私ももう5年生。そろそろ病院就職について考えないとな…
病院見学に行く予定があるけど、何を見ればいいのかいまいちイメージできない…
CBTの結果ってどのくらいマッチングに影響するの…?
これらは、医学生が病院見学など就職について考え始めた際によくある悩みであり、私自身、何をすれば良いのか困った経験があります。
また、現在私は大学病院で勤務しているのですが、普段の病院実習で話す医学生から上記のような悩みを相談されることが非常に多いです。
そこで今回は、「マッチングを想定した病院見学のすゝめ」というテーマで、「病院見学でチェックするべきこと」について私見をふんだんに盛り込みながら記事にまとめてみました。
この記事は、医学生高学年で、就職を考え始めた医学生にぜひ読んでいただきたい記事です。
①病院見学でチェックするべき2つの視点
初めての病院見学は、とても緊張しますよね。
わからないことばかりかとは思いますが、病院見学に行った時ぜひチェックしてほしい2つの視点があります。
1.まずは客観的な視点から病院をみよう
1つ目が、勤務体系や時間、給料、さらには病院の特性(規模感や、何期の病院であるか)といった客観的な指標です。
これは、病院見学に行く前にホームページなどでチェックできることもありますし、実際に見学した時に説明してくれることもあります。
まずは絶対的な指標として比較しやすい、勤務体系や時間、給料、病院の特性をチェックすると良いでしょう。
その他、研修医の主戦場ともいえる、救急外来、救急科は必ず見学しておいた方が良いと今になって強く思います。
ここでは、研修医の役割や裁量、バックアップ体制に注目して聞き込みをしましょう。
特に、各症例での上級医からのフィードバックがあるのかを確認するのは非常に重要と言えます。
個人的な意見ではありますが、どれだけ院内の勉強会を積極的ににやっていても、実臨床のフィードバックがない病院では座学と実践の違いがわかる研修医は育たないと感じているからです。
研修医の主戦場である救急外来・救急科で、成長のためのフィードバックを受けれる体制かどうか。
これを知っているかで成長速度が大きく変わるので、必ずチェックしてくださいね。
2.そこでしか聞けない個人的な話を聞こう
次は、先ほどの「客観的な指標を聞く」に加えて、研修医に個人的な話を聞くのも大切だと思います。
各病院の持つ、独特の空気感はWebや噂だけでは推し量ることはできませんよね。
ですから実際の病院見学では、自分の肌で職場の雰囲気を感じ取ることはもちろん、働いている先輩医師の口コミを確認して見ましょう。
例えば、病院の地域性は大切です。
・地域に根付いた病院で患者さん一人一人にじっくり向き合うのか?
・ハイボリュームな病院で、たくさんの患者さんをどんどん捌いていくのか?
・どのような患者層が多いのか
など、病院がある地域の違いで、医師の働き方が大きく変わってきます。
その他、各科ローテーション(特に必修化)での研修医の役割と、一日のざっくりとしたスケジュールを聞き取りましょう。
例えば外科なら、どれくらい手術に入らせてもらえるのか、入院患者の管理はどこまで主体的に行うのかなどといったところです。
これらは、実際に働かないと分からないけれど病院選びに重要となる事項です。
痒い所に手が届く質問ですので、ぜひ聞いて見てください。
また、ポジティブなところだけでなく、ネガティブなところも聞けたら尚良いと思います。
特に、働く上では人間関係の心地よさも大切です。
私が学生時代もっと見ておけばよかったと思うことは、他職種の雰囲気です。
これも病院によって大きく異なります。
職場の雰囲気は仕事のしやすさに直結する事項ですから、しっかり見ておくと良いと思います。
職員同士がどれくらいプライベートで関わるのか、飲みの頻度はどれほどか、など当事者の研修医の先生たちから人間関係については詳しく聞きだしておくことが重要だと感じました。
以上のことを、自分がどんな働き方をしたいのか?ということと照らし合わせて話を聞くことで、将来についてのリアルな想像ができるかと思います。
自分の理想とする医師像・生活を念頭に、病院見学に臨むことを強くオススメします!
②研修病院選びで考えるべきこと〜マッチングは医師の就活〜
マッチングで気をつけること、それは「病院ごとに研修プログラム、指導体制が違う」という点です。
同じ「研修病院」という括りですが、全国にたくさんある研修病院にはそれぞれ特色があります。
例えば、支援制度のある病院など特別な制度を設けている病院があります。
その他、忙しいけど経験の積める病院、一例一例をじっくり研修する病院など、病院ごとの性格的な違いもあります。
本当にさまざまな研修プログラムが全国に用意されています。
ですから、以下では何を軸に研修病院の希望順位をつけるとよいのかをお話します。
1.マッチングには、将来の理想像を明確にして挑もう
まずは、働く上で自分が重視するポイントを明確するところから病院探しが始まります。
給料、福利厚生、スキル、地域、忙しさなどの指標を順位付けしてみましょう。
「誰よりも早く一人前の医師になる!」とスキルを追求する生き方、「自分は体力が少ないからゆっくり働けることを一番大事にしたいな」と忙しさを重要視する生き方もあると思います。
学生の間から、自分の体力、性格、理想に合った生き方を探してみることが、病院選びで役に立つのです。
2.自分がやりたいことを意識しよう
次に考えることは、自分のやりたいことが実現できる病院なのかという視点です。
言い換えると、人生計画とマッチするプログラムなのか(そのままその病院で後期研修を希望する場合は、どの専門医が取れるのかetc)というをみることです。
ただし、志望する診療科は実際に研修医として働いてみると変わることも多いです(私もそうでした…)。
色々な科を学ぶことができる初期研修期間は、将来何をしたいかなということを頭の隅に置きながら幅広く勉強してみましょう。
興味があまりわかないと感じる分野でも、5-10年後の自分にとっては必要な経験や学びだったという経験はよくあります。
尚、充実した初期研修期間の過ごし方は以下のページで解説しています。ぜひご覧になってください👇
3.成長できるかを意識しよう
初期臨床研修では、スーパーローテート方式に従い短い時間でたくさんの科について学び、必要最低限のスキルは身に付けなければいけません。
病院ごとに前後しますが、この初期研修においてそれぞれの科に使える時間は、概して少ないです。
そのため何度も強調しておりますが、初期研修中に身につけるべきスキルや知識を本当に身につけるには、研修中に上級医・同級生からフィードバックを得られる体制にあることが非常に重要です。
分からないことがあったら上級医に聞ける体制にあること、同級生と学びを確認するなど高め合える環境にあること、といった他の人から刺激を受けれる環境にいることで、スキルが身につくスピードが速いだけでなく知識が深く、広いものとなっていきますよね。
時間がない初期研修期間であるからこそ、素早く、広く、色々な刺激を受けながら勉強することが大切です。
何事も受け身ではいけませんが、必要なスキル・知識を身につけるためには目をかけてくれる環境の病院であるかどうかを確認しましょう。
③マッチングと成績の関係は?
「CBTはマッチングに関係するから勉強しておいた方がいいぞ。」
「部活をする時間があるなら勉強をするべきだ。」
このような声、聞いたことが一度はあるのではないでしょうか。
この章では、成績をどれほど取れば良いのか悩む医学生へ向けて、成績に対する個人的な意見をお話ししたいと思います。
まずCBTについてですが、確かにCBTの点数を就職試験の指標の一つにする病院はあります。
この意味では、CBTの点数がマッチングに影響すると言えますね。
ですが、個人的にはCBTの点数を取ることが目的になってはいけないと感じます。
なぜならCBTの内容は、医学生高学年の病院実習で絶対必要な知識であり、実習では理解していることが求められるからです。
「CBTはマッチングに関係するから勉強しておいた方がいいぞ。」ではなく、CBTの内容は医学生として、医師として生きていくのに大いに役立つから勉強しておいた方がいいのです。
まとめると、CBTで大切なことは、点数は取れたけど内容は理解していない、という状況にならないようにしっかり勉強して、覚えるだけでなく内容を理解しておくことです(結果としてCBTの点数が良かった、というのは素晴らしいと思います)。
次にマッチングと成績、つまりCBT,GPAや、その他USMLE,研究実績etcなどがマッチングに有利になるのかという点について、個人的な意見を述べさせていただきます。
これらに関しては、机での勉強にかける労力と、それ以外で自分がやりたいことを天秤にかけて考えるべき、と思います。
CBTやGPAなど学校で扱う勉強は、高得点だと有利かもしれない指標ではあります。
しかし、それ以外のことも、一人の医師として長くみたら役に立つことがありますよね(部活、USMLEや趣味など)。
実際私は、趣味のブログで自分の経験を発信することで、みなさんの役に立つことができているなと実感できることもあり、それは一つの充実感を得られる要素の一つになっている気がします。
ですから“マッチングのために何かを頑張る”というのは本末転倒であって、“「自分が興味あること」・「やりたいことの為に必要なこと」に挑戦して、結果として自分をアピールすることができる客観的な指標は持った”というところが、一つの成功の形かなと思います。
以上をまとめると、学校で好成績を取ることで得られるメリットと、自分がやりたいことを天秤にかけて考えましょう、ということです。
④まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、医学生高学年で、就職を考え始めた医学生向けに、病院見学でチェックするべきことをお話しさせていただきました。
現在医大生の皆さんは、これから長い医師人生を歩むと思いますが、その第一歩となる初期研修病院の選び方について、少しでも参考にしていただけたら、一人の先輩医師としてとても嬉しく思います。
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