脊髄損傷疑いの人が搬送されてくる…何を評価するんだっけ?
あれ、この所見もしかして脊髄損傷…?
そんなときにパッと見返しておきたい知識をミニマムにまとめています◎
院内の研修医レクチャー用に作成した脊髄損傷についてのスライドです。
初期対応の流れから、コンサルトまでに知っておくべき知識を
一緒に学んでいきましょう!
Antaaとは、医師・医学生向けのオンラインプラットフォームのことです。
日々の情報のアップデートと、日本各施設で活躍されている先生方の近況が知ることが出来て、私自身とても毎回刺激を受けております。
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※今回の記事は普段よりお世話になっている、
アンター株式会社COOの西山様含め、
Antaaにて執筆の許可をいただいている記事になります。
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以下、スライドの文章まとめです。URL等参考にしていただれば幸いです◎
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高齢化社会▶脊髄損傷増加 全外傷の約6% 頸髄損傷が脊損の約75% 60歳以上が約50% 転落・交通事故が多い Burney RE: Arch Surg 1993; 128: 596-9 全国脊髄損傷データベース2018より
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脊髄損傷を疑うとき 参考)救急診療指針 第5版 鎖骨上のみの範囲で痛み刺激に顔をしかめる(C4) 肘は屈曲するが、伸展はしない(C5-6) 腹式呼吸(肋間筋が動かない) (C5-Th6) 深部腱反射消失・四肢弛緩・肛門括約筋緊張低下 持続性陰茎勃起症(稀だが、あれば脊髄損傷で特徴的) 血圧低下・徐脈・四肢が暖かい 他の触れ込み(頭部打撲)で来院する脊損を見逃さない! スライド画像)広島大学病院 演者作成
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初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定) ABCDアプローチー(Secondary survey)ー 神経評価 画像評価 コンサルト
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初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定) ABCDアプローチー(Secondary survey)ー 神経評価 画像評価 コンサルト
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全身固定の解除(アンパッケージ)は頭部から 参考)日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 スライド画像)広島大学病院 演者作成 体幹部から固定を解除すると頚髄損傷を引き起こす可能性あり
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初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定) ABCDアプローチー(Secondary survey)ー 神経評価 画像評価 コンサルト
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脊損も ABCDアプローチ 酸素の取り込みの順に評価+介入 脊髄損傷は高エネルギー外傷が多い (近年では高齢化により、転倒での脊髄損傷も増えている)
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JATECに沿ったABCDアプローチ スライド画像)広島大学病院 演者作成 松山幸弘.脊椎外傷の診断・保存的治療・手術. 2018より抜粋
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A(気道)の評価 Frank Gaillard, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons 頸部腫脹、浮腫 血腫 局所出血 顎顔面外傷 舌根沈下 etc 頸髄損傷では気道閉塞を来す危険性が高い!
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B(呼吸)の評価 横隔神経( C3-5 )肋間筋( T1-12 )麻痺 効果的排痰能喪失→無気肺・誤嚥 腹式呼吸(肋間筋の麻痺・横隔膜のみの呼吸) C3:横隔神経麻痺 ▶気管挿管考慮 Nerve (phrenic) Diaphragm The lining of the heart Chest wall Cancer Research UK, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons 参考)喉頭鏡の気管挿管頸椎骨折の症状が悪化するのは1000例に1例
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C(循環)の評価 スライド画像)広島大学病院 演者作成 T6以上の脊髄損傷では神経原性ショックを起こす可能性 (交感神経遮断により副交感神経優位) 神経原性ショックの特徴▶低血圧なのに徐脈 T1-4を損傷すると心臓交感神経が遮断される →心停止の危険
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D(神経)の評価 スライド画像)広島大学病院 演者作成 GCS・瞳孔・対称性 感覚障害、運動障害を調べる ▶重症度や障害レベルを推定
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初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定) ABCDアプローチー(Secondary survey)ー 神経評価 画像評価 コンサルト
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ASIA International Standards for Neurological Classification of Spinal Cord Injury (ISNCSCI) これで評価できればベストだが… スライド画像)広島大学病院 演者作成
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ポイントを押さえた感覚評価でも十分 参照)外傷初期診療ガイドライン 第6版 画像)ASIA International Standards for the Classification of Spinal Cord Injury 2008
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ポイントを押さえた筋力評価でも十分 参照)外傷初期診療ガイドライン 第6版 脊髄損傷では損傷箇所以下全てに影響が出る 「足首動きますか?(L4/5)」▶動けば基本重症の脊損ではない!
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Secondary survey スライド画像)広島大学病院 演者作成 病歴再度聴取+Top to bottom含めて系統的に評価 他の有無を確認(麻痺があると疼痛がない) ▶四肢骨折・腹部外傷を見落としがち ●脊髄損傷の重症度を評価 Frankel分類 ASIAスケール(AIS) or ※最近は改良Frankel分類 American Spinal Injury Association Impairment scale
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Frankel分類 参考)日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 スライド画像)広島大学病院 演者作成
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改良Frankel分類 参考)日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 スライド画像)広島大学病院 演者作成
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ASIA機能障害スケール(AIS) 参考)日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 膝立てできれば悪くてでも D
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初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定) ABCDアプローチー(Secondary survey)ー 神経評価 画像評価 コンサルト
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画像検査 CT Frank Gaillard, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons 骨折・脱臼・血腫を評価 多発外傷では全身評価 損傷椎体高位と脊損高位はズレることも 上位頸椎損傷では椎骨動脈損傷に注意 ▶造影CTを必ず撮影 脊髄所見はわからない ▶脊損にはMRI検査が必要
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画像検査 MRI Traumatic spinal cord injury Last revised by Daniel J Bell◉ on 12 Oct 2021 断裂・圧迫・出血・浮腫 脊髄病変・椎間板 靭帯などの周辺軟部損傷 T2WIで髄内高信号を呈する 出血:T1→、T2↓ 浮腫:T1 ↓、T2↑ 椎体後方のT2高信号 筋損傷や血腫を反映 ▶強い受傷起点を示唆
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初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定) ABCDアプローチー(Secondary survey)ー 神経評価 画像評価 コンサルト
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スライド画像)広島大学病院 演者作成 脊損と関連する既往・年齢性別 ADL・職業 受傷起点・バイタル・他の外傷 神経評価・重症度・画像所見 備考:KPは?抗凝固薬? コンサルトの勘所
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Take home message ●頭部外傷・飲酒後転倒などの病歴で来院する かくれ脊損を見逃さない! ●ABCを安定化し、鍵となる神経診察を! ●画像検査の選択はとても重要 基本は単純CT・MRI撮影 頚髄損傷▶造影CTの必要性を考慮 ●コンサルトまでに患者背景・手術に関連する 情報を収集しておく! スライド画像)広島大学病院 演者作成
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