧 ・PCWPは感染症や炎症があれば肺血管外漏出の程度が大きく、うっ血の 閾値は心不全に関する文献で登場する18mmHgを下回ることが多い ・現状の呼吸補助の程度によって、次の治療介入が必要な可能性を考慮 例1)経鼻酸素3-4L/min…ある程度の輸液療法に耐えうる? 例2)高いFiO2でNPPV…気管挿管の可能性が非常に高い?
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輸液耐性を臓器別に評価 ②循環器系 輸液反応性・Dshape・RV:LV比・拡張機能不全 ・臓器灌流・DO2の維持を目的とした輸液反応性の指標が開発 →循環不全の組成段階では輸液反応性がなくなるまで輸液療法を達成す ることがエンドポイントとなってきた ・古典的な身体診察・聴診所見→体液過剰の極期を示す ・エコー(慢性的な形態異常・拡張障害・左/右心室収縮不全・脾静脈) で詳細な評価を ・輸液耐性の予測因子になりうる動的検査 人工呼吸器管理中の自発呼吸中に陽圧換気を解除した際のCVPの変化 →CVPの急激な上昇(2分間)はweaningの失敗と関連
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輸液耐性を臓器別に評価 ③中枢神経系 ・脳は非伸縮性で頭蓋内に存在…静脈圧上昇に脆弱である可能性 例)腹部コンパートメント症候群(ACS)が頭蓋内圧上昇に影響を及ぼす →腹部の減圧が頭蓋内圧の低下と関連しているという報告あり ・輸液過多はせん妄などの認知機能障害と関連する報告あり ④腹部 ・膵炎、外傷、イレウスなどによってACSが起こりうる ・ACSに伴う臓器障害の報告は多数 →身体所見や臨床経過で疑った場合は躊躇せず腹腔内圧を測定し管理を
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輸液耐性を臓器別に評価 ⑤腎臓 ・敗血症性ショックの場合、前負荷の不足と感染症による臓器障害により 急性腎障害を来す ・感染による臓器障害➡腎機能低下が水分過多につながる可能性がある ・乏尿やCreの上昇…腎障害の後期の表現型 →エコーやストレスバイオマーカーなどを活用して早期認知を
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係 実臨床で問題になるパターン 輸液反応性のみで輸液療法の是非を判断すると害になる
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係
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補足 VExUS 引用)https://www.pocus101.com/vexus-ultrasound-score-fluid-overload-and-venous-congestion-assessment/
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係
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実臨床での輸液反応性と輸液耐性の関係 同一症例であっても、臨床経過において 輸液反応性・輸液耐性は変化しうる
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不確実な領域と今後の研究 ●過剰輸液による臓器障害の正確なメカニズムは 明らかになっていない ・静脈圧上昇による局所駆動圧低下に起因した微小循環不全 ・臓器特異的な後負荷の増大に起因した臓器還流低下 ●輸液耐性のリスク、CVPの推定、エコーによる評価は より合理的な治療戦略を決定するための機会の窓となりうる
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不確実な領域と今後の研究 ●輸液耐性の判断指標、臨床的転帰との関連、スコアリング システムの構築などが今後の研究課題 ●研究によって実臨床での意思決定プロセスに 輸液耐性を組み込む →各症例ごとの『最適な輸液療法』の実践に繋がり 組織灌流の改善、うっ血による臓器障害を回避できるか
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私見 ●これ以上輸液したら呼吸状態がきつくなる…という実臨床の 感覚を用語化した概念 →明確に輸液が必要、または不必要という評価だけでなく、 その中間にいる症例の評価分類をすることで輸液療法を 最適化することができる ●どの症例でも臨床経過によってパラメータは変化しうる 臨床経過と合わせてより積極的、頻回に再評価すべき ●腎臓エコーや門脈エコーによる体液過剰の評価はほとんど 経験がないため、もっと学びたい