この意識障害の患者さんには髄液検査が必要なのかな…?そしてどんな検査項目をオーダーしたらいいのだろう…?
救急外来にけいれんしている患者さんが搬送されてきた…どのように対処すればいいんだろう?
これらは脳神経内科領域の、日々ERで後輩や同僚と仕事をする中で感じる悩みや疑問点です。
私自身は脳神経内科領域の疾患に強い苦手意識があり、常々もっと勉強しないといけないなと思い悩んでいました…
そんな脳神経内科の初学者のニーズを満たすのがこの一冊。2021年に登場した初版を購入したときの感動は今でも忘れません。
初版からの改訂がなされ、ついに2024年に第二版が登場しました。
こちらは、さらに初学者に寄り添った素敵な一冊となっておりました。こちらの改訂を踏まえた感想も余すことなくレビューしていきたいと思います。
本書を読むことで
今後脳梗塞やけいれん、髄膜炎疑いの患者さんに救急外来で出会ったとしても自信を持って対応することができます!
今回研修医を始めとした脳神経内科の初学者が読むべき一冊として自分が自信をもっておすすめするのがこちらです👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専門医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています。
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
医学生から後期研修医・看護師
【推定読了期間】
6-7時間程度
です。初学者でも理解しやすい平易な表現で書かれているため、行き詰まることなく読みすすめることができます。
2.本書の特徴
本書は、山本大介先生が執筆された一冊で、特徴は以下のように紹介されています。
【本書の特徴】
●脳梗塞,認知症,てんかん,パーキンソン病,しびれなど,プライマリケア領域や救急で遭遇する脳神経内科領域の主要疾患について,神経診察や画像診断のポイントなど,実際に現場で使える知識や診断テクニックを中心に,研修医や非専門医に向け著者の豊富な経験をもとに平易な言葉でわかりやすく“最短距離”で書かれた“みんなの”ための一冊.
引用)http://www.chugaiigaku.jp/item/detail.php?id=3532
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること(一例)】
●病歴から脳梗塞の病型を推定する
●意識障害の髄膜炎疑いの患者さんの妥当な診察方法
●けいれん患者さんの適切な鎮静と抗けいれん薬管理
これらは非専門医でも理解しておくべき、脳神経内科領域のプライマリ・ケアに必要な知識であり、今後何かに進んでも役に立つ知識だと思います。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
本書の特徴はなんと言っても、脳神経内科を初めてローテする初期研修医などに徹底的に寄り添った、初学者に優しい一冊であるということです。
これだけSNSや情報共有サービスで医学の学びが簡単に受け取れる現代、新しいガイドラインの改定や医師向けの情報はネット上にたくさんあふれています。
しかし、それらの情報は一つ一つの情報はとても分かりやすくまとまっていますが、あくまで断片的なものとなっています。
それぞれの分野の普遍的な知識を持たないまま、この最新の情報だけをつまみ食いしていても、現場で活かせる、知識にはなりません。
これらの最新の情報を有機的につないでくれているのが、この書籍のような初学者向けの書籍です。
情報を有機的につなげることで知識になります。
知識は何年立っても色褪せることがなく、普遍的に使えるものばかりです。
そして、この知識というものは著者の何度も繰り返される試行錯誤の結果として生み出された結晶でもあります。
医師がつまずいてしまうところや疑問を持つところを、自分自身の経験や後輩教育の中で学んだものを結晶化してくれているのです。
いわば、この書籍は脳神経内科の学びにおける取扱説明書のようなものだと感じます。
この取扱説明書をあらかじめ読むことで、みんなが陥りやすいピットホールをあらかじめ知っておくことができ、実臨床の現場や臨床研修でより高いレベルでの試行錯誤をすることができる。
そんな知識を提供してくれる書籍は、本当に貴重だし、絶対に必要だと思うのです。
初版の出版から3年の時を経て、視認性が高くなったデザインや表現の揺れの修正で、より読みやすくなっています。
そして追加された内科的脳梗塞診療の具体的な実践や、分かりにくい脳炎のフローに沿ってシンプルに理解する項目に関しては、一から学び直すことができ、とても勉強になりました。
特に脳炎に関しては、そもそもアウトラインがぼんやりしていることが、非専門医にとっては多く、脳炎を疑う状況や鑑別の流れというものがわかっていないところも多かったので、とても勉強になりました。
今後、専門家とディスカッションする上での素養となる知識が身につきました。
全体を通して、本のページ数も多すぎる事なく完結にまとまっているので、苦痛を感じることなく通読することができます。
初学者にも理解しやすいようシンプルで文面も優しく、著者がいかに丁寧に脳神経内科領域の基礎知識を解説しようとしているのかが伝わってきます。
それぞれの症候や疾患における、具体的な処方例などの記載もあり実践的な知識を学ぶことができます。今後医師として診療に当たる上で一生活用することができる知識を学ぶことができる一冊なのではないでしょうか。
最もよいターゲット層としては、脳神経内科ローテ中の指導医の横で診察を見ている研修医だと思います。また、救急科専攻医や内科専攻医で日々脳神経内科領域の疾患の診察に当たる必要がある若手医師にもオススメの一冊です。
一方で、あくまで個人的な印象ではありますが気になった点としては、実際に専門医の先生方と薬剤選択などについて議論する際には、もう少し他の専門書を使って知識を付ける必要があると感じました。
ですが、初学者の導入本としての役割を十分に果たす素晴らしい良書だと思います。
これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、私は
本書は脳神経内科の初学者必読の一冊である!
と感じました。
第二版も楽しんで読ませていただきました。この度はご贈呈いただき本当にありがとうございました。
脳神経領域の診察や腱反射といった、神経内科で必要な身体診察について学びたい方はこちらの一冊もオススメです👇
4.おすすめの学び方【Antaa Slideを活用しよう!】
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●まずは半日くらい時間を作って通読!
●Antaa Slideに掲載されている、山本大介先生のスライドを活用して知識をより深める!
個人的におすすめの使い方をご紹介します!
本書で学ぶべき知識についてさらっと全体を学んでいきましょう。
そのあとは、本書の執筆者である山本大介先生がAntaa Slideに掲載されている本書の元にもなっているスライドを参考にしながら、勉強をするとより理解が深まると思います!
本書の内容と似ており、初学者がぜひ学ぶべき項目が網羅されているAntaa Slideをいくつかご紹介させていただきます👇
1)まずはここから!脳梗塞の臨床病型診断入門
【PC用】
【スマホ用】
脳梗塞の診断のための、入門知識が学べるスライドです。皮質症状や発症経過が突然か、症状は進行しているのか、などの最初に理解すべき知識が網羅されています。このスライド内容を理解できると、病歴聴取のレベルが格段にUPすることでしょう◎
2)頭部MRIを自信を持ってプレゼンする7 Rules
【PC用】
【スマホ用】
頭部MRIを、なるべく平易に、上手にプレゼンする方法を学べるスライドです。専門医の先生方が実際に使用する用語を実例とともに学ぶことができるので、明日からのプレゼンにすぐに活かせる知識を学ぶことができます。
3)手堅い、無菌性髄膜炎診療。
【PC用】
【スマホ用】
診断に自信が持ちにくい無菌性髄膜炎診療の、知識の整理のためのスライドです。
プライマリ・ケアの現場でも経験する、無菌性髄膜炎の適切かつ無難なマネジメントを身に着けて、手堅い診療ができるように学んでいきましょう。
4)ERでの非専門医のためのけいれん・てんかん診療ストラテジー
【PC用】
【スマホ用】
ERでのけいれん・てんかん診療を学ぶためのスライドです。非専門医でも理解しておくべき、検査や治療のストラテジーを学習することができます。
この他にも学習に有用なスライドがたくさん投稿されています!
これらのスライドを通じてインプット、そして後輩や同僚にこのスライドを利用してアウトプットすることでより確実で忘れない知識を手に入れましょう◎
5.まとめ
【本書のまとめ】
本書は脳神経内科の初学者必読の一冊である!
まとめると、本書は脳神経内科領域について、わかりやすく学ぶことができる研修医や若手医師には本当におすすめの一冊です。
この一冊を通じて学ぶことで、
今後脳神経内科の先生方にコンサルトする時に、共通言語となる知識をみにつけることで良好なコミュニケーションを取ることができます!適切なコンサルトを刷ることもできるようになることでしょう。
今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
【基本情報】
タイトル:みんなの脳神経内科
著者:山本 大介
出版社:中外医学社
発行年月日: 2021/5/24
【ターゲット層】
医学生から後期研修医・看護師
特に脳神経内科の初学者や苦手意識がある方におすすめ
【本書の種類】
通読系・目次系
【推定読了期間】
5-6時間程度
【本書の特徴】
●著者が研修医や非専門医向けの豊富なレクチャー経験をもとに執筆
●脳神経内科領域の主要疾患の神経診察や画像診断のポイントを解説!
●実際に現場で使える知識や診断テクニックが中心ですぐに実践できる!
●平易な言葉でわかりやすく“最短距離”で脳神経内科を学ぶための“みんなの”ための一冊!
引用)http://www.chugaiigaku.jp/item/detail.php?id=3532
【本書で学べること】
●病歴を中心とした脳梗塞の病型の推定
●意識障害で髄膜炎を疑う際の妥当な診察方法
●けいれん患者さんの適切な鎮静と抗けいれん薬管理
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●まずは半日くらい時間を作って通読!
●実臨床で活用してみたいポイントを自分なりにまとめておく!
●Antaa Slideに掲載されている著者のスライドを併用しより理解を深める!
【本書のまとめ】
本書は脳神経内科を最短距離で学びたい初学者は必読の一冊である!
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