医学ノート

気管切開のタイミングは早期に行うべき?待機的に行うべき?

【疑問】

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今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、

気管切開のタイミングは早期に行うべき?待機的に行うべき?

についてまとめました。

臨床の現場でも、判断に迷ってしまうポイントだと思います。

双方のメリット・デメリットについて改めて学んでみましたので興味があればぜひご一読を◎

1.気管切開のメリット・デメリット

気管切開のメリット・デメリット1)

【メリット】

●口腔内を清潔に保てる 感染のリスク↓
●呼吸仕事量の減少
●鎮静・鎮痛薬が減量できる
●病棟管理が容易になる

【デメリット】

●手術時の合併症(出血・感染・気胸)
●術後後期の合併症
(無名動脈損傷・気管ー腕頭動脈瘻)

気管切開のメリット・デメリットについて、まずはまとめてみました。

上気道のクリアランス低下そのものが気管切開の適応となることからもわかるように、口腔内の清潔が保てる点や、呼吸仕事量を減らすことができるのはメリットと言えます。

鎮静薬が減らせるのもICUなどでの集中治療領域の観点から見ると望ましいポイントですね。

一方で、気管切開は一定の侵襲を要する処置であることから、処置に伴う合併症については考慮しておかなければなりません。

2.気管切開を考慮するタイミング

【気管切開を考慮するタイミング】2)

●2-3週間以上の長期人工呼吸管理の後

●長期の気道確保が必要と考えられる時

日本集中治療学会専門医テキスト他、成書を参考に気管切開を考慮するタイミングについて調べてみると、上記のようにまとめられています。

また、その他のポイントとしては初めから長期人工呼吸が必要と判断された時には初期に施行されるということです!

これは患者さんそれぞれの病態や神経学的な予後を推定して判断されるものなのですが、一方でその見極めは難しい事も多いのが現状です。

3.早期の気管切開が推奨される理由

【早期の気管切開が推奨される理由】3)

●人工呼吸器からの離脱が早い
●ICU在室日数が短い
●早く鎮静薬を中止できる
 早期に有効なリハビリの介入が可能

 ※十分なエビデンスがないという意見も

気管切開を早期で行うことで得られるメリットについて考えてみますと、上記のように気管切開を行うことで得られるメリットと似ていることがわかります。

注意点としては生命・神経学的予後に差はないかもそれないということや、肺炎リスクの減少のエビデンスは不十分であるとの記載がありました。

早期気管切開によるメリットについて、いくつか文献を読んでみた内容について簡単に紹介させていただきます。

早期の気管切開で鎮静薬は減量4)
早期 vs 慢性期(15日以上)  RCT研究結果

(上:ミダゾラム 下:プロポフォール)

このグラフのように、早期での気管切開群のほうが、鎮静薬が減らせていることがわかります。これは臨床の現場でも同様のトレンドを感じることは多いと思いますのでご理解いただきやすいかと思います!

近年のICU管理で重要視されているPADISガイドライン(成人ICU患者に対する鎮痛・鎮静・せん妄管理ガイドライン改訂版)でも、

●早期より浅鎮静
●早期のリハビリテーション
●早期に離床

が強調されていますので、早期気管切開は近年のICU管理のトレンドにあっていそうといえます。

早期の気管切開で長期死亡率も低下5)
早期(4日以内) vs 慢性期(10日間以降) RCT研究結果

長期死亡率の低下(OR 0.83)

気管切開による長期予後について言及された文献です。

このように、早期の気管切開によるメリットとして、長期死亡率の低下が示されています。一方で当研究のDiscussionとしては、本当は気管切開が不要であった患者さんが含まれている可能性もあるということに言及されていました。

当記事でも前半で記載した、気管切開の適応の見極めはやはり難しいといえそうですね。

早期の気管切開による利点が多いように感じられる一方で、患者さんに不要な侵襲を与えている可能性もあることに配慮することが大切です。

4.  まとめ

●気管切開を行うことで呼吸仕事量の減少や
 鎮静薬の減量が期待できる

●早期気管切開が望ましいという意見もあるが
 それぞれの患者さんに合わせて適応を考慮

以上が今回の記事のまとめになります。それぞれの患者さんの状態をしっかりと把握して、ニーズに合わせた対応を心がけましょう◎

5.引用文献

1)Laryngoscope2008;118:1597–60

2)日本集中治療学会専門医テキスト

3)J Neurosurg Anesthesiol.2014 Crit Care.

4)Trouillet JL,et al.Ann Intern Med. 2011 Mar 15;154(6):373-83.

5)Trouillet Hosokawa K, et al Crit Care. 2015 Dec 4;19:424

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