今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、
重症頭部外傷とは?
についてまとめました。
ERでの初期評価で注意すべき項目と緊急介入を中心にまとめています。
救急外来での頭部外傷の初療に役立てていただけると幸いです。
1.重症頭部外傷とは?
●頭部外傷の重症度はGCSで分類されることが多い
●初期治療の目標
・二次的な脳損傷を防ぐこと⇒低酸素・低血圧を防ぐ
・脳圧亢進を避ける
●GCS≦8で重症頭部外傷
早期に認識するのが大切
各種ガイドラインやUp To Dateでの頭部外傷の評価は、意識レベルの評価であるGCSに準じたものが多いです。
上記のまとめ通りGCS≦8で重症頭部外傷、9≦GCS≦12の場合を中等度頭部外傷と分類されることが多いです。
一方で、こういった意識レベル以外にも注意すべき所見がいくつかあります…!
以下、JATECで重要な『切迫するD』と手術適応となる頭部外傷の身体所見をまとめます。
2.『切拍するD』ーJATECの観点から
●ABCDアプローチに準拠
D(意識)は『まいど』で評価
ま:麻痺
い:意識レベル(GCS)
ど:瞳孔所見
外傷初期診療の指針としてよく登場するJATECの内容です。
意識レベルの評価は『まいど』と呼ばれるゴロに合わせて3つの項目で評価しましょう。
覚えやすい!
この三項目の要素含め、緊急介入が必要な切迫するDについてはこちら👇
●切迫するD
・GCS8点以下/JCS30点以上
・経過中にGCS2点以上低下
・脳ヘルニア徴候(+)
脳ヘルニア徴候には、高血圧・徐脈となるCushing徴候などがあげられます。
こうした切迫するDと判断した場合に、緊急で介入すべきことは以下を参照です👇
・ABCを安定化させながらすぐに脳外科コール
・気管挿管の適応を考慮
・Secondary Surveyの前に頭部CT撮影
こうしたJATECの内容についてより詳しく書いた記事はこちら👇
興味があれば是非ご一読ください◎
3.手術適応の危険な所見
次に、アメリカの頭部外傷治療ガイドラインである『Guidelines for the Management of Severe TBI, 4th Ed.』の、頭部外傷における手術適応となる危険な所見についてまとめました。
●瞳孔不同/散大
●Cushing徴候(高血圧・徐脈)
●明らかな片麻痺
●除脳/除皮質硬直の所見
こうした所見があったときに行うアクションプランはこちら👇
●治療介入までpCO225-30mmHgの一時的な過換気を考慮
●換気設定をFiO2 100%に
●マンニトール/高張食塩水の使用
JATECのアクションに加えて、より具体的な治療介入が登場してきます。
今回注目していただきたいのは、切迫するDやこちらのガイドラインで強調されている身体所見は本当に重要であるという事です。
瞳孔不同やCusing徴候を認めた時は重症頭部外傷であると早期に認識して初療にあたることが何より大切です。
4.引用文献
The Traumatic Coma Data Bank: design, methods, and baseline characteristics Foulkes MA, J Neurosurg. 1991;75:S8.
Guidelines for the Management of Severe TBI, 4th Ed.
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