医学ノート

右上腹部痛の鑑別疾患は?【胆嚢炎・胆管炎との鑑別を中心に】


 

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今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、

右所腹部痛の鑑別について 胆嚢炎・胆管炎の鑑別に気をつけることは?

についてまとめました。

胆嚢炎及び胆管炎との鑑別を要するような、

右季肋部痛や発熱を認める疾患は多岐にわたるため救急外来のシチュエーションで注意すべきポイントを考えながら鑑別していきましょう◎

 

1.何が何でも急性腹症の除外から!

●まずはとにかく急性腹症の除外!

詰まった、ねじれた、破れたに注目すべし!

【病歴キーワード】

突然発症や徐々に増悪する疼痛 いままでと性状の異なる疼痛

【身体所見】

板状硬や反跳痛など

 

胆嚢炎及び胆管炎との鑑別を要するような、右季肋部痛や発熱を認める疾患は多岐にわたるため、

救急外来ではまず緊急手術を要する汎性腹膜炎や消化管穿孔といった急性腹症や頻度が高い疾患を想起することが大切です1)。

急性腹症を疑う問診としては、

突然発症や徐々に増悪する疼痛、いままでと性状の異なる疼痛

などがキーワードとして挙がります。

身体所見としては板状硬や反跳痛などを確認するのを忘れないようにしましょう!

胆嚢炎でも反跳痛を認める場合があります。腹膜炎の有無については反跳痛を認める範囲についても注目するのを忘れずに!

2.次に頻度の高い疾患を想起!

次に一旦、胆嚢炎・胆管炎の腹痛の特徴をまとめてみます。

【胆嚢炎】

右季肋部痛および右肩への放散痛が有名

随伴症状としては発熱、吐き気、嘔吐、食欲不振など

脂肪分の多い食品を食べた食後や夜間に起こることが多い

【胆管炎】

Charcotの3徴(発熱、黄疸、右季肋部痛)が有名

これらにショック+意識障害を加えたものをReynolds五徴と呼ぶ

この3徴すべてを認めるのは胆管炎患者のうち50-75%程度

これらは教科書的にも有名なものばかりですね!

これらの特徴をしっかりと念頭においた上で鑑別を進めましょう◎

 

まず、鑑別疾患の中で最も頻度の高い疾患は胆石疝痛です。

日本人の胆石保有率は1000万人を超えるといわれており2)、

胆石を保有する患者のうち年間1-4%が胆石疝痛を起こすといわれています。

そのうち20%が急性胆嚢炎を発症し中でも胆石を保有する患者のうち、胆石疝痛の既往がある方が胆嚢炎を引き起こす可能性が高いとの報告があります3)ので、まずは胆石についてエコーなどを用いて検査を行いましょう。

胆石を生じやすい特徴5Fについても入念に問診が必要ですね!👇

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鑑別疾患として想起される急性胃腸炎については随伴症状出現の経過を意識することが大切で、典型的な胃腸炎は嘔吐、腹痛、下痢の順で症状が出現します

腹痛を自覚したのち嘔吐をしている場合はまずは胃腸炎以外を念頭に鑑別を進めましょう。

コモンな鑑別疾患のなかでも注意すべきなのは急性膵炎です。

膵炎は胆管炎に合併することも多く、背部痛の有無や飲酒歴について問診に加えてアミラーゼやリパーゼなどの血中膵酵素の測定を行うことも重要ですね!

いづれも消化器疾患の鑑別は腹部診察の身体所見が重要となります。

胆嚢炎・胆管炎において特徴的なMurphy徴候についてはしっかりと学んでおきましょう👇

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3.若い女性の胆嚢炎…?

最後に忘れがちですが意外と遭遇する可能性が高い疾患についてです。

若い女性の発熱、右季肋部痛といえばどんな疾患を想起しますか??

想起しないと問診し忘れるあの疾患、Fitz-Hugh-Curtis症候群(肝周囲炎)です!

若い女性の発熱を伴う右季肋部痛では、淋菌やクラミジアによるFitz-Hugh-Curtis症候群(肝周囲炎)を疑います。

性交歴を聴取し可能性が高いと判断すれば、膣培養の提出を考慮しましょう!

その他誤診しやすい疾患としては、可能性脊椎炎などの脊椎疾患があり、採血所見上はALPの上昇も見られるのがヒントとなるでしょう。

また体動に伴う疼痛や、脊椎殴打痛がある場合は脊椎疾患の可能性が上がりますね。

 

最後に、胆嚢炎及び胆管炎との鑑別を要する疾患を表にまとめましたので是非参考にしてみてください👇

〔表〕急性胆嚢炎・胆管炎との鑑別疾患

分類 疾患名
胆道系疾患 胆石疝痛,oddi括約筋の収縮不全
肝疾患 肝膿瘍,急性肝炎, Fitz-Hugh-Curtis症候群(肝周囲炎),Budd-Chiari症候群,門脈血栓症
消化器系疾患 急性/慢性膵炎,上部消化管穿孔,胃潰瘍, 汎発性腹膜炎
その他の疾患 急性心筋梗塞,胸膜炎,肺炎

4.引用文献

1)「急性腹症診療ガイドライン」医学書院出版

2)「急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018」医学書院出版

3)Friedman Gary D et al : The American journal of surgery 165:399-404、1993

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