橈骨遠位端骨折の患者さんが来たけど、どうやって外固定をすればいいの…?
脛骨の外側骨折を診断したけど、シーネ固定の注意点は何…?
これらは、骨折患者の診療に従事する医療従事者であれば一度は感じたことがある疑問ではないでしょうか。
救急外来や病棟で外固定が必要になった時、自信を持って対応するのは意外と難しいものです。
そんな悩みを解消してくれるのが、今回紹介する 『自信をもって正しく巻ける シーネ・ギプス固定手技』 です。出版社のご好意で、著者の高畑先生よりご贈呈いただいた書籍となります。
私自身、整形外科3年目としてシーネ・ギプスを巻く機会は、救急科としての勤務と比べると、比べ物にならないほど増えたと感じています。
その一方で、自分の施設で慣れている外固定に甘んじているところがありました。
今回、改めて新しいエビデンスをベースとした手技を体系的に学ぶ非常に良い機会となったと感じています。
本書籍では、特に研修医や非専門医にとって、外固定の手技を基礎から応用まで網羅的に学ぶことができます。
この一冊を通じて、外固定に対する苦手意識が軽減し、基本の型を身につけて自信を持って対応できるようになるでしょう!
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
- 初期研修医、外傷診療に従事する非専門医
- 開業医、柔道整復師
- 外固定の機会が多いが、専門的なトレーニングを受けていない医療従事者
【推定読了期間】
整形外科医:2~3時間
非専門医:4~6時間
です。
2.本書の特徴
本書は、高畑智嗣先生が執筆された、
【本書の特徴】
●実際の固定手技が視覚的に理解できる充実したイラストと動画付き
●固定前の整復と理論も解説されている
が特徴の一冊です。
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること】
●シーネ・ギプス固定の基礎知識と適応となる外傷疾患
●用意すべき道具と助手への指示方法
●各部位(上肢から下肢)の固定手技と注意点
これらは研修医の先生をはじめとする、外固定に関わる機会のある方にとっては学んでおくべき大切な事項であると思います。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
本書の特徴はなんと言っても、外固定の基本を網羅し、さらに詳しく語られている点です。
著者の先生も冒頭で書かれているように、この書籍は「出先の医師や整形外科医、外科系医師が不在のために研修医や内科医だけで対応せざるを得ない場面も多いため、すべての救急外来や救急診療を担う医師におすすめの書籍」とされています。
本書の展開は、まず外固定に対する用語や基本知識を学んだあとで、それぞれの外傷に関して外固定の方法を解剖学的に解説しているという内容になっています。
何より読んで良いと感じたのは、なんといってもイラストと動画の多さです。
私自身読みながら「ここまでシーネ・ギプスの固定手技について解説した書籍の中で丁寧に説明があるものは珍しいなあ」と感じました。
そして、個人的に良いなと思ったのは、実際に固定する前の整復や肢位、固定の理論についてもしっかりと解説されていることです。
研修医の先生と一緒に外固定を行うとき、「整復操作に関してうまくレクチャーするのが難しいな」といつも感じていたのですが、この書籍をベースに今後は解説をしたいと思いました。
また、外固定は一人だけで行うのではなく、看護師の方や研修医の先生方に手伝ってもらいながらすることが多いものです。
その点を、本書では助手の指示という項目で網羅しています。
みんなで外固定をするという意識を持って、助手の指示もしっかりと出せるようになるという視点はすごく大事だと感じました。
その上で少し気になったのは、やはりそれぞれの外固定の方法について、少し適用が異なるなと感じるところがあったという点です。
これは、自施設だけの特徴だったり、地域ごとに差があったりするのかもしれません。
例えば大腿骨の遠位部の骨折に対してシーネを用いることはなく、基本的にはニーブレイス固定とすることが多いと感じます。
加えて、専門医の先生に相談するときは、少し特殊な方法や作り方に特徴やコツがいるので、ニーブレイス固定で代用できるのであれば、そのような固定方法を推奨するのでもよいかと感じました。
加えて、足関節の脱臼骨折などは整復後も軟部組織の維持安定のために創外固定が現状は推奨されるケースも多いでしょう。
一方でこの書籍のみを勉強してしまうと、「骨折の初期対応はシーネ固定を理解すれば十分」と認識を間違えてしまう可能性もあると思いました。
この書籍の早見表は非常にわかりやすく簡便で有用ではありますが、これらを妄信することなく、他の書籍や資料でも追加で学び直すことは必要だと感じます。
これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は
本書は、シーネ・ギプスの扱いを知り外固定への苦手意識をなくしたい時に読むべき一冊である!
と感じました。
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●頻出の前腕骨折や足関節固定から学び始める!
●悩みやすい部位の手技を重点的に学ぶ!
●動画を繰り返し視聴して手技を確認!
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
個人的におすすめの使い方をご紹介します。
著者個人の意見としては、まず頻度の高い手関節周囲と足関節周囲を中心とした外固定を学び、自分で自身を持って実践できるようになることが大事だと思いました。
手関節と足関節の外固定は頻度も多く、すべてのシーネ固定の基本となる操作も数多く含まれていますので、まずはこれらを勉強してみましょう。
加えて悩むことの多い、手指のアルフェンスシーネの固定については一見の価値があると思いました。
その後は、それぞれ自分自身がさまざまな外傷を診療するにあたって、それぞれの項目を勉強していくと良いと思います。
特に、盲点になるのは、三角巾を用いた上肢の懸垂です。
三角巾の使い方というのは、結構医師が正しく指導できないことも多いと思いのが実情です。
ここに関しては一読するだけでだいぶ知識がアップデートされるので、タイムパフォーマンスの観点からも勉強する価値は非常に高いと感じます。
そのあとは実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう!
5.まとめ
【本書のまとめ】
本書はシーネ・ギプスの扱いを知り外固定への苦手意識をなくしたい時に読むべき一冊である!
まとめると、本書は外固定の技術を基礎から応用まで網羅的に学べる一冊です。
この一冊を通じて学ぶことで、
今後外固定のチャンスが訪れた時に自信を持って取り組むことができます!
今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
【基本情報】
タイトル:自信をもって正しく巻ける シーネ・ギプス固定手技
-事前準備から完成・患者指示まで、専門医がいなくても迷わずに対応できる!
著者: 高畑智嗣先生
出版社:羊土社
発行年月日:2024年10月10日
ターゲット層は、
- 初期研修医、非専門医
- 開業医、柔道整復師
- 外固定の機会が多いが専門的なトレーニングを受けていない医療従事者
推定読了期間は
整形外科医:2~3時間
非専門医:4~6時間
【本書の特徴】
●実際の固定手技が視覚的に理解できる充実したイラストと動画付き
●固定前の整復と理論も解説
【本書で学べること】
●シーネ・ギプス固定の基礎知識と適応外傷
●用意すべき道具と助手への指示方法
●各部位(上肢から下肢)の固定手技と注意点
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●頻出の前腕骨折や足関節固定から学び始める!
●悩みやすい部位の手技を重点的に学ぶ!
●動画を繰り返し視聴して手技を確認!
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
【本書のまとめ】
本書はシーネ・ギプスの扱いを知り外固定への苦手意識をなくしたい時に読むべき一冊である!
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