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ダメージコントロール手術(DCS)ー外傷診療で必須の概念です【随時更新中】


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今回は、重症外傷診療で必須の概念である、ダメージコントロール手術(DCS)ついてまとめました。

 

ダメージコントロール手術(DCS)

 

 

1.ポイント

●FAST陽性で循環動態が不安定だったら開腹をためらわない

●重症の出血性ショックを来たし、低体温、アシドーシス、凝固障害を伴っている症例にはDCS必要

 

2.DCSとは

外傷のショックの原因として最も多いのは出血であり、重症外傷患者の転帰には,外傷そのものや治療に伴う侵襲に起因する生理学的恒常性の破綻が大きく影響する。

生理学的恒常性の破綻を回避するため、蘇生に必要な最小限の治療を施行し状態の安定を図る“damage control surgery”が必要となる。

血液凝固異常にアシドーシスと低体温を加えた「外傷死の三徴」は,大量出血を伴う重症外傷における死亡の予測因子でありDSCを施行する根拠となる。

3.構成と手順

 

STEP1

初回手術は止血と汚染回避のため簡易な術式を選択確実な止血

STEP2

生理学的異常を補正するためICUにて全身管理を行う特に低体温、凝固異常には注意

STEP3 

48~72時間以内に根本治療のための計画的再手術
その際止血の確認、損傷の再評価、再建術を実施 

4.判断基準

以下の3項目のうち1~2項目の出現があればDCSの方針となる

①深部体温<35℃
②pH<7.2、またはBE<15mmol/L(55歳以上なら<-6mmol/L)、またはLac>5mmol/L
③PT、APTTが50%以上の延長、または2~3Lの出血、10単位以上の輸血

その他損傷形態や患者因子、医療資源や術者の対応能力も考慮してDSC施行するか判断する。

実際は『死の三徴』の出現を待っていたら手遅れなので、予見することが重要である。

2016年に遠藤らは

線溶異常:FDP>90μg/ml を大基準

アシドーシス:BE<-3mEq/L

低体温: 体温<36℃を小基準とする

DCSの基準を提唱している

5.治療および管理の流れ

手術手技だけでなく全身管理としての蘇生法を意識することが大切である。

①初回手術では止血と汚染の回避に主眼を置いた、DCS施行

②Permissive hypotension
確実な止血までは低血圧(目標収縮期血圧80~90mmHg)を許容、輸液量を制限
過剰な輸液による血圧の上昇は血栓の破壊、出血の助長、希釈性凝固障害となり
得る

③Hemostatic resuscitation
Massive Transfusion Protcolに遵守した治療が促進されている

RBC:FFP:PC=1:1:1の割合の輸血を開始する

 

6.論文・引用文献

JATEC 外傷初期診療ガイドライン

日外傷会誌 30巻3号(2016)

日本外傷学会将来計画委員会報告:J-OCTET

Stone HH, Strom PR, Mullins RJ. Management of the major coagulopathy with onset during laparotomy. Ann Surg 1983; 197:532.

Rotondo MF, Schwab CW, McGonigal MD, et al. ‘Damage control’: an approach for improved survival in exsanguinating penetrating abdominal injury. J Trauma 1993; 35:375.

 

 

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