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【疾患】大動脈解離のまとめ【随時更新中】

大動脈解離

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今回は救急外来で遭遇する疾患の中でも緊急性が高い疾患の一つ、大動脈解離についてまとめました。

初療での行動パターンはスコアリングや分類で大きく異なってきます。また手術適応の場合は行わなければならないことも漏らさず行う必要があります。

1.ポイント

●5 killer pain全てを鑑別に挙げておきながら初療!
 とにかくABCDの確保は最優先

●ADDスコアによって初療のフローが異なる

●大動脈解離では以下の3つがあれば100%大動脈解離,2つ以上陽性なら83%陽性!
 ①裂けるような痛み
 ②痛みの移動(血管に沿って)←心筋梗塞との鑑別ポイント
 ③胸部X線で上縦隔拡大

●診断後は安全に手術室へ送り届ける
 鎮痛・高圧・HRコントロールを漏らさずしっかりと

2.治療方針

●ADDスコアによる対応

 

 

 

●ガイドラインに沿った治療フローチャート

3.疫学・症状

●50-70歳の男性に多い

●StanfordA・Bによってきたしやすい症状の頻度は異なる

●大動脈解離の10%程度は失神を認める2)

【大動脈解離の片麻痺】
○Stanford A型大動脈解離の3割で神経症状を呈する
○大動脈解離全般においては神経症状の合併率は17-40%
①胸部大動脈解離が総頸動脈まで進展
②血栓有利による動脈原性塞栓症

4.原因

●動脈硬化、高血圧、Malfan症候群など血管惰弱性をきたす特徴的な既往

5.分類

①解離の範囲による分類

Stanford分類:入口部の位置に関係なく、解離の範囲のみ(上行大動脈を含むか)で分類
A型:上行大動脈に解離があるもの
B型:上行大動脈に解離がないもの

DeBakey 分類・解離の範囲と入口部の位置で分類
Ⅰ型:上行大動脈に入口部があり弓部大動脈より末梢に解離が及ぶもの
Ⅱ型:上行大動脈に解離が限局するもの
Ⅲ型:下行大動脈に入口部があるもの
Ⅲa型:腹部大動脈に解離が及ばないもの
Ⅲb型:腹部大動脈に解離が及ぶもの

②偽腔の血流状態による分類

偽腔開存型:偽腔に血流があるもの。大部分の偽腔が血栓化していてもULP(潰瘍様突出)から長軸方向に広がる偽腔内血流を認める場合を含む

ULP型:偽腔の大部分に血流を認めないが、入口部近傍に限局した偽腔内血流(ULP)を認めるもの

偽腔閉塞型:三日月形の偽腔があり、入口部(ULPを含む)および偽腔内血流を認めないもの。偽腔開存型よりも予後は良好

6.問診・診察のポイント

●解離部位によってきたす症状を解剖で理解

 

 

●脈の欠如、脈の強さの左右差、血圧の左右差はなくても否定できないがあれば強く疑う!

●胸痛+神経学的局在所見はそうでないとわかるまで大動脈解離と考える!

●基礎疾患の問診も重要
ADDスコア:各カテゴリーにおいて1つ以上のリスクマーカーを有する場合は1点として計算

7.検査

【検査】
●エコー
ベッドサイドで行う検査としてエコーは必須
フラップや心嚢液貯留が明らかな症例は、決して多くない

●採血
Dダイマーの感度は大動脈解離では非常にいい。陰性でも否定はできない(特にin-tramural hematomaタイプ)

●造影CT
・ADD risk scoreを評価し、2項目以上に該当した場合には、施行すべき検査は造影CT検査
・基本的に診断がつくことが多い

8.具体的治療

●Stanford Aは手術が必要であり心臓血管外科にコンサルト,Stanford Bは保存的治療だがStanford Bでも腸管などの臓器血流が阻害されているとき,破裂時,疼痛コントロールできないときは手術が必要。心臓血管外科にコンサルト。

●ADDを診断後、手術までに必要な管理
・救急・時間外での大動脈解離の加療は疼痛管理および血圧・脈拍管理が中心。
・ショック状態でなければまずはβ遮断薬で脈拍を60回/分以下まで下げ,疼痛コントロール。
・血圧は120mmHg以下を目標に点滴の降圧薬で下げる。
降圧薬は特に決まりはないが,救急外来ではニカルジピンが使いやすい(5~15mg/時)。血圧の左右差があるときは高いほうの血圧を目標までコントロールする。

【薬剤選択】
firstはβB
※オノアクトでレート↓(血圧下がりにくく、半減期も早い)
※ビソノテープ…安いし10時間程度続くけど効くのが遅いし剥いでもすぐは弱まらない
※インデラル(プロプラノロール)…血圧が下がりやすいβブロッカー

second CCB
※ニカルジピン…頻脈になりやすいのに注意!血圧は下げやすい。昔は脳卒中では禁忌だったが現在はまず本剤を検討

※ジルチアゼム…脳外科で使われやすい降圧薬 血圧を下げるのはマイルドだし、頻脈性不整脈にも使える

※ベラパミル…心臓に作用して頻脈に効きやすい

9.引用、参考文献

大動脈解離 ガイドライン 2018
Hagan G, et al. JAMA. 2000;283:897-903.
Adam M, et al. Circulation. 2011;123:2213-2218.
Nazerian P, et al. Circulation. 2018;137:250-258.
林先生「もう困らない救急・当直」ver.3
Carenet 【救急診療の基礎知識】坂本壮先生 作

 

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