この意識障害の患者さんは抗てんかん薬が必要…?
この患者さんの意識障害は、心因性によるものの可能性はないだろうか…?
日々救急外来やICUで診療していると、意識障害というのはcommonな症候であり、よく出会う疾患の一つになります。
それらの鑑別は多岐にわたる一方、それらの鑑別の中で脳波の判断というものを活用するのはなかなか難しいのではないでしょうか。
私自身、いつも神経内科や脳神経外科の先生を最初から呼んで所見を教えていただくことが大半です。
ですが、専門の先生方へ相談するのは敷居も高く、また脳波の読影に関しては苦手意識も強く、普段から自分なりにもっと脳波を解釈できるようになりたいなと思っておりました。
そんな中、この度こちらの書籍を執筆された音成先生より、脳波のトリアージについて学べる書籍をいただきました。
本書を読むことで
脳波に対するアレルギーが払拭され、脳波をもっと前向きに読んでみたいと思えるようになります!
今回脳波へのアレルギーを払拭し、さらに実践で応用できるアクションプランを学びたい際に読むべき一冊として自分が自信をもっておすすめするのがこちらです👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
ER/ICUなどの急性期診療において、意識障害を見る機会のあるすべての医療スタッフ
神経内科をローテーションする専攻医や研修医
【推定読了期間】
5-6時間程度
です。
2.本書の特徴
本書は、音成秀一郎先生が執筆された、
【本書の特徴】
●非専門医にも理解しやすい形で脳波についての解説がなされており、イメージをつかみやすい
●徐々に難易度が上がる構成で、ステップを踏んで学習できる
が特徴の一冊です。
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること】
●スパイクや背景活動、DSAなどの脳波を読むときを知っておくべき基本的な知識と概念
●ICUなどの実践で応用できるアクションプラン
●脳波に対する脳神経内科医の思考回路
これらは脳波に少しでも苦手意識のある先生方にとっては今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると思います。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
本書の特徴はなんと言っても、非専門医にも理解しやすい形で脳波についての解説がなされており、イメージをつかみやすい点です。
まさに”脳波は複雑で、詳しいことについては専門家にしかわからないだろう”という頭の中の脳波に対する考え方が一変した一冊でした。
この本を読むことで、「脳波を読み解くことができるかもしれない」という勇気をもらうことができたと感じています。
例えば、スパイクとそのにせもの(ミミック)との比較方法や、スパイクをどのように細分化して評価するかなど、判別しにくい脳波について苦手意識がある方もいるのではないでしょうか。
この例では、「脳波を心電図で言うところの不整脈に例える」など、非専門医にも理解しやすい形で脳波についての解説がなされており、イメージをつかみやすい点が多くありました。
その他、「意識障害の時の後頭部優位律動(PDR)」というフレーズは、脳波の背景活動を理解する上での重要な概念ですが、この言葉を聞くだけで多くの初学人はそっと教科書を閉じたくなってしまうことでしょう。
しかし、この書籍では、PDRをスマートフォンのホーム画面がオフの状態からオンに切り替わる瞬間に例えて説明しています。
ホームボタンを押したときのスリープ状態から一瞬で明るくなる様子を用いることで、非専門医にも分かりやすく解説ですよね。
全体を通して、脳波についていかに専門用語を避けながら非専門医にも伝わるように書いているかが、非常に強く感じられました。
加えて、後半の応用編においては、”脳神経内科医の思考回路を解説しながら脳波を読み解く”という実践的な内容を収録しています。
具体的には、非専門医向けに「抗てんかん薬が必要な意識障害なのかどうかの判断を瞬時に行う」、そして「必要なタイミングで専門家に遅延なくコンサルトをする」という流れを知ることができました。
応用編については一読だけでは理解が難しい部分もありましたが、脳神経内科の医師がどのように診断に至るか、また各症例のタイムコースをどのように判断しているかがよく伝わり、今後脳波に関して相談した際のディスカッションに役立つ多くの知識を身につけることができました。
私の個人的な意見ですが、最高の単著の医学書とは、その一冊を読むことで著者の思考回路をインプットでき、実践で応用できるアクションプランを学び取ることができるものだと考えています。
読者の頭の中を、著者の思考回路やマインドでアップデートすることこそが、良い医学書であると考えます。
その観点で見ると、この書籍は脳波に対するアレルギーを克服し、脳神経内科医的な視点を持つことで脳波のトリアージをできるようになる一冊であり、脳波を学ぶことに関して最高の一冊だと感じました。
これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は
本書は脳波へのアレルギーを払拭し、さらに実践で応用できるアクションプランを学びたい際に読むべき一冊である!
と感じました。
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●まずは冒頭のアブストラクトでイメージを掴む!
●入門編で知識の充填
●応用編で症例へ応用を学ぶ
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
個人的におすすめの使い方をご紹介します。
著者個人の意見としては、まずは通読することがおすすめです。
本書は冒頭にアブストラクト、その後に本編として、前編の入門編と後編の応用編が展開されていきます。
前編の入門編は、アブストラクトの知識を充填していくような内容となっており、後編の応用編は、それぞれの臨床で出会う個別性の高い疾患や例題などが掲載されている構成となっています。
徐々に難易度が上がる構成なので、アブストラクトから順に読み進めることがおすすめです。
特にこのアブストラクトはとても秀逸で、脳波トリアージの考え方をイメージするための導入なので、頭の中が改革されるような感覚がしました。
本書の読み進め方のページに従い、順番に読み進めるのが本書最善の活用法だと思います。ぜひ半日程度まとまった時間をとって、通読してみてください。
その後は経験した脳波について読み直して復習を行い、インプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。
5.まとめ
【本書のまとめ】
本書は脳波へのアレルギーを払拭し、さらに実践で応用できるアクションプランを学びたい際に読むべき一冊である!
まとめると、本書は脳波について、わかりやすく学ぶことができる本当におすすめの一冊です。
この一冊を通じて学ぶことで、
今後脳波アレルギーが払拭され、脳波をもっと前向きに読んでみたいと思えるようになります!
今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
【基本情報】
タイトル:はじめての脳波トリアージ 2ステップで意識障害に強くなる
著者:音成秀一郎先生
出版社:南江堂
発行年月日:2024年2月
ターゲット層は、
ER/ICUなどの急性期診療において、意識障害を見る機会のあるすべての医療スタッフ
神経内科をローテーションする専攻医や研修医
推定読了期間は
5-6時間程度
【本書の特徴】
●非専門医にも理解しやすい形で脳波についての解説がなされており、イメージをつかみやすい
●徐々に難易度が上がる構成で、ステップを踏んで学習できる
【本書で学べること】
●スパイクや背景活動、DSAなどの脳波を読むときを知っておくべき基本的な知識と概念
●ICUなどの実践で応用できるアクションプラン
●脳波に対する脳神経内科医の思考回路
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●まずは冒頭のアブストラクトでイメージを掴む!
●入門編で知識の充填
●応用編で症例へ応用を学ぶ
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
【本書のまとめ】
本書は脳波へのアレルギーを払拭し、さらに実践で応用できるアクションプランを学びたい際に読むべき一冊である!
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