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ミキシングポイント(Mixing Point)とは?【ECMO】

【疑問】

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今回は、ECMOの勉強をしていて感じる疑問の一つ、

ミキシングポイント(Mixing Point)とは?

についてまとめました。

VA-ECMOの管理上とても重要な概念の一つです。

これを理解できると、ECMO管理中に脳へ還流している血流が酸素化されているか常に意識することが出来るので、興味があれば是非参考にしてみてください。

また、回路内でモニタリングすべき項目も簡略にまとめたので、こちらも是非参考にしてみてください!

https://dancing-doctor.com/2020/08/19/ecmo-handbook/

1.ECMO回路でモニタリングすべき項目とは?

●ECMO管理中は多角的に様々な項目をモニタリング

●変化に早期に気づければ、合併症を防ぐことが出来る!

ECMO管理中に注意すべき項目は以下の4つに大別できます。

①圧モニタリング

1.ポンプ前、2.人工肺前、3.人工肺後でモニタリング
-60mmHgでの管理が理想的
陰圧が強すぎると溶血や遊離Hbの放出を増加

②動脈血ガス・採血検査

pO2、pCO2で人工肺の機能を経時的に評価
APTT等でヘパリンの調節、溶血が起きていないか

⇒動脈血ガス分析はmixing pointを意識して決定!

③血流量

1.5L/min未満にはならないよう避ける
血流の停滞や血栓の発生につながる

【低流量アラームの原因】
1.ポンプ前負荷の低下
脱血不良。大量出血や炎症による血管漏出?

2.ポンプ後負荷の上昇
患者の高血圧、送血ラインのキンク、人工肺での血栓

3.ポンプ機能不全
ポンプヘッドに混入した空気がそのままトラップされている?

④人による観察

送血・脱血の血液の色
血栓形成はペンライトでのチューブや人工肺を定期的にチェックすることで見つかることも
全ての接続部を確実に評価

2.ミキシングポイント(Mixing Point)とは?

V-A ECMO管理中は、酸素化した血液を下降大動脈から心臓に向けて吹き付けるため、

自己心の心収縮がある程度得られている場合には拍出した血液とECMOによる送血がぶつかるポイントが存在します。

これを、ミキシングポイント(Mixing Point)と呼びます。

めちゃくちゃ簡単に言うと、ドラゴンボールのかめはめ波の打ち合いのイメージです笑

大腿動脈からの逆行送血では、自己心の拍出量とECMOの送血流量の力関係によるバランスで、両者の混合する位置(mixing point)が異なるのがポイントで、どこまでが酸素化された血液なのかを意識して管理することが大切です。

何よりも、脳へ流れる血液を常に意識しておくことが大切です。ミキシングポイントがどこにあるかわかりにくい場合には、送血されている大腿動脈から最も遠位の右橈骨動脈の血液を評価します。

こうすることで最も酸素化されていないをモニタリングできるので、少なくともこの動脈血のpO2を保つことで脳への酸素は確保されます。

 

3.参考ページ・医学ノート

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4.引用文献

●INTENSIVIST Vol.5 No.2 2013 (特集:ECMO) 2013/4/17 讃井將満●ECMO実践ハンドブック〜世界標準の成人ECMO管理 2020/2/10 Alain Vuylsteke
●SAVE-J ガイドライン
●ELSO Guideline ver1.3
●東京医科大学 八王子医療センター 救急救命センター HP

 

 

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