外傷で不穏の患者さんが運ばれてきた…この方はショック状態なのかどう評価しよう…?
ロードアンドゴー症例です!と言われるとドキドキしちゃう…
これらは日々ER/ICUで後輩や同僚と仕事をする中で感じる悩みや疑問点であり、
私自身も常日頃より外傷診療は難しいなと思っております。
この悩みを解消しようとして様々な本を読み漁った結果、本当におすすめする参考書をいくつか見つけることができました!
以下、それぞれの参考書の特徴や評価・具体的な活用方法についてまとめていきますので、興味を持った本に関してはぜひ手にとって読んでみてくださいね!
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.『Primary-care Trauma Life Support(PTLS)ー元気になる外傷ケア 【外傷初期診療の入門はこの一冊】』
外傷の患者さんが搬送されてきたけど、まず何から評価しよう…?
診察しながら、まずしないといけない検査ってなんだっけ…?
これらは私自身が初期研修医として外傷初期診療をしている際に悩み、困っていたことです。
現在専攻医として研修医の先生と勤務に入ることが多いのですが、
後輩たちが昔の自分と同じ悩みを抱えていることが多いのを見ると、やはりみんな悩んでいるポイントは同じなのだなと感じます。
外傷初期診療についての入門書として、研修医時代に上級医から進められたのがこの一冊です。
本書を読むことで今後救急外来で外傷の患者さんが搬送されてきたとしても自信を持って対応することができます!
【基本情報】
タイトル:Primary-care Trauma Life Supportー元気になる外傷ケア
著者:箕輪良行 (編集), 今明秀 (編集), 林寛之 (編集), 中野朋彦 (イラスト), 公益社団法人地域医療振興協会 (監修)
出版社:シービーアール
発行年月日:2012/5/15
【ターゲット層】
初期研修医・外傷初期診療に不慣れな専攻医・救急隊・看護師
【推定読了期間】
6-7時間程度
【本書の特徴】
●外傷の標準的初期治療のABCDEを理解し,外傷患者を素早く,見逃しなく診られるようになることを目標に作成
●全ページカラーでイラストと写真,表を多用し,ポイントが一目で視覚的に理解できるように工夫
●外傷初期診療のmnemonicsを記載したルミネートカード付き
【本書で学べること(例)】
●外傷初期診療のPrimary Survey(初期評価)
●全身の外傷検索によるSecondary Survey
●外傷初期診療で必要な処置(気管挿管・胸腔ドレーン)や検査(F-FAST)など
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●目次を参考にさらっと通読して、どこに何が書いてあるかざっくり把握し通読
●付録のラミネートを駆使して日々の臨床で毎日復習!
【本書のまとめ】
外傷初期診療の入門書として最適の一冊である!
本書は外傷初期診療の初心者は全員一度は手に取るべき一冊である!
2.『外傷初期診療ガイドラインJATEC【外相診療のガイドラインであり王道の教科書です】』
胸部外傷の方が搬送されて血気胸の診断…これからドレーンを入れるみたいだけどどうやって準備すればいいんだっけ…?
FAST陽性の交通外傷ショックが搬送されるらしい…どんなふうに治療を勧めていくんだろう…?
これらは私が研修医時代に救急外来で日々感じていた悩みであり、よく後輩たちから聞くことも多いものばかりです。
私自身も、現在専攻医として救急外来で勤務していますが、外傷の治療方針や初期対応に悩むことはよくあります。
そんな時治療のゴールドスタンダードとしていつも参照しているのがこの一冊。
今回外傷初期診療のスタンダードを学ぶ上で、必ず読むべき一冊として自分が自信をもっておすすめする本です!
【基本情報】
タイトル:外傷初期診療ガイドラインJATEC
著者:日本救急医学会 (著), 日本外傷学会 (著)
出版社:へるす出版
発行年月日:2021/3/1
【ターゲット層】
初期研修医から後期研修医・看護師
【推定読了期間】
12-14時間程度
【本書の特徴】
●Preventable trauma death回避のため,外傷患者の初期診療手順を標準化した『外傷初期診療ガイドライン』
●プロバイダーコースJATECコースの事前学習や内容の理解をより深めるための解説動画が見られるQRコードを79点掲載
【本書で学べること(例)】
●外傷初期診療のPrimary Survey(初期評価)
●全身の外傷検索によるSecondary Survey
●外傷初期診療で必要な処置(気管挿管・胸腔ドレーン)や検査(F-FAST)など
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●まずは必見の第一章を読む
●興味のある分野を目次を通じてつまみ食い感覚で読んで見る
●目次を参考にさらっと通読して、どこに何が書いてあるかざっくり把握(付箋を貼るのも良いでしょう)
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
【本書のまとめ】
本書は外傷初期診療に従事する医療従事者は全員読むべき一冊である!
JATECガイドラインでは、救急医療の一線で外傷患者の診療を行なっている医師を対象に、防げる外傷による死亡をなくすための手順を示してくれています。
そして、日本外傷診療ガイドラインで示した標準的な診療を実際に行えるようにするのが、「JATECコース」です!
JATECコースは、外傷診療に必要な知識と救急処置を、模擬診療を介して学習できます。
興味のある方はぜひ購読・受講してみてください👇
3.『 外傷専門診療ガイドライン JETEC 【外傷診療をより深く学ぶ専門書といえばこの一冊】』
●外傷のプライマリーサーベイでFAST陽性のショックだ…!外科にコンサルしないとな…あれ?これからどんな手術をしてもらうんだっけ…?
●造影CTで外傷性SAHと外傷性血気胸、肝損傷と骨盤骨折と診断できたぞ…!あれ?どこから手を付けて治療していけばいいんだっけ…?
これらはERとしてコマンダーとして働き出したばかりの時に自分が感じていた疑問です。
外傷の初期診療についてPTLSやJATECを通じて学んで一通りできるようになったと感じてきた次に行うべき事とは、コンサルトした先の専門科での治療についてある程度理解しておくことです。
私自身も決して外傷の診療が得意であるといえる立場ではなく、外傷初期診療で迷うことや怖いことばかりです…。そんな時に治療方針や戦略を考える際に参照するのがこちらの一冊です。
本書を読むことで、今後重症患者患者さんに出会ったとしても自信を持って対応し、適切な科に提案も含めたコンサルトをすることができます!
【基本情報】
タイトル:外傷専門診療ガイドライン JETEC―戦略と戦術、そしてチームマネジメント
著者:日本外傷学会外傷専門診療ガイドライン改訂第2版編集委員会 (編集), 日本外傷学会 (監修)
出版社:へるす出版
発行年月日:2018/6/1
【ターゲット層】
外傷診療に携わる後期研修医以上の医師
【推定読了期間】
14-16時間程度
【本書の特徴】
●外傷専門医が備えるべき知識をまとめた診療ガイドライン、その完成度をより高めた改訂版
●外傷専門医・外傷専門医を目指す医師のみならず、外傷に携わる医師必携の一冊
【本書で学べること】
●外傷診療で必要とされる「戦略」(診療の組み立て・管理能力)と「戦術」(知識・技能)
●Eastern Association for the Surgery of Trauma(EAST)のguidelines practice managementやBrain Trauma FoundationのGuidelines for the Management of Severe Traumatic Brain Injuryなど外傷に関する最新のガイドライン
●外傷診療におけるチームマネジメントの重要性を鑑み「チームアプローチ」
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●目次を参考にさらっと通読して、どこに何が書いてあるかざっくり把握(付箋を貼るのも良いでしょう)
●経験した症例の前後で読み直して復習!
【本書のまとめ】
本書は外傷専門医・外傷専門医を目指す医師のみならず、外傷に携わる医師必携の一冊である!
4.『外傷外科手術治療戦略(SSTT)コース公式テキストブック【外傷の治療戦略決定に必要な知識やスキルを身につけましょう】』
病院前でFAST陽性ショックの患者さんが来院する!チーム内でどんなことを共有すればいいだろう?
緊急手術はどこで実施するのがよいだろう?その時に申し送りしないといけないことはなんだろう…?
これらは日々ERで重症外傷患者さんの初期治療をする中で感じる悩みや疑問点です。
私自身もコマンダーや、サポートのスタッフとして日々外傷診療を行う際にいつも思うのは、
外傷初期診療においては手技や治療方針以上に、協力してくれる医療スタッフとの連携やコミュニケーションが大事
ということです。
今回はこのような外傷における治療戦略の決定と、それを実行するためのチームマネジメントを学ぶ一冊として本書を紹介させていただきます。
本書を読むことで今後多発の重症外傷患者さんに出会った際に、チームで協力しながら自信を持って対応するヒントを手に入れることができるでしょう!
【基本情報】
タイトル:外傷外科手術治療戦略(SSTT)コース公式テキストブック
著者:外傷外科手術治療戦略コース (著)
出版社:へるす出版
発行年月日:2018/12/1
【ターゲット層】
外傷初期診療に関わる全ての医師・看護師
【推定読了期間】
5-6時間程度
【本書の特徴】
●外傷外科医および看護師を含む外傷チームを養成するため、off the job trainingとして開発されたSSTTコースの公式テキストブック
●重症外傷患者の救命のために4つの要素(迅速性と的確性、戦略、戦術、チームワーク)をあげ、重症外傷手術の質の向上に資することが目的
一部引用)
へるす出版 改訂第2版 SSTT 外傷外科手術治療戦略(SSTT)コース 公式テキストブック (herusu-shuppan.co.jp)
【本書で学べること】
●重症外傷患者の救命のために4つの要素(迅速性と的確性、戦略、戦術、チームワーク)
●治療方針決定に不可欠な知識である、ダメージコントロールや外傷死の3徴などの概念
●損傷臓器毎に知って置かなければならない、具体的な一次止血術や根治的治療の流れや準備すべきこと
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●通読できるページ分量なので、まずはざっくりと通読する
●自分自身が勤務する病院での外傷治療の流れについて本書を参考にしながら再確認する
●自分自身が感じた施設での問題点を考え、それらを改善できるよう各スタッフ間で情報共有やミーティングを行う
●本書を読んで興味が湧けばSSTTコースを受講する
【本書のまとめ】
本書は外傷初期診療および外科的治療に関わるすべての医療従事者が理解しておくべき基本事項が網羅されている一冊である!
5.まとめ
いかがだったでしょうか?
気になる一冊は見つかりましたでしょうか?
どの年次の先生方にとってもオススメの一冊が見つかるような構成でまとめさせていただきました。
迷った際にはこれを機会にまとめて購入するのもありだと思います◎
それぞれ詳しいレビューもありますので、そちらも合わせてチェックしてみてください!
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