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【疾患】急性冠症候群(ACS)・心筋梗塞(AMI)【随時更新中】

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内科救急のヤマのひとつである、急性冠症候群(ACS)・心筋梗塞(AMI)についてまとめました。

急性冠症候群(ACS)・心筋梗塞(AMI)

 

1.ポイント

●非典型例を疑う病歴、症状を見逃さない!

●初療医の行えるMONAの具体的治療内容と禁忌を知るべし

●ST・TIMIスコア・トロポニンを正しく解釈し

介入する手順のフローチャートを頭に叩き込む!

FBグループ三銃士公開スライド引用

2.疫学

●好発年齢(男性65歳、女性75歳

高齢者65歳以上であるだけで冠血管系のリスクがなくても否定はできない。

3.症状

胸痛を認めないこともしばしば

米国33%の患者では胸痛を認めない1)

日本では高齢者患者の5-6割は認めないとも言われている

リスク:高齢者、女性、DM

●冷や汗はかなり重要な身体所見

●吐き気嘔吐は心筋壁に広く分布する迷走神経末端である

伸展受容器の賦活化を契機とした迷走神経反射が原因!

4.問診・診察のポイント

●ACSの病歴聴取は痛みのOPQRSTに従って

●「ご家族で若くして冠動脈疾患にかかった方はいますか?」
好発年齢より10歳以上若い年齢(男性55歳以下、女性65歳以下)

5.注意すべき合併症

右心不全 急性 RCAに多い 低血圧・呼吸音清・Kussmaul sign(+)
乳頭筋断裂 急性~発症後3-5日 RCAに多い 肺水腫・新規心雑音 MRが多い
心室中隔穿孔 急性~発症後3-5日 LAD(心尖部)・RCA(心基部)

胸痛・新規収縮期雑音・両心不全 左右シャント

心室壁損傷 急性~発症後2週間 LAD 胸痛・ショック・拡張期雑音

心嚢液貯留(心タンポナーデ)

左心室瘤 数か月後 LAD 亜急性心不全・安定型狭心症 心筋壁菲薄化

 

6.検査

●ECG
症状が続く場合は,心電図検査を15~30分ごとに繰り返す。ST上昇に注目
※急性発症の完全左脚ブロックもAMIを疑う

●採血項目
トロポニンに注目、随時採血し時間経過をフォロー(pg/ml=ng/L)

※ 非特異的な症状を呈する高齢者でのACS有病率はあまり高くなく、

ルーチンでのtroponin測定は意義に乏しい

FBグループ三銃士公開スライド引用

7.スコアリング

【TIMIスコア】
NSTE-ACSの予後判定のためにリスクスコア
FBグループ三銃士公開スライド引用
【Heartスコア】
HEARTスコアが0〜3点でトロポニンが2回陰性(3時間あけて2回目を測定)であれば、
30日以内の主要心血管イベント(major adverse cardiac event;MACE)の可能性は1%。
HEARTスコアが高ければ経過観察もしくは入院を!
http://www.heartscore.nl/引用

8.治療

【診断後の具体的な流れ】
●ST上昇のある心筋梗塞は心カテを来院後90分以内に。
●救急外来ではMONAが治療の基本!
特にアスピリンが大切

〈MONA〉

M:モルヒネ3-5mgずつ

O:酸素2-4L

N:ニトログリセリンスプレー舌下2プッシュ

A:アスピリン162-324mg

※ニトロ・モルヒネの禁忌
⇒低血圧、右室高速、HOCM、バイアグラ服用患者

●急性心筋梗塞は引き継ぐまでに時間がかかるようであればヘパリンを投与し、状況に応じてニトログリセリン点滴やモルヒネ投与などを行う。

●STEMIで心カテに行く場合は循内と相談しクロピドグレル・プラスグレル・チカグレロルのいずれかを投与

【実際の対応の一例】
来院後一時間して・・・
●低リスク群は帰宅可能
●経過観察群は、各施設ごとのf/u方法で対応
●来院後3時間まで症状フォロー
●疑い症例は前例入院経過観察

9.引用、参考文献

JAMA. 2000 Jun 28;283(24):3223-9.
Prevalence, clinical characteristics, and mortality among patients with myocardial infarction presenting without chest pain.
Canto JG1他

Wang AZ et al. Troponin Testing and Coronary Syndrome in Geriatric Patients With Nonspecific Complaints: Are We Overtesting?
Acad Emerg Med. 2020 Jan;27(1):6-14.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31854117

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