整形外科を研修医としてローテーションする時に、手術中で疑問が生じるのが、おそらくプレートとスクリューの選択や適用についてだと思います。
骨折治療において重要なプレートとスクリューの基本について、ミニマムにまとめました。
もちろん、骨折や外傷の診療は個別性が高く、これらの原則通りに選択されないことも多々ありますが、こういった基本用語を押さえておくことで、整形外科の研修医ローテーションが少しでも楽しく、解像度の高いものになればと思い作成しました。
骨折の手術は、どんな骨折であっても患者さんのADLや背景なども考慮すると、治療方法は多種多様で、常に個別性を考えながら手術を検討することがとても楽しい領域です。整形外科のローテーション中にぜひこのスライドを活用し、少しでも骨折の手術に興味を持っていただけると嬉しい限りです👇
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※今回の記事は普段よりお世話になっている、
アンター株式会社COOの西山様含め、
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以下、スライドの文章まとめです。URL等参考にしていただれば幸いです◎
テキスト全文
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#1.
【手術の解像度が上がる!】 整形外科ローテで知っておきたい プレート・スクリューの基本
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#2.
整形外科医 研修医 ある日の外傷の手術中・・・
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#3.
目標 ①手術でなぜこのスクリューやプレートを選択したのかがわかる ②プレート固定の原理がわかる ③各固定法のメリットデメリットがわかる
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#4.
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#5.
長管骨の解剖 海綿骨 cancellous bone 皮質骨 cortical bone 骨膜 引用)カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版, 日本医事新報社
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#6.
長管骨の解剖 コーティカルスクリュー 皮質骨 (硬い骨) 用のスクリュー 皮質骨→海綿骨→皮質骨 2つの皮質骨を貫く キャンセラススクリュー 海綿骨 (やわらかい骨) 用のスクリュー 対側が関節 (軟骨) など皮質骨が貫けない時に使用する ねじ山の高さが大きくピッチも大きい ガイドピンを通せるキャニュレイテットキャンセラススクリューも 引用)標準整形外科学 第15版 医学書院 引用)標準整形外科学 第15版 医学書院
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#7.
スクリューの種類 カニュレイテッドスクリュー ドリルのスクリューが中空になっていて中にガイドピンを通せるスクリュー ソリッドスクリュー 中空になっていない一般的なスクリュー ◎メリット ガイドピンで確認できる 狙った位置にスクリューを打てる △デメリット ソリッドスクリューよりは強度が劣る 引用)標準整形外科学 第15版 医学書院
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#8.
スクリューの分類 ロッキングスクリュー ヘッドにネジ切りがあるスクリュー ねじ切りしたスクリューヘッドが対応するねじを切ったロッキングコンプレッションプレート(locking compression plate : LCP)にロックされる。コンビネーションホールは従来型スクリューを入れることもできる。 引用)AO法骨折治療 第3版 医学書院
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#9.
スクリューの分類 ラグスクリュー 下半分:ねじ山あり 上半分:ねじ山なし プレート固定 斜骨折で可能ならラグスクリューを追加する。ラグスクリューはプレートを介して挿入してもよい。 近位と遠位の主骨片に3本以上のスクリューが必要。 引用)肩・肘の骨折・外傷の手術(OS NEXUS) メジカルビュー社 引用)骨折プレート治療マイスター 改訂第2版 メジカルビュー社 骨折部より上の部分はねじ山より大きい穴をあける →上半分はねじが効かない(ラグスクリューテクニック)
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#10.
プレート固定 プレート固定 骨折部をまたいで骨に設置しプレート孔からスクリューを挿入 ▶プレートと骨を一体化 引用)骨折プレート治療マイスター 改訂第2版 メジカルビュー社 引用)AO法骨折治療 第3版 医学書院
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#11.
プレート固定 〈従来型の固定〉 プレートを骨皮質に押し付ける ↓ 静止摩擦力を発生させて固定 固定力は骨質の影響を受けやすい スクリューが緩むと固定力低下 引用)標準整形外科学 第15版 医学書院
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#12.
プレート固定 〈ロッキングプレート固定〉 スクリューヘッドと プレート孔がトルクでロック ↓ 角度安定性◎ 骨質が弱い場合も一定の固定力がある 骨膜性血行を温存できる 抜釘が難しい 引用)標準整形外科学 第15版 医学書院
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#13.
スクリューの使い分け ・ロッキングスクリューで出来ること 角度安定性が高い ゆるみ (ルーズニング) の低減 骨髄の圧迫低減 → 血流温存 ・コーティカルスクリューで出来ること 骨片間の圧迫固定 プレート位置の微調整(楕円ホールで骨片を圧着) ▶骨折の形態に応じて使い分ける
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#14.
Take home message ねじの原理を理解すれば、どのスクリューが適切かがわかる キャニュレイテットキャンセラススクリューはガイドピンを用いて 狙った位置にスクリューを刺入できる ロッキングプレート固定では, 骨質が弱くても固定でき、骨膜性の血行が温存できる
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