小児の整形外科外傷、出会う症例数が少なくて心配だな…
「小児は大人の縮小版ではない!」と聞くけど、治療はどう変わるのだろうか…
整形外科として働く上で出会う悩みの1つが、「肘内障」「上腕骨顆上骨折」「骨端線損傷」等、大人とは異なる特徴や発生機序を持つ、小児外傷全般ではないでしょうか。
私は整形外科として修行の日々を過ごす中で、小児の外傷を見る機会が増え、自信が持てない症例に出会う機会がありました。
そこで、小児整形外科疾患にどのようにアプローチすれば良いのか、基本から学びたいと思ったときに、自分がおすすめする一冊はこちらです。
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット】
怪我をした小児を見る機会があるが、小児整形外科において自信を持てないすべての若手医師、研修医小児科
【推定読了期間】
3-4時間程度
です。
2.本書の特徴
本書は、青木 清先生が執筆された、
【本書の特徴】
●イラストや表を多用し、わかりやすい文体で解説
●豊富な周辺知識、著者の博識なコラムをもとに、本当に深い小児整形外科の世界に踏み込める
が特徴の一冊です。
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること】
●「症例ベース」の診断・治療法
●小児整形外科の専門医視点+イラストで解説される、画像解析のポイント
●多岐にわたるコラム
これらは、整形外科医として働き始めた全ての先生方にとっては学んでおくべき大切な事項であると思います。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
個人的には、この本の特徴は何と言っても「症例ベース」で、やさしくわかりやすい解説がなされている点です✨
小児整形外科の専門医がどのように診断を見ているかという時間軸も含めた上で、必ず知っておくべき診断・治療・経過観察などの知識について症例ベースで学ぶことができます。
特に、救急外来でどんな医師も出会うことになるであろう「小児の肘内障」の診断については、すごく丁寧に記載されていました。
体系だった経過時間軸についての解説があり、肘内障のメカニズムからその診断まで、さまざまなイラストや画像を駆使して説明されているので、読んでいてとても興味深かったのを覚えています。
そのほかにも、意外と見落としやすいが一度学ばないとわからないポイントも記載されています。
例えば、骨折なのか、それとも生理的な反応なのか、といった「小児整形外科での画像診断に慣れていない医師だと自信を持てないポイント」を、事細かに丁寧に記載されていました。
これだけ丁寧に基礎を解説してくれているのであれば、「ある程度の臨床経験がある」、「一般の小児科研修医レベル」といった方が読んで、無理なく知識を補完していけるようになっているなと感じました。
そのほか、診断方法のコツなどについても、明日からすぐに試してみたいと感じるほどわかりやすく教えてくれています。
小児整形外科の有名な骨折は、それぞれ人物の名前がついて暗記するのがしんどいですよね。
著者である青木清先生の博学さが伺える本書では、名前の元となっている著名人や歴史上の人物についても、さまざまな視点から考察が深められています。
そのため、これらの知識を”単純な人物名の暗記”とならず、意味を知った上で学んだり理解することができたので、その点も記憶の定着としてはとても良いと感じました。
あくまで個人的な印象ではありますが、
一部は救急外来で小児が受診するといった受傷機関ではなく、なかなか専門性の高い症例を扱っている場合も多く、「知識としてかなり深いところまで要求されている」と感じるところも多かったと感じました。
逆に言うと、小児整形外科を今後学習したいというモチベーションを高めさせてくれる本です✨
これらは、本書の個人的な印象・特徴ですが、本書は
子どもの「骨折」・「肘内障」エキスパートへの入門書として最適な一冊である!
と感じました◎
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●イラストを活用し、症例ごとにイメトレを繰り返そう!
●困ったや悩んだ診療があった時に、症例ごとに復習しよう!
個人的には、今まで悩んだ症例を思い出しながら、サクッと通読することをおすすめします。
その際、豊富なイラストを見て、治療のイメージ・全体感を掴むことが大切です。
本書の特徴の1つである豊富なコラムを参照しながら読むことで、記憶に定着させることができるかと思います。
もちろん一度で覚えようとせず、興味のある症例ごとに思い出しながら何度も通読し、イメージトレーニングをして徹底定着を図りましょう。
その後は、症例前後で読み直して復習を行いましょう。
本書では、著者の博識な小児整形外科の知識事項やコラムを網羅的に取り入れているため、読むひとつひとつに深く楽しさを感じることができるのではないでしょうか。
5.まとめ
【本書のまとめ】
子どもの「骨折」・「肘内障」エキスパートへの入門書として最適な一冊である!
まとめると、本書は小児の整形外科領域の基本について、わかりやすくかつ深く学ぶことができる本当におすすめの一冊です。
豊富な周辺知識、著者の博識なコラムをもとに、本当に深い小児整形外科の世界に踏み込める一冊であり、小児整形外科疾患で今まで迷ったりふらついた思考がまとまるのではないかと感じました。
小児整形外科疾患について幅広く学びたい先生方には本当におすすめの一冊です◎
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
【基本情報】
タイトル:『症例から学ぶ! 小児科医のための子どもの整形外科外傷』
著者:青木 清
出版社:日本医事新報社
発行年月日:2021年12月02日
ターゲット層は、
怪我をした小児を見る機会があるが、小児整形外科において自信を持てないすべての若手医師、研修医小児科。
推定読了期間は
3-4時間程度
【本書の特徴】
●イラストや表を多用し、わかりやすい文体で解説
●豊富な周辺知識、著者の博識なコラムをもとに、本当に深い小児整形外科の世界に踏み込める
【本書で学べること】
●「症例ベース」の診断・治療法
●小児整形外科の専門医視点+イラストで解説される、画像解析のポイント
●多岐にわたるコラム
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●イラストを活用し、症例ごとにイメトレを繰り返そう!
●困ったや悩んだ診療があった時に、症例ごとに復習しよう!
【本書のまとめ】
本書は子どもの「骨折」・「肘内障」エキスパートへの入門書として最適な一冊である!
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