【疑問】
今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、
敗血症の頻脈性不整脈コントロール方法
についてまとめました。
しばしば経験する敗血症及び敗血症性ショックに伴う頻脈及び頻脈性不整脈…
対応方法について学んでいきましょう。
1.HRコントロールの第一選択はβブロッカー
敗血症患者のHRコントロールは…?
日本版敗血症診療ガイドライン2020 CQ6-12
初期蘇生輸液でコントロール困難な頻脈に対して
短時間作用型β1受容体遮断薬の投与を弱く推奨する
日本版敗血症診療ガイドラインにおいての推奨は上記のとおりです。
ガイドラインの根拠となる介入研究では、HR95以上の患者群に介入し、
従来どおりの治療群に対し死亡減少・ICU滞在日数減少を有位に認める結果となったためこのような推奨となっています。
βブロッカーの一般名はランジオロールであり、オノアクトとして聞き馴染みがある方も多いかと思います!
注意点としては、敗血症および敗血症性ショックの患者さんの頻脈の原因が循環血液量が減少していることによる代償反応であることも往々にしてあるため、
経時的なエコーなどによる評価で脱水がないか適宜チェックすることが大切です。
血液ガス分析によるのLacの上昇の有無やLacクリアランスも参考となるでしょう。
また、発熱による単なる頻脈の可能性も否定しきれませんね。
バイタルに介入しうる外液負荷や昇圧剤を使用しても、HRコントロールがつかない際に2-4ml/hr程度から使用してみましょう。
副作用としては徐脈・徐脈性不整脈に注意です。
2.敗血症性の頻脈性不整脈のコントロール
次に、敗血症に伴う頻脈性不整脈について考えてみましょう。
敗血症患者さんにおいて、不整脈群は、非不整脈群と比較して院内死亡率が高いと言われています2)。
また、重要な点としては心房細動の患者において、洞調律に復帰しない場合は死亡率が高いと言うことです2)。
敗血症においてHR管理がいかに重要かわかりますね。
ここでもコントロールにはβブロッカーが登場します。
敗血症性の頻脈性不整脈の管理において、βブロッカーの使用がカルシウムブロッカー、ジゴキシン、アミオダロンと比較して院内死亡率を低下させたという報告があります3)。
心房細動に対するHRコントロールとしてガイドライン上も第一選択となったβブロッカーは敗血症においても有用と言えますね。
また、更に重要な点は以下のように、
βブロッカー(ランジオロール)は敗血症患者における頻脈性不整脈の抑制や新規不整脈の発症を抑制する4)
ということです!HR管理に有用なのはもちろん、予防にも役立つのですね◎
3.まとめ
●敗血症患者の初期蘇生輸液でコントロール困難な頻脈に対して
短時間作用型β1受容体遮断薬の投与を弱く推奨
●敗血症性の頻脈性不整脈の管理において、
βブロッカーの使用がカルシウムブロッカー、ジゴキシン、アミオダロン
と比較して院内死亡率を低下させた
●βブロッカー(ランジオロール)は敗血症患者における頻脈性不整脈の抑制や
新規不整脈の発症を抑制する4)
4.参考ページ・医学ノート
敗血症についてスライドでまとめて学びたい方はこちらをチェック👇
5.引用文献
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