この患者さん、本当に帰宅させていいのだろうか…?
これは入院させて経過観察をするべき症例なのかも…?
これらは、日々ERや一般外来で働いていて、“本当に帰宅させていいのか悩ましい症例”に出会った際、誰もが一度はなったことがある心境かと思います。
普段救急外来診療の業務を終えた後、あの患者さんは本当に帰宅させて良かったのだろうか…と悩むことがたまにありました。
幸い重篤な状態となって再搬送されてきた症例を経験したことはありませんが、帰宅可能と判断した症例の中には危険な症例があったかもしれないと思っています。
この悩みを解消しようとして様々な本を探していたところ、この一冊に出会いました。
この記事は、
・一般外来診療を始めたばかりの後期研修医(専攻医)
・救急外来のdisposition決定に迷う初期/後期研修医
向けの内容となっています。
本書を読むことで、今後“外来で出会った本当に帰宅させていいのか悩ましい症例“に出会ったとしても自信を持って対応することができます!
私と同じ悩みを抱えている研修医の先生方のお力になれたら幸いです。
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
一般外来診療を始めたばかりの後期研修医(専攻医)
救急外来のdisposition決定に迷う初期/後期研修医
【推定読了期間】
8-10時間程度
2.本書の特徴
本書は、前野 哲博 先生 / 松村 真司 先生が編集された、
【本書の特徴】
・外来で使える「general rule・診断エラーの知識」をまず解説
・次に各症例を具体的に挙げながら、外来時に返してはいけない症例をピックアップしている
が特徴の一冊です。
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること】
・“病歴聴取や、鑑別疾患の想起などそれぞれの項目について“など臨床推論の総論
・各症候ごとに、見逃してはいけないポイント、返してはいけない患者の見分け方、帰宅させて安心な症例など実践的な内容
本書は、第1章にて総論を学び、第2章、3章にて具体的な症例を学ぶ、という構成になっています。
この一冊を読むことにより、臨床推論・診断方法を“抽象的な総論から具体的な各論”まで、体系的に学ぶことができます。
これらは外来診療や救急外来を行う研修医の先生方にとってはすぐに実践できる内容ばかりです。
どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であるため、おすすめの一冊となっています。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
本書の特徴はなんと言っても、“臨床推論の概論と、具体的な症例を共に学べるという構造であること”です。
まず第1章には概論がまとめられており、臨床推論の基礎というべき思考回路が書かれています。
そして第2・3章では、概論を意識しながら具体的な症例を見ていくことができます。
読み進めていくことで、今までの診療経験が“明文化されてゆくイメージ“という感覚でしょうか。
ある程度診療に慣れてきた専攻医である私としても復習になることや、新たな学びになる内容がたくさんありました。
学びの具体例を一部紹介しますと、
・シマウマ探しをしてはいけない、症状の時間経過を的確に表現する
…身体診察や検査結果によってリアルタイムに鑑別診断が変化していくことを再確認
・病歴聴取では検診歴を忘れずに聞く
…臨床の忙しさを理由に省略することも多いキーワードを認識
・めまいに口唇のしびれを自覚した場合は脳幹虚血を疑う
…“それぞれの症候ごとに知っておきたい知識や陥りやすいピットフォールが存在する“ことを意識
などです。
その他、「キーワードを中心に本命・対抗・大穴を想起する」など、本書の前半で学ぶ総論は、概念的ではなくすぐに明日から使える実践的なものが多いことも本書の特徴です。
一度通読して臨床推論について学んだ後でも、半年後や一年後はもちろん、今後医師として診療に当たる上で一生活用することができる一冊なのではないでしょうか。
一方で、あくまで個人的な印象ではありますが気になった点としては、“基本的に、各症例が症候ごとに分類することができるという前提で進んでいる”ということが挙げられます。
高齢者は多数のプロブレムがあるため、現実はここまでクリアカットに診療をすすめることはできません。
実臨床ではより複雑に絡み合った症例が多いですから、この書籍中の基本原則を意識しつつも、さまざまな可能性を考慮しながら診断を進めていく意識が必要です。
あくまで個人的な印象ではありますが、この点については少しだけ配慮した上で一度手にとっていただければと思いました。
以上をまとめると、本書は“臨床推論の基礎理論を学び、その理論を具体的な症例に適用することの練習になる”一冊である!
と感じました。
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
・前半の総論の部分は頑張って通読する
・それぞれの症候に出会ったタイミングで、辞書代わりに読み進めて知識を深める
個人的におすすめの使い方をご紹介します。
まず、前半の推論の部分は、どれも大切で即戦力になる知識です。
ですから、まず初めに第1章の推論を読み終えることをおすすめします。
次に、後半の症例を読み進めていくことになりますが、ここは、とりあえずはサラッと読むにとどめておきましょう。
そして実際に臨床現場で働いているうちに、それぞれの症候に出会ったタイミングで詳しく読みこんで、診断方法や周辺知識を深めてゆくと効率が良いと感じました。
経験した症例の前後で読み直して復習したり、実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。
そうすることで知識が経験として定着し、自分なりの診療スタイルを作ることができるはずです。
まとめ
【本書のまとめ】
本書は臨床推論を学ぶ
・一般外来診療を始めたばかりの後期研修医(専攻医)
・救急外来のdisposition決定に迷う初期/後期研修医
にとって必須の参考書の一つである!
まとめると、本書は「帰宅可能の判断を、各症候を体系的に学ぶことができる」一冊です。
臨床推論について、概論から具体例まで体系的に深く学ぶことができます。
この一冊を通じて学ぶことで、
今後「帰宅させて良いかわからない」というような患者さんに出会ったとしても自信を持って対応することができます!
以下に要点や基本事項をまとめましたので、購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
【基本情報】
タイトル:返してはいけない外来患者
著者:前野 哲博 / 松村 真司 編集
出版社:医学書院
発行年月日:2021年3月
【ターゲット層】
一般外来診療を始めたばかりの後期研修医(専攻医)
救急外来のdisposition決定に迷う初期/後期研修医
【推定読了期間】
8-10時間程度
【本書の特徴】
・外来で使える「general rule・診断エラーの知識」をまず解説
・次に各症例を具体的に挙げながら、外来時に返してはいけない症例をピックアップしている
【本書で学べること】
・“病歴聴取や、鑑別疾患の想起などそれぞれの項目について“など臨床推論の総論
・各症候の、見逃してはいけないポイント、返してはいけない患者の見分け方、帰宅させて安心な症例など実践的な内容
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のまとめ】
本書は“臨床推論の基礎理論を学び、その理論を具体的な症例に適用することの練習になる”一冊である!
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