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救急外来で胃腸炎の鑑別に便潜血・便中白血球検査は有用なのか?

【疑問】

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今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、

救急外来で胃腸炎の鑑別に便潜血・便中白血球検査は有用なのか?

についてまとめました。

急性胃腸炎を診断した経験が少ない場合、便培養や便潜血、便中白血球を鑑別目的で提出スべきシチュエーションや、そもそもルーチンで提出すべきなのか迷うことも多いですよね…

今回は救急外来での便潜血および便中白血球検査の有効性について解説していきたいと思います!

1.急性胃腸炎は炎症性(大腸型)と非炎症性(小腸型)に分類!

【原因に基づいた胃腸炎の分類】

炎症性(大腸型):少量頻回便、粘血便、しぶり腹、発熱

非炎症性(小腸型):大量水溶性便、血便

まずは、急性胃腸炎を疑う患者さんを救急外来で対応する際に、実用的で有用なために用いられる分類方法を紹介します1)。

一般的に急性胃腸炎は、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などが主な症状で、典型的には嘔吐、腹痛、下痢の順で上から下に症状が出現することが特徴です。

その中でも、急性胃腸炎をきたした原因微生物が何なのかを想定しながら身体所見や問診を行うことが重要です。

原因微生物の種類や感染者の状態によって症状の程度は異なりますが、ポイントは炎症性(大腸型)と非炎症性(小腸型)に原因を分類して考えることです。

典型例としては、炎症性(大腸型)は少量頻回便、粘血便、しぶり腹、発熱を認めることが多く、非炎症型(小腸型)は大量水溶性便、血便を認めることが多いと言われていますので、それぞれ注目して分類していきましょう。

2.便潜血・便中白血球の有用性は…?

上記のように急性胃腸炎を分類していく際に、便潜血検査・便中白血球検査は炎症型(大腸型)下痢の補助診断として参考になることがあります。

まず、便潜血検査についてまとめると、大きく分けて免疫学的方法化学的方法の2種類があります。

ヒトヘモグロビンを用いた免疫学的方法では消化液によって変性を受けていない下部消化管出血の場合のみ陽性となります。

一方で、科学的方法感度に優れるオルトトリジン法特異度に優れるグアヤック法が日常的に施行されています。

炎症型(大腸型)下痢に対する便潜血陽性(グアヤック法)については感度71%、特異度79%といわれています2)

しかし、肉や魚料理などに含まれる血液や鉄剤、ミオグロビン、緑黄色野菜でも陽性となってしまうため、正確な検査のためには2-3日間の食事制限が必要であり、救急外来でのシチュエーションでは用いにくい場合も多いのが実情であると言えますね。

ちなみに便中白血球について陽性であった場合、炎症型であった場合は感度73%、特異度84%といわれているが検査方法によるばらつきも多く、報告にもばらつきがあるため分類の参考にはなるが確定することは難しそうです2)。

3.参考文献2)の日本語訳まとめ

最後に、今回の記事作成にあたり読んだ文献の日本語訳をまとめましたので参考にしていただければ幸いです👇

Diagnostic Accuracy of Stool Assays for Inflammatory Bacterial Gastroenteritis in Developed and Resource-Poor Countries

先進国および資源の乏しい国における炎症性細菌性胃腸炎の便検査の診断精度

PMID: 12884161

抄録
急性細菌性胃腸炎は炎症性であることが多いため、細菌性胃腸炎と非細菌性胃腸炎を区別するために、腸の炎症を検出する迅速便検査法が使用される。

我々は、ラクトフェリン、糞便白血球、糞便赤血球、および潜血の迅速便検査法の識別力を、先進国と資源の乏しい国で比較するためにメタアナリシスを行った。

表1 メタアナリシスに含まれる研究で炎症性細菌性胃腸炎の診断に使用された迅速便検査法の概要。

先進国では、AUC/SROCでは、便性白血球で0.89、便性赤血球で0.81であった。

資源の乏しい国では、AUC/SROCはラクトフェリンで0.79、便性白血球で0.72、潜血で0.63、便性赤血球で0.61であった。

先進国では、糞便白血球の陽性尤度比(LR+)と陰性尤度比(LR-)がそれぞれ4.56と0.32であったのに対して資源の乏しい国では2.94と0.6であった。

ラクトフェリンの場合は、凝集評価を “陽性”とし、1:50の希釈度とした場合、資源の乏しい国ではLR+が1.34、LR-が0.17であった。

発展途上国では、迅速検便法の性能は低いが、先進国では、糞便白血球、ラクトフェリン、潜血の検査は中程度の有用性があり、経験的抗生物質治療の恩恵を受ける可能性の高い患者を特定することができた。

翻訳アプリDeepL翻訳 一部著者意訳あり

4.引用文献

1)「JAID/JSC感染症治療ガイド2019」ライフサイエンス出版株式会社出版、2019

2)Gill CJ、 et al:Clin Infect Dis、 37:365-375、2003

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