【疑問】救急外来でrefeeding症候群をいつ疑うか?
今回は、救急外来にやってきた患者さんの、入院後の治療でしばしば悩むテーマについてまとめました。
低栄養によって引き起こされるrefeeding症候群…みなさんはどんな時に想起しますか?
1.非典型的なのが典型例
refeeding症候群は発症早期の臨床症状が非特異的で 認識されにくいので
①発症の可能性を医療従事者が認識
②栄養状態のアセスメントで危険因子を把握
することが大切である。1)
患者さんは私はrefeeding症候群を引き起こしやすいですよ~と言いながら救急外来には来てくれません。
医療従事者である自分たちが早期発見、対策するしかないという事です。
2.どんな顔をしてやってくる?
非典型的と言われればそれまでですが、refeeding症候群のリスクを抱えた患者さんはどんな顔をしてやってくるのでしょうか?
以下の表1)は症状、疾患別にまとまっているので参考になるかと思います。
3.高リスクの患者さんは緊急入院させるべし
高リスク群の患者背景としては高齢者、担癌患者、神経因性食思不振症が上げられます。
また、低栄養の患者さんの栄養管理のガイドラインであるNICE guideline2)では、以下を満たす患者はRFSの高リスクとされています。
・BMI<16kg/m2
・3~6か月以内に15%以上の体重減少
・10日以上の経口摂取不良
・治療前のK、P、Mg低値、ビタミンB1欠乏
この中でも、特に注意すべきなのは神経性食思不振症の患者さんです。
神経性食思不振症の後ろ向き研究では、RFSの軽症が22%、重症が6%であったと報告されています。3)
にもかかわらず、その疾患の特徴からか患者さん自身に病識がなく、入院を拒否する方も多くありません。
本人の了解が得られない場合は、
入院期間を身体の危機的状態を脱するまで、検査値が改善するまでと期限を定める
と了解を得やすいといわれています。
この段階では向精神薬やカウンセリングなどによる治療よりも全身状態の改善が最優先されます。
重ねて説得しても入院治療に応じない場合は、家族の協力を得て精神閉鎖病棟への入院を検討しましょう。
以下が、神経因性食思不振症の患者さんの緊急入院の適応です1)
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
このように早期発見が難しく、しかも入院していただくにも一苦労なrefeeding症候群。
救急外来での診察中は、常に目の前の患者さんがリスク群でないか念頭に置きながらの初療が大切です。
入院後の加療や、refeeding症候群のメインの病態である低P血症についてはこちらにまとめていますので参考にしてみてください。
4.引用、参考文献
2) National Institute for Health and Clinical Excellence (NICE): Nutrition support in adults. Oral nutrition support, cebtral tube feeding and parenteral nutrition. NICE clinical guideline 32, 2006.
3)Hypophosphatemia during nutritional rehabilitation in anorexia nervosa: implications for refeeding and monitoring.
Ornstein RM他
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