今月から循環器内科のローテートがはじまるけど、循環器内科をざっと学べる本はないかな…?
循環器内科を効率よく学び直したい時に、最適の一冊はどれだろう…
近年、循環器領域のエビデンスが新たにたくさん登場しています。
私自身、自分が研修医時代に行っていた管理と大きく異なっている循環器内科の現状を見て、今の時代に即した循環器診療のスタンダードが知りたいと思い、この一冊を手に取りました。
本書を読むことで、
・研修医の先生方はスムーズに循環器内科をローテートできる
・非循環器内科の専攻医の先生方は、循環器内科にコンサルトする時に良好なコミュニケーションを取ることができる
ようになります!
今回「循環器内科のエッセンスを効率よく学ぶ際に、初期研修医から非循環器内科の専攻医まで、広く読むべき一冊」として自分が自信をもっておすすめするのがこちらの一冊です👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
- 循環器内科のローテーションを控えており、循環器内科のエッセンスを効率良く学んでから研修を開始したい研修医
- 非循環器内科の専攻医で、循環器疾患を対応する際コンサルトした後、待っている間に何をするべきか迷うことが多い方
【推定読了期間】
10時間程度
です。
2.本書の特徴
本書は、杉崎 陽一郎先生が監修及び執筆された、以下のような特徴がある1冊です。
【本書の特徴】
- 循環器内科診療で悩ましい疾患の管理や治療がクリアカットに解説されている
- 初期研修医や内科専攻医など、それぞれの立場でここまでは理解しておきたいという目標を明確に記載されている
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップしました。
【本書で学べること】
- 循環器内科のエッセンスを効率よく学習できる
- 術前評価や投薬を含めた、時代に即した循環器診療のスタンダード
- 循環器内科の視点から見た、循環器領域においてcommonな病態の細かな部分
これら循環器内科のエッセンスは、研修医の先生方にとって今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると思います。
また、循環器疾患を担当する専攻医にとっても必要な知識ばかりです。
3.個人的総評
【評価】
必要性:**
本の薄さ:**
わかりやすさ:**
面白さ:**
継続使用度:**
オススメ度:**
本書の特徴はなんと言っても、研修医や専攻医など、それぞれの立場の医師向けにポイントをまとめてあるということです。
初期研修医や内科専攻医など、それぞれの立場で「ここまでは理解しておきたい」という目標を明確に記載してくださっている点が、非常にありがたいと感じました。
何より、本書の解説は初学者にも理解しやすいようわかりやすく丁寧に書いてくださっているので、「循環器を学び直したい!」という初期研修医の先生方も、途中で挫折してしまうことも少ないと思います。
また、非循環器内科の先生方の疑問にも答えてくれる内容が詰まっています。
例えば、私自身が救急科専攻医として勤務し始めたころ、
・虚血性心疾患を疑って心電図をとった際、ST上昇がなく、採血のトロポニンも陰性だったときどうして良いかわからない
・急性心不全の患者の初期評価でCS以外何を注意しなければならないかがわからない
・ショックの心不全患者に手も足も出ない
というような悩みをもっていました。
そのような悩みに対し、本書には循環器内科医の目線から、他科の医師がコンサルトすべき妥当なタイミングや、ガイドラインを踏まえた上でのぶっちゃけトークがふんだんに盛り込まれています。
もっと早く出会いたかった一冊です。
加えて、“Fantastic 4など、非循環器内科医が勉強することの少ない最新のトレンドについても非常にわかりやすくまとめられています。
非常に勉強になりました。
具体例を挙げさせていただくと、
・心不全管理の内服薬として、今後は、よりSGLT2阻害薬が使用される頻度が高くなることを学びました。
「内服歴にSGLT2がある患者さん」の初期診療で、非循環器内科医である自分としても“副作用の血糖正常性ケトアシドーシスに注意しながら診療にあたること”ができるようになりました。
・NSTE-ACSなど、夜間緊急でコンサルトするかどうか迷う症例で、ちゃんと根拠を持って適切なタイミングでコンサルトすることができるようになりました。
以上、循環器内科のローテーションを控えており、循環器内科のエッセンスを効率良く学んでから研修を開始したい研修医だけでなく、非循環器内科の専攻医となってからも学ぶことは多い一冊と言えるでしょう。
一度通読してについて学んだ後でも、半年後や一年後はもちろん、“今後医師として診療に当たる上で、一生活用することができる一冊”なのではないでしょうか。
一方で本書において注意すべきだと感じた点としては、本書からは、ある程度は心電図読影や心エコーの評価ができる前提で話が展開されている印象を受けた点です。
そのため、真の初学者はまず導入として他の入門書を読んでから読み進める方が、理解が深まると感じました。
この点については少しだけ配慮した上で一度手にとっていただければと思います。
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
- 初期研修医:“まずはここから”をつまみ食い感覚で読んでみよう
- 非循環器内科の専攻医:これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!その後“トビラの向こう”まで読んでみよう
- その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
個人的におすすめの使い方をご紹介します。
本書の構成ですが、
まずはここから:初期研修医もしっかりチェック
もう一歩踏み込んで:内科専攻医は知っておこう
トビラの向こう:役立つ循環器の知識
というようにまとめと解説がされているところがポイントです。
研修医や専攻医など、それぞれの立場の医師向けにポイントをまとめてくださっているので、重み付けをしながらスイスイと読み進める方が通読を挫折しにくい、と感じました。
時間がない方は、最近経験した症例や、興味のある項から読み進めても十分理解できるので安心してくださいね◎
それぞれの立場毎の、おすすめの読み方は以下の通りです。
循環器内科のエッセンスを効率良く学んでから研修を開始したい、研修医の先生方におすすめの読み方は、“まずはここから”のまとめをつまみ食い感覚で読んでみましょう。
さらに余裕があれば、“もう一歩踏み込んで”を知っておくことは診療で広く役立つ項目ですので、おすすめです。
非循環器内科の専攻医の皆さんは、まずはサラッと通読してみることが大切です。
その後、経験した症例の前後で“トビラの向こう”まで目を通すと良いでしょう。
本書では、急性冠症候群や急性心不全、心房細動など循環器領域においてcommonな病態毎に、循環器内科の視点から細かく解説をしている点に注目してください。
私自身、本書にて循環器内科の視点に触れることができたおかげで、次回の症例で「循環器内科とのコンサルタントがスムーズにいくようになった」と感じることができました。
そのあとは実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。
5.まとめ
【本書のまとめ】
本書は、循環器内科のエッセンスを学ぶ初期研修医から非循環器の専攻医まで、広くおすすめできる一冊である!
まとめると、本書は循環器内科について、わかりやすく学ぶことができる初期研修医から非循環器の専攻医まで、皆さんにおすすめの一冊です。
本書を読むことで、
・研修医の先生方はスムーズに循環器内科をローテートできる
・非循環器内科の専攻医の先生方は、循環器内科にコンサルトする時に良好なコミュニケーションを取ることができる
ようになります!
今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
【基本情報】
タイトル:循環器のトビラ 循環器には興味がある でもちょっと苦手 そんな皆さんようこそ
著者:杉崎 陽一郎先生(監修, 著)
出版社:メディカル・サイエンス・インターナショナル
発行年月日:2022年9月29日
ターゲット層は、
- 循環器内科のローテーションを控えており、循環器内科のエッセンスを効率良く学んでから研修を開始したい研修医
- 非循環器内科の専攻医で、循環器疾患を対応する際コンサルトした後、待っている間に何をするべきか迷うことが多い方
推定読了期間
10時間程度
【本書の特徴】
- 循環器内科診療で悩ましい疾患の管理や治療がクリアカットに解説されている
- 初期研修医や内科専攻医など、それぞれの立場でここまでは理解しておきたいという目標を明確に記載
【本書で学べること】
- 循環器内科のエッセンスを効率よく学習できる
- 術前評価や投薬を含めた、時代に即した循環器診療のスタンダード
- 循環器内科の視点から見た、循環器領域においてcommonな病態の細かな部分
【評価】
必要性:**
本の薄さ:**
わかりやすさ:**
面白さ:**
継続使用度:**
オススメ度:**
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
- 初期研修医:“まずはここから”をつまみ食い感覚で読んでみよう
- 非循環器内科の専攻医:これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!その後“トビラの向こう”まで読んでみよう
- その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
【本書のまとめ】
本書は、循環器内科のエッセンスを学ぶ初期研修医から非循環器の専攻医まで、広くおすすめできる一冊である!
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