臨床で最も重要な検査の一つである、血液ガス分析。
今回は、血液ガス分析にある程度慣れてきた方におすすめの一冊をご紹介します。👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.ターゲット層
「ある程度血液ガスの評価に慣れてきたぞ…!楽勝だな!」
「あれ、pH正常なのにやけに上級医は焦っている…なんでだろう…」
これらは実際に研修医2年目時代に著者が血液ガス分析について思っていたことです。
血液ガス分析は大変有用な検査であるため臨床でもよく施行される検査ではありますが、
仕事に慣れてきてしまうとその所見の解釈をおろそかしてしまいがちです。
その際に最も怖いのは、
検査所見から判断すれば緊急の医学的介入が必要なのに
その介入が遅れてしまうこと
です。
例えばpHが正常だから大丈夫と判断していても、
その背景には緊急で介入しないといけない
代謝性アシドーシスが隠れている事もあります。
適当に血液ガスを読んでいると、普段あまり気にすることのないCOの値をチェックせず、
高CO血症に対する高濃度酸素投与が遅れてしまうことも…
意外と落とし穴が多く解釈の難しい血液ガス分析は、
慣れてきたと思ってもより深く研修医が学ぶべき重要項目の一つです!
そんな血液ガス分析を深く学べる本書のターゲット層および推定読了時間はこちら。
ターゲット層は、
初期研修医2年目(興味があれば1年目後半でも)
推定読了期間は
3-4時間程度
ここまで記事に書いてきたような、
複雑そうな血液ガス分析の基本を網羅的にかつとても分かりやすく
学べるのが本書です。
しかも推定読了時間をご覧ください。
3-4時間です。
時間や値段も含め、一回夜の飲み会を我慢するだけ
で基本をマスターできてしまうんです。
なんと素晴らしく、恐ろしい一冊なのでしょう…笑
2.本書の特徴
本書は、
米国呼吸器内科専門医資格を所持し、日本やアメリカを含む世界各国でご活躍されている
田中竜馬先生が、
臨床で血液ガス分析を評価する際の様々な武器や概念を、一癖ある症例ベースに
深くそしてわかりやすく学ぶことが出来ます。
●妊婦や肝硬変の患者さんは呼吸性アルカローシス(なぜかわかりますか?)
●室内気のABGをゲットしたら、A-aDO2をチェック!
3.個人的総評
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
前作同様のかなりの高評価となってしましました…笑
血液ガス分析を深く丁寧に学ぶという観点においては
間違いなく完璧な一冊であるという結論に至りますので
今回の評価は満点とさせていただきました。
4.おすすめの使い方
●まずは一度固まった時間を数時間確保して、一気に通読する
●臨床で出会う血液ガスの検査所見を、本書で学んだ手順で何度も解釈する
●血液ガス分析に慣れてきたころにもう一度通読する
研修医二年目や後期レジデントになって再度通読すると、
4.まとめ
通読系・講義形式
●血液ガスの読み方を短時間でマスターできる人気セミナーの内容を書籍化したい
●慣れてきたからこそ迷う解釈、現場の判断をより詳しく学びたい
●血液ガスから複雑な病態を紐解く、血液ガスが読める楽しさを味わってほしい
●pO2↓でRR↑なのにpCO2→:呼吸筋疲労?挿管考慮
●妊婦や肝硬変の患者さんは呼吸性アルカローシス(なぜかわかりますか?)
●室内気のABGをゲットしたら、A-aDO2をチェック!
(この計算を怠る研修医が多すぎます…)
●代謝性アシドーシスを見たら、浸透圧ギャップ・補正AG・尿AGまで意識
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
【まとめ】
本書は血液ガス分析を深く学ぶ上で必ず一読すべき一冊である!