学習

【ICU初心者に寄り添う】ノルアドは何γから?バソプレシンはいつ? 迷わない敗血症性ショックの循環管理

プロフィール
【医学ノート】をご覧いただく際の注意事項いつも当サイトをご覧いただき本当にありがとうございます。 当サイトの医学ノートの記事をご覧いただく際の注意事項についてです。 ...

研修医として救急の現場に出始めると、敗血症性ショックの患者さんが運ばれてきたとき、

ノルアドレナリンをどれくらいから始めて、どのタイミングでバソプレシンを追加すればいいの?

と疑問に思うことが多いのではないでしょうか。

今回の記事では、2024年版 日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG 2024)をふまえ、
ノルアドレナリンとバソプレシンの使い方のポイントを分かりやすくまとめました。

1.敗血症性ショックの循環作動薬についての総論

敗血症の治療については、

感染症の根本的治療としての早期の抗菌薬投与が要となります。

迅速な培養提出と、適切な抗菌薬投与が必須である一方で、

感染源のソースコントロールはより重要であることを忘れてはなりません。

また、循環作動薬については十分な蘇生輸液を実施した後というのが前提なので、まずは十分に細胞外液を輸液しましょう。

敗血症の治療についてより学びたい方はコチラをチェック👇

敗血症・敗血症性ショックの治療について簡単に解説【輸液・抗菌薬・ドレナージ】今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、 敗血症・敗血症性ショックの治療はどうするべきか? についてまとめました。敗血症及び敗血症性ショックについて、ガイドラインに沿って治療について解説したいと思います。 また、抗菌薬投与を早期に行うべきであるという論文についてもご紹介します。...

●敗血症性ショックの循環作動薬についてのまとめ

第一選択:ノルアドレナリン
第二選択:バゾプレシン

以前はドパミンも使われていましたが、

ノルアドレナリンのほうが28日死亡率を有意に改善し、合併症(特に不整脈)を減少させたことが報告されています。

アドレナリンやドブタミンについては、十分な輸液+ノルアドで循環が保てない場合に“弱く推奨”(エビデンスは限定的)とされています。

これらのポイントを踏まえ、実際に治療しながら血圧およびLacの値を参考にしながら

投与量を決定していきましょう。

2.具体的な投与量の例

敗血症性ショックにおける血管作動薬の使用法の一例としては以下のフローチャートを紹介させていただきます1) 2)👇

とても具体的に次のアクションプランをイメージすることが出来ます。

細かい数値は各施設のプロトコールによりますが、研修医の先生方がイメージしやすいように具体的な例を示します。

①十分な輸液 + NAd投与(0.1~0.2μg/kg/min(=0.1~0.2γ)程度)
→ たとえば、体重50kgの患者ならNAd3A+0.9%NSを希釈して約10mL/hrくらいで投与開始②バソプレシン(0.02~0.04U/min)を追加し、NAdを必要に応じて増量③ステロイド(ヒドロコルチゾン200mg/day)の併用を検討

 

集中治療領域について、わかりやすく学べるみんなのための本を書きました

興味がある方は是非こちらから試し読みしてみてくださいね▼

『みんなの集中治療科』  みんなの集中治療科とは? いつも一緒に教育活動している広大レジセ...

 

この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は

今後も定期的に記事を更新していきますので

各種SNSの登録よろしくお願いいたします!

【公式ラインアカウント】

各種SNSでのコンテンツ配信を定期的に配信!

この中でしか見られない限定動画配信もしています◎

日々のスキマ時間に気軽に見ることができるので、興味があれば是非登録していただければ幸いです!

コチラのボタンをタップ!👇

友だち追加

みなさまのリアクションが今後の記事を書くモチベーションになります!

3.引用文献

1)レジデントノート vol.20 No8 (増刊) 2018年

2)Dellinger RP , et al: A users guide to the 2016 SSCG. Intensive Care Med, 43 :299-303 2017

3)重症患者管理マニュアル

【レビュー】重症患者管理マニュアル【集中治療の一冊といえばコレ】新人看護師や研修医にとって最大の鬼門の一つである、ICUやCCUでの重症患者治療。 人工呼吸器で管理され、4-5本もルートがつながった集中治療管理されている患者さんを目の前に 「患者さんのアセスメントとプレゼンしてって言われたけど、何から始めたらいいの?!」 と、最初は準備の仕方やポイントなどもわからないためあたふたすることも多いはず… 特に、集中治療に関するエビデンスについては日々刻々と変化しており、現在の職場での治療が世界標準なのか迷うこともしばしば… 今回、集中治療分野の参考書として強くおすすめしたいのがこちらの一冊です。...