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【夜勤入り・夜勤明け】救急科医師が実践している翌日に疲れを残さない睡眠調整法まとめ【快眠グッズも紹介】

今日はたくさんの患者対応をしたけど、帰宅したら症例発表の準備をしないと…

夜勤明けの日勤で、疲れが残ったまま勤務するのは辛いな…

これらの悩みは、忙しい研修医はもちろん、当直を経験したことのある医師のほとんどが、一度は経験があるかと思います。

医師は緊急対応での呼び出しに加えて、日々の勤務時間も長い傾向があり、さらに帰宅後も様々な作業があるため、睡眠時間が短くなりがちですよね。

この記事では、救急科として様々なシフトで勤務してきた私が、”効率的に睡眠調整を行う方法”を紹介させて頂きます。

さまざまな文献、同僚・上司からヒアリングした”生きた情報”をもとにして、私が実践してきたことをまとめて解説しているため、”明日から使える”即効性のある内容となっているはずです。

一個人の私見ではありますが、皆様のライフスタイルの参考になるところが1つでもありましたら幸いです。

夜勤入り・夜勤明けの過ごし方が大切な理由

救急医として何年か当直業務をしてきた私の経験上、当直明けが辛いのは当直前後を含めたの睡眠時間と、睡眠環境が原因だと考えます。

そこで、医師や看護師の睡眠事情と交代制勤務について見てみましょう。

株式会社メディウェルにより医師会員を対象に行われた調査によると、

当直時の睡眠時間は平均4.9時間となっており、内訳では5~7時間の医師が約半数を占める。

当直前は95.4%が通常勤務、当直後は82.5%が通常勤務となっており、32時間以上の連続勤務をしている医師が多くなっている。

引用) https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-doctors-duty/

とのことです。

このように、30時間を超える連続勤務の中でとれる睡眠が5〜7時間と限られている上、その睡眠は呼び出しによって途切れ途切れとなることが想像されますね。

精神的に体力的にも大変な長時間労働の中にもかかわらず、深い眠りが取れない現状だということが分かります。

医師や看護師の睡眠時間は短く、夜勤や当直の睡眠のストレスは大きいため、いかに夜勤入りと夜勤明けを工夫して過ごすかが大切なのです1)。

ここからは個人的な経験をもとに、夜勤で体にかかるストレスを減らすためにおすすめの”夜勤の前”と”夜勤の後”それぞれの行動をお話しさせて頂きます。

まずは、以前医師の夜勤についてまとめられた医学書2)でも特集されていた、アメリカ救急医学会で推奨されている夜勤への対処法をご紹介します👇

総睡眠量 夜勤に入る前日の総睡眠量は8 時間が最適であり,最低でも6 時間が望ましい
睡眠時の環境 日中に眠るのは難しいため眠りやすい環境をつくる.暗く静かな場所で室温は22 ℃以下が望ましい.また,携帯の電源は切っておく.
仮眠 10~20 分の仮眠をとるとパフォーマンスによい影響を与える可能性がある.仮眠は睡眠時間を補うだけでなく,連続の覚醒時間を減らすことになるため, シフト前やシフト中の仮眠は有用
カフェインの摂取 カフェインの摂取は夜勤中のパフォーマンスによい影響を与えるが, 就寝5時間前以降に摂取すると,シフト後の睡眠に影響を与える可能性があるため注意が必要である
スケジュール 最適な夜勤スケジュールを組むこと(例:日勤→遅出→夜勤→当直明けで休み)
食事 通常の睡眠の1~2時間前やAM0~6 時の食事は控えめにする.必要な場合は高タンパク質の食事を少量摂取する
運動 短期的にも長期的にも疲労改善のために運動する.シフト中の運動は注意力を高め,持続的な運動は仕事に伴う疲労を軽減する効果がある

 

【アメリカ救急医学会で推奨されている夜勤への対処法】

・シフトは可能な限り概日リズムと一致する方法で組む

・夜勤や長時間勤務の間隔はあける

・過度に長いシフトや連続夜勤は避ける

・勤務時間は12時間以内

・24 時間まるごとの休みを定期的に確保する

・時計回りのシフト作成が望ましい(日勤→準夜→夜勤の順番)

・夜勤の場合はアンカースリープ(必ず寝ている時間)を設ける

・夜勤の医師に対するさまざまなインセンティブを考慮する

・救急医のスケジュールにはローカルファクター,非臨床の賣任,それぞれの年齢などの要因を考慮する必要がある

2)引用

非常に実践的な内容がまとまっていますよね。また、勤務時間や環境についても妥当だと感じるものも多いですし、インセンティブについて触れられているのも面白いところです。

確かに救急車1台対応するにつき●●円貰える…という外勤当直先の勤務では、自分の集中力が増していると感じることもありました…笑

これらの内容を参考にしつつ、私個人が様々な本や同僚から情報収集をし、より実践しやすい方法をまとめてみました。

夜勤入りにおすすめの過ごし方

(1)前日の睡眠

まず私が意識して実践しているのは”夜勤入り当日は目覚ましを使わず起床することです。

これは、”前日は十分かつ快適な睡眠をとる”という意味合いです。

夜勤前の睡眠は8時間が最適と言われています2)。

十分な睡眠時間をとった上で、自然に起きることができる睡眠が良質な睡眠と言えるでしょう。

(2)日中の活動

そして、昼寝をするまでは読書や仕事など、あまり活動性の高いことはしないのがおすすめです。

読者の先生方も、「睡眠前に仕事に没頭してしまうと、頭が活性化してよく寝られない」という経験があるのではないでしょうか。

また、意思決定の多い作業を数多くこなして頭を使うと、集中力が切れることもよく経験します。

良質な仮眠を取るために昼寝前は活動性の高いことはせずに、こなさなければいけない事務作業をまとめてしてしまうのがおすすめです。

夜間の長い勤務の前なので、集中力を維持できるよう意識して過ごしてみましょう。

(3)夜勤前の仮眠

そして、夜勤入りの前には午後の2時〜4時の間に90分の昼寝(90分サイクルを意識)をとることを強くお勧めします。

90分サイクルを意識して、昼食後眠くなるタイミングから昼寝するよう調節してみましょう。

ちなみにですが、90分というのは人間のレム睡眠・ノンレム睡眠の周期に基づく時間です3)。90分サイクルを意識した睡眠の効果に関しては諸説ありますが、私自身は効果を実感できているため普段のライフスタイルに取り込んでいます。詳しくは引用文献・URLの3)や4)を参考にしてみてください。

少しずれる分には問題ないとは思いますが、2時間以上となってくると、眠りすぎて頭が重いということになりかねません。

個人的にはこの昼寝があるだけで、頭がスッキリとするだけではなく、当直中の体力・精神的な持久力が上がるように感じています。

夜勤前に仮眠をとる際には、大体90分の昼寝を14時〜16時の間でとるのがおすすめです。

(4)カフェインの摂取

勤務中にどうしても眠くなってしまう方は、夜勤開始直前にカフェインをとるのもよいでしょう。

ご存知かとは思いますが、カフェインには脳の覚醒作用があります。

カフェインが効き始めるまでに時間差がありますので、夜勤前で少し眠くなる前に、カフェインを飲んでおきましょう。

私はよく、コンビニの挽きたてコーヒーを勤務前に購入して飲んでいます。香りが立って美味しいですよね。

夜勤勤務中におすすめの過ごし方

(1)夜勤中の食事

私が夜勤勤務中に意識していることは、まず午前0時-6時には食事しない、最小限にするということです。

もしガッツリと食事をしてしまうと、ご飯を食べて眠くなる原因になるだけでなく、朝昼晩の3食の生体バランスが崩れてしまいますよね。

お腹が空くとどうしてもカップラーメンなどが食べたくなります。

しかし、快適な夜勤明けのためにも、お腹が空いたときは低糖質高タンパクを意識した軽食にしておきましょう。

例えば、小腹がすいたタイミングで私はよくプロテインバーやナッツなどを食べています。

(2)仮眠の取り方

忙しい夜勤中であっても、時間を見つけて仮眠をとることは重要です。

仮眠をとる際は、レム睡眠・ノンレム睡眠の切り替わりの時間と言われる90分のサイクルを意識しましょう。

具体的な90分サイクル意識の方法ですが、私は夜勤中の検査値のチェックを90分サイクルで行うという工夫をしています。

例えばICU入室中の血液ガス分析所見やバイタルサイン、尿量の推移のチェックを可能な時は90分サイクルで行い、その間に仮眠をとっています。

仮眠の効果は強力です。

5-15分の仮眠で1-3時間のパフォーマンスを改善するというデータもあります1)。

疲れて頭が回らないというときは、患者さんのためにも少しでも仮眠をとりましょう。

仮眠をとるときのコツですが、”仮眠前、及び直後にカフェインを摂取する、または洗顔を行う”を実施すると、目覚めが良くなります。

(3)ストレッチ

仮眠とセットで、マイクロブレイクとして背伸びやストレッチを行っても良いですね。

体を動かすと頭もすっきりしますよ。

”短期的にも長期的にも疲労改善のために運動することは、シフト中の運動は注意力を高め、持続的な運動は仕事に伴う疲労を軽減する効果がある”とされています2)。

(4)勤務の工夫

あと一点加えるとするならば、勤務中は意思決定による疲労に注意してください。

繰り返しになりますが、物事を決定する時に脳はエネルギーをとても使います。

当直マニュアルやルーチンをうまく活用することで、意思決定の労力を減らし、そもそも疲れることを減らすことも大変重要だと言えます。

症例によっては、ある程度カルテのテンプレートを作成しておき、うまく適応することができればカルテ記載の時間も短縮化できるかもしれません。

つらい業務だからこそ、単純化できることは積極的に行いましょう。

夜勤明けにおすすめの過ごし方

(1)睡眠について

夜勤明けの睡眠については、”日中の仮眠+夜はいつも通りの時間に寝る”というサイクルを意識するのが良いかと思います。

特に、夜はいつも通りに寝ることで、普段の生活サイクルを壊さないことが一番重要です。

仮眠は少し長めの180-270分(90分サイクルを意識)とっても良いかと思いますが、90分のサイクルを意識するとよいでしょう。

そして仮眠をうまくとるためのキーポイントは、食事と入浴にあります。

(2)食事

夜勤明けの食事は、時間的には朝食にあたりますが、朝食だからと言ってたくさん食べてしまうと仮眠に影響してしまうことがあります。

また、食後すぐ入眠すると、胃がむかむかしますよね。

そこで気を付けてほしいのが、以下2つの点です。

1.食べる時間は、仮眠をとる2時間前までに

2.食事内容は軽めに

(3)入浴

夜勤明けですからシャワーを浴びてすっきりして、ぐっすり仮眠したいですよね。

ですが、入浴も時間を決めてすることが大切です。

仮眠をとる90分前に入浴してください

人間は睡眠時の深部体温と体表温度は近づいているというデータがあり、入浴によって上がった深部体温がゆっくりと下がり、体表温度に近づくまでが約90分といわれているためです4)。

快眠グッズの紹介

ここからは、夜勤前後の睡眠や、夜勤中の仮眠をより良いものにするために私が普段から使っている”快眠グッズ”を紹介します。

1.BARTH

睡眠と入浴には、大きな関連があります。

”睡眠90分前に39-40度のお風呂に15分入る”というという習慣が非常に大切であることは先ほど述べましたよね4)。

私個人の経験ですが、入浴剤を使うことでさらに熟睡ができるようになったと感じています。

特に炭酸系の入浴剤では体温がじわ~っと上がることを体感できるほどでした。

そんな炭酸系の入浴剤でも、色々と試した結果最も良いと感じたのがこちらの入浴剤です👇

無香料・無着色なのも個人的には使いやすいポイントです。

当直明けや日勤疲れたと感じた特別な日だけでも大丈夫ですので、是非ここぞという日に使う事で熟睡をモノにしましょう。

また、お風呂では好きな音楽をかけながら間接照明のあるスピーカーを置いておくと癒し効果が抜群でした。

防水で気にすることなくリラックスできる、こちらのスピーカーを愛用しています👇

(

)

2.ホットアイマスク

当直で酷使した眼のリカバリーとして、ホットアイマスクがおすすめです。

数々の当直にて色々試してみた結果、数あるホットアイマスクの中でも有名な蒸気でアイマスク・めぐりズムがおすすめでした。

こちらは、水蒸気と熱で目を休める製品です。

私の使い方としては、自覚できるほどの目の疲れが強いときに使用しています。

充電式のものもありますが、夜勤中の仮眠にも持ち運びが楽なのは使い捨ての方でした。

毎日必ず使うわけではなかったので、当直をする医師の皆さんには使い捨てがおすすめです。

マイブームの一つに、「ホットアイマスクをつけながらヨガマットでヨガやストレッチをしてから寝る」ことがあります。

当直後、寝る前のルーティーンとなっており、目覚めたときには目元すっきりという生活を送ることができています。

公式サイトによると、マスクを着用したまま寝てしまっても良いそうです。

ですが初めて使われる際には十分注意して、目元に違和感を感じた場合は、すぐに使用を中止しましょう。

https://www.kao.com/jp/qa/detail/16827/

3.光目覚まし時計

なんと、こちらは光で起こすタイプの目覚まし時計です。

音で起きるタイプの目覚まし時計の大音量の音で目を覚まし、毎朝音のストレスを抱えながら起きるという経験はないでしょうか?

人間の体は、太陽の光を浴びると目覚める仕組みになっています。

私の経験ですが、その仕組みを利用したこの光目覚ましを使い始めてから、朝からストレスを感じて起きることが無くなり、朝ノンストレスに活動を開始することができるようになりました。

安物買いの銭失いとも言いますが、時計に値段をかけるのはもったいないと思い安いものも試してみました。ですが、ライトの調節が難しいことや、起床時の音声設定もいまいちなものも多く、やはり正規品でしっかりしたものを買うまで満足はできませんでした。

なんといっても、この製品は普通のフロアランプ代わりにもなります。

夜は暖色系のフロアライトとして入眠を助け、朝は太陽の代わりとなって起床を助ける。

そんな使い方ができるこの商品は、とても良い買い物でした。

最後に…

いかがでしたでしょうか。

この記事では、夜勤前・夜勤中・夜勤後のおすすめの過ごし方と、睡眠におすすめグッズを紹介させていただきました。

私の経験をもとにしつつ、なるべく文献やヒアリングを行い客観的事実の裏付けをもって伝えさせていただきましたが、これらはあくまで私見であり、私の体質にはあうが皆さんに必ず合うとは限りません。

この記事を読んで実践されたことによって健康を害した際に責任を取ることはでき無いため、あくまで参考として、みなさまの判断で実施して頂けたらと思います。

この記事を読んだ先生方の睡眠が少しでも良いものになり、夜勤のストレスを減らすことができたらとても嬉しく思います。

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引用文献・URL

1)

【夜勤明けの過ごし方】睡眠専門医がすすめる交代勤務の睡眠調整法 / 睡眠学研究レポート / Sleep Styles by 帝人株式会社

2)

レジデントノート 2019年10月号 Vol.21 No.10 救急でのエラー なぜ起きる?どう防ぐ?

3)

睡眠サイクル90分は本当?睡眠の質を高める睡眠サイクルの考え方|Good Sleep Labo – ぐっすりラボ|ショップジャパン (shopjapan.co.jp)

4)

スタンフォード式 最高の睡眠 2017年 サンマーク出版