【疑問】
今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、
Murphy徴候とは?臨床的な感度と特異度は?
についてまとめました。
国家試験やCBTでも学ぶことの多い有名な所見ですのでしっかり押さえておきましょう◎
1.胆嚢炎で見られる症状
まずは、胆嚢炎で見られる身体所見についておさらいしたいと思います。
胆嚢炎において、右季肋部痛は典型的な症状で、タイミングとしては脂肪の多い食品を食べた食後や夜間に起こることが多いといわれています。
なかでも右肩への放散痛が有名で、随伴症状としては発熱、吐き気、嘔吐、食欲不振などが起こることがあります。
また、主に胆管炎で強調されることの多いCharcot三徴や、これらにショック+意識障害を加えたReynolds五徴は、急性胆道系感染を疑う症状として有名です。
中でも黄疸及び発熱は胆管炎のガイドライン上の診断機序の項目にも含まれているため、
しっかりと押さえておきましょう👇
●胆道系感染(特に胆管炎に関して)
Charcot三徴(発熱、黄疸、右上腹部痛)が有名
これらにショック+意識障害を加えたのがReynolds五徴
しかし、これらの症状を認める場合でも、救急外来であれば想起しなければならない疾患がいくつかあります。救急外来でのマネージメントを合わせた鑑別疾患についてはこちらの記事で学ぶことができます👇
2.胆嚢炎において有名なMurphy徴候
胆嚢炎において有名なMurphy徴候についてより詳しく学んでいきましょう。
そもそもMurphy徴候とは、仰臥位で深吸気時に右季肋下部を圧迫すると、疼痛のために呼吸が止まってしまう身体所見のことです。
胆嚢に炎症がある場合に認められる所見といえます。
1800年代にアメリカの医師John Benjamin Murphy先生が発見した、昔よりある身体診察でありますが、
手技が簡便である点や、感度や特異度の観点から現代の医学においても有用とされています。
胆嚢炎の診断ガイドラインの項目にも含まれています👇
具体的な感度と特異度についてですが、
肝胆道シンチグラフィーによって診断した胆嚢炎において、感度は97%、特異度は48%であったという報告があります2)
一方で、高齢者の場合は感度48%、特異度79%と、感度が下がるという報告もあります3)
Murphy徴候については、時に肺炎や肝膿瘍など、胆嚢炎以外の疾患でも見られることもしばしばあるので、
一対一対応で丸暗記すると誤診につながる可能性があるので注意です!
最後に、Murphy徴候についての解説動画がありましたので紹介させていただきます。
たった50秒で視聴できる、とても分かりやすい動画なので興味があれば是非見てみてください!
百聞は一見に如かずですね👇
3.参考ページ・医学ノート
4.引用文献
1)「急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018」(急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン改訂出版委員会/編),医学書院出版,2018
2)Correlation among clinical, laboratory, and hepatobiliary scanning findings in patients with suspected acute cholecystitis.SOSinger AJ, McCracken G, Henry MC, Thode HC Jr, Cabahug CJ Ann Emerg Med. 1996;28(3):267.
3)Murphy’s sign, acute cholecystitis and elderly people. Adedeji OA, McAdam WA J R Coll Surg Edinb. 1996;41(2):88.
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