今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、
ECPRとは? そしてECPRはどんな時に適応になるのか?
についてまとめました。
ECPRの簡単な説明や、論文をベースに適応やエビデンスについてまとめていきたいと思います。
1.ECPRとは?
●ECPR
難治性のCPAに対してVA-ECMO(PCPS)による蘇生を行うこと
ECPRとは、上記のようにBLS・ACLSを適切に実施しても蘇生しない
難治性のCPAに対してVA-ECMOを導入することです。
心肺停止の対応において何よりも大切なBLS・ACLSについてはコチラ👇
ECPRについて学ぶ上で、まず前提として知っておかなければならないのは、
VA-ECMOはあくまで一時的なつなぎであり、
次の改善策あるいは回復までのブリッジである
という事です。
すなわち、ECMOは生命を維持する装置であり、
治療をするデバイスではないことを念頭に話を進めていきます。
2.ECPRの導入基準
日本が世界に向けて発信した、院外心停止のECPRの有効性を調べたSAVE-J研究の導入基準をお示しします。
この基準は世界でもECPRの導入基準として一定の評価を得ております。
適応基準の各項目を見ていただいたらわかるように、
心停止からECMOの作動(Full flow)までの時間(下図の1-3まで)が極めて重要視されていますです。
一般的に、心停止から45-60分以内のFull flowを目指すべきといわれています。
これは、ECPR導入後の様々な神経学的予後を推定する論文において裏付けされている数値であり、これらの背景となっている論文について興味がある方は以下の論文を是非読んでみてください👇
心停止から60分を超えると予後不良
Chen YS, Chao A, Yu HY, Ko WJ, Wu IH, Chen RJ, et al. Analysis and results of prolonged resuscitation in cardiac arrest patients rescued by extracorporeal membrane oxygenation. J Am Coll Cardiol. 2003;41:197–203.
40分以内の導入で神経予後良好
Yukawa et al. Scandinavian Journal of Trauma, Resuscitation and Emergency Medicine (2017) 25:95
このように導入を急ぐ必要のあるECPRですが、最も大切なのは
どれだけECMOの導入を急いでも、BLSやACLSをおろそかにしない
という事です。
まずは基本に忠実に蘇生を行うことが大切ですね。
3.引用文献
https://dancing-doctor.com/2020/08/19/ecmo-handbook/
●INTENSIVIST Vol.5 No.2 2013 (特集:ECMO) 2013/4/17 讃井將満
●ECMO実践ハンドブック〜世界標準の成人ECMO管理 2020/2/10 Alain Vuylsteke
●SAVE-J ガイドライン
●ELSO Guideline ver1.3
●Laussen PC and Guerguerian A-M (2018) Establishing and Sustaining an ECPR Program. Front. Pediatr. 6:152.