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【疾患】髄膜炎(細菌性髄膜炎を中心に)のまとめ【随時更新】


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内科救急の中でも特に緊急介入が必要であるため詳しい知識が必要な、髄膜炎(細菌性髄膜炎を中心に)をまとめました。

 

髄膜炎(細菌性髄膜炎を中心に)

 

 

1.ポイント

●内科的緊急事態!素早い診断、素早い治療介入が必須!
●迷ったときはルンバール(その前に頭部CTの必要性検討)
●原因不明の意識障害ならルンバール!
●来院から1 時間以内に抗菌薬が投与!

2.疫学

●日本での年間発症者は3万人だが、多くは無菌性髄膜炎で約1500人が細菌性髄膜炎と言われている。
●ワクチンの普及によって減少傾向

3.症状

●熱、項部硬直、意識障害の三徴がそろうのは4 割程度
●細菌性髄膜炎の50%は24時間以内に症状出現(無菌性髄膜炎は48%程度)
●これらに加えて皮疹も1つの判断材料に
・皮疹はウィルス性髄膜炎でも起こりうる
・点状出血班・紫斑は髄膜炎菌感染症を強く示唆

●亜急性の経過を取る髄膜炎は癌性髄膜炎、結核性髄膜炎、クリプトコックス髄膜炎を鑑別に(6日以上が目安か)

FBグループ三銃士公開スライド

 

4.問診・診察のポイント

●髄膜刺激症状

FBグループ三銃士公開スライド

・Jolt accentuation が診察上もっとも感度が高い(97%)(自動的、他動的に首を左右に2,3回/秒ふってもらい、頭痛の増加をみる。)
※元論文では無菌性髄膜炎症例が多く、細菌性髄膜炎にどのくらい有用かはわからない。(Headache 1991;31:167-171)

●肺炎球菌による髄膜炎も多く、中耳炎や副鼻腔炎、肺炎の確認も必要

5.検査

●腰椎穿刺
・迷ったら腰椎穿刺!腰椎穿刺なしで髄膜炎の確定診断(あるいは除外)は不可能である。

・髄液検査の中で、髄液糖/血糖比「0.4以下」は細菌性髄膜炎の特異度が最も高い(98%)

・髄液初圧、多核白血球数は参考になるが診断的ではないし、細胞数が0でも否定はできない。検査前確率が重要。

・Neu優位は細菌性髄膜炎を疑うが、発症後48時間以内は無菌性でもNeu優位となりうる

・Lym優位は無菌性髄膜炎の可能性が高いが、Listeriaの可能性は否定できない

・ADA15U/L以上で結核性髄膜炎の可能性が非常に高くなる

●頭部CT
1腰椎穿刺可能か
2脳炎がないか
3髄膜炎以外の感染巣

※腰椎穿刺「前」にCTを「ルーチンで」とる必要はない。患者に
・意識障害
・けいれん
・神経学的巣症状がある場合
・乳頭浮腫がある場合
・脳内マスや出血の既往がある場合
・免疫抑制があるとき
などはCTを腰椎穿刺「前」にとること(N Engl J Med 2001 Dec 13、Arch Intern Med 1999 Dec 13-27)

●各種培養
血液培養は短時間で、抗菌薬投与前に採取できる。髄液培養は「できるかぎり」抗菌薬投与前に採取するが、抗菌薬投与後でもあきらめずに採取。

●尿中肺炎球菌抗原キット
補助的に使用

●血清抗原
クリプトコックス髄膜炎の診断において、墨汁染色は迅速に行えるが陽性率が低い。診断には血清もしくは髄液中のクリプトコックス高原が有用である。

 

6.具体的な治療

細菌性髄膜炎
●抗菌薬投与(Emperic therapy)
・新生児:ABPC+CTX
・成人CTRX2g×2/day+VCM
※ただし、バンコマイシンはデキサメサゾン使用下では髄液内濃度が下がるので要注意
・Listeria(50歳以上・アルコール多飲・免疫不全・妊婦がリスク)を疑えばABPC2g4時間おきに投与。

●抗菌薬投与(原因菌判明後)
・髄膜炎菌ならペニシリンG200万単位を点滴で4時間おき
・ペニシリン感受性肺炎球菌(PSSP)ならペニシリンG400万単位を点滴で4時間おき
・治療期間は一般的には14日間程度(IVで継続)

●ステロイド投与
・抗菌薬投与直前、あるいは抗菌薬と同時にデキサメサゾン0.15mg/kgを6時間おきに4日間
・抗菌薬単独投与に比べ、死亡率の低下が期待される(N Engl JMed 2002 Nov 14)

※新生児の場合(細菌性髄膜炎ガイドライン第 7 章–2「副腎皮質ステロイド薬の併用」の項を参照)
副腎皮質ステロイド薬の併用の投与方法:新生児を除く乳幼児・学童および成人の副腎皮質ステロイド薬の併用を推奨する.基本的には,抗菌薬の投与の 10〜20 分前に,デキサメタゾンを 0.15mg/kg・6 時間毎(体重 60kg の場合,デキサメタゾン36mg/日),小児では 2〜4 日間,成人では 4 日間投与する.ただし,新生児および頭部外傷や外科的侵襲に併発した細菌性髄膜炎では,副腎皮質ステロイド薬の併用は推奨しない

7.予防

●髄膜炎菌が疑われる場合、あるいは原因不明の場合は飛沫予防のために個室管理
●髄膜炎菌にひどく暴露された家族や医療従事者はシプロ500mgを1回経口で内服
●USMLE的には予防的抗菌薬はリファンピシン
●適応があれば肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を。年齢により助成制度がある。

8.引用・参考文献

●Infectious Diseases Society of America. Practice guideline for the management of bacterial meningitis. Clin Infect Dis 2004; 1267-
●N Engl J Med 2001 Dec 13、Arch Intern Med 1999 Dec 13-27
●N Engl JMed 2002 Nov 14
●N Engl J Med 2001 Dec 13、Arch Intern Med 1999 Dec 13-27
●N Engl J Med. 1989 Sep 21:321(12):794-9
●細菌性髄膜炎治療ガイドライン

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