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小児敗血症の定義と初期評価について【小児救急の基本はPATです】

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今回は、自分を含め医療従事者にとって苦手意識を持つ方も多い、

小児の敗血症診療についてまとめました。

なかでも、小児の救急患者を評価する際に、小児の敗血症の定義と初期評価について学ぶことは大切だと感じたので、それらを中心にまとめました。

普段診療する機会が少ないからこそ、これを機会にしっかり学んでおきましょう!

1.小児の敗血症と定義

●2020年5月時点で、小児敗血症の定義は厳密にはGoldsteinらによるSIRS基準(図1)を踏まえた診断基準のまま

●臓器機能障害を伴う感染症を”敗血症“、その中で循環不全を伴う敗血症を”敗血症性ショック“とする

まずは小児における敗血症の定義について簡単に整理していきましょう!

成人の敗血症の定義をおさらいすると、

【敗血症の定義・診断基準(成人)】1)

「感染に対する制御不能な宿主生体反応に起因した、生命を脅かすような臓器障害」(2016年敗血症治療ガイドラインより)

 【診断基準】ベースよりSOFAスコアが2点以上増加

でしたね。敗血症の定義は年々、ガイドラインが改訂されるたびに変更されておりますが、2016年度以降は上記のように規定されています。

簡単にまとめると、敗血症というのは疾患ではなく、感染症によって肺や心臓といった、全身臓器に障害をきたしている病態のことを指すのであるとしっかり念頭に置いて知識を整理することが大切です◎

 

さて、話は小児に戻りますが、2020年5月時点では、小児における敗血症の診断にはSIRS基準を用います。

このSIRSは成人のものとは異なり、以下に示すGoldsteinらによるSIRS基準(図1)が用いられます。

GoldsteinらによるSIRS基準(図1)2)3)引用

小児の診療において肝となる、年齢によって基準となるバイタルサインが異なる点に注意が必要です◎

2.小児における初期評価はPAT!

敗血症における初期評価の流れはPALSでもおなじみの第一印象:Initial impression(PAT:Pedeatric assessment triangle)で評価していきましょう4)👇

PATのトライアングル4)引用

PATを用いた評価は30秒以内に行うことを目標としましょう◎

それぞれの評価項目については以下の通り。いつでも思い出せるようABCで暗記です。

外観:Appearance(筋緊張、周囲への反応、精神的安定、視線、言葉・泣き声)

呼吸:Breathing(喘鳴、努力呼吸、陥没呼吸、呻吟、鼻翼呼吸)

循環:Circulation(蒼白、まだら状の皮膚、末梢冷感)

第一印象が悪いと判断した場合、即座に介入すべきことは何でしょう…?

●OMI(酸素投与・モニター装着・静脈路確保)

●人を集める

ですね!これは成人でも小児でも変わらないアプローチです◎

中でも小児の末梢静脈路確保は困難な場合も多いので、状態が悪いと判断した際は骨髄針の留置をためらわないことが大切とPALSでは強調されます。

小児における初期診療においては成人のq-SOFAの基準をそのまま当てはめることはできないので、

年齢に応じたバイタルサイン基準そったAge-adjusted quickSOFAスコアを確認していきましょう。

小児用のSOFAスコアは様々な研究で微妙に異なる基準値が提唱されていますが、現時点ではコンセンサスを得られているものはない5)ので、

あくまでも大まかに感染症における臓器障害の可能性について評価することが大切です(敗血症診療における小児のバイタルサインの評価の詳細は次回の記事で解説します👇)

9.引用、参考文献

1)2020年日本敗血症診療ガイドライン

2)日集中医誌 2014;21:67-88.「日本での小児重症敗血症診療に関する合意意見」 日本集中治療医学会小児集中治療委員会

3)Goldstein B, et al;  Pediatr Crit Care Med 2005;6:2-8.

4)EMERGENCY MEDICAL SERVICE HP PALS Guidelines

5)感染症TODAY2020.03.23「小児敗血症の臨床」志馬 伸朗

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