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【Antaa QAで学ぶ!】ICU入室中の患者さんが新規の発作性心房細動(pAf)を起こした時の抗凝固療法について

今回は、先日ICU勤務中に生じた疑問の一つである、

ICU入室中の患者さんが新規の発作性心房細動(pAf)を起こした時の抗凝固療法について

といった疑問についてAntaa QAに投げかけさせていただきました。

抗凝固を開始する基準はたしかあった気がするけど…そのまま抗凝固を導入せず夜勤帯に申し送りしてもいいのだろうか…といろいろと職場の上司とも協議になりました。

最終的にはクリアカットな答えが見つからず、もやもやとしたためAntaaに投げかけてみることにしました。

その質問に対して、様々な専門医の先生方は臨床現場で生きる思考回路をふんだんに盛り込んだ、素晴らしいご回答をたくさんいただきました!

僕自身がさせていただいた質問と合わせて、今後同様の悩みを持たれるかもしれない先生方にとっても役立つ知識や思考回路を共有させていただければと思います👇

Antaaとは、医師・医学生向けのオンラインプラットフォームのことです。

日々の情報のアップデートと、日本各施設で活躍されている先生方の近況が知ることが出来て、私自身とても毎回刺激を受けております。

Antaaではこのようなスライド含め、様々なコンテンツがFacebookグループ・アプリで日々配信されていますので、以下のリンクより登録し視聴してみてください!(なんと無料です!)

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以下が、今回Antaa QAに実際に自分が投稿させていただいた内容です👇

少し長文になりますが、興味がある方はご一読いただければと思います。

ICU入室中の患者さんがpAfを起こしたときの抗凝固療法について
いつもお世話になっております。
ICU入室中の80代男性の敗血症患者さんがpAfを起こしたときの抗凝固療法についての相談です。

先日、ICU入室中し人工呼吸管理および高用量ノルアドレナリンおよびバソプレシンの持続投与で循環管理を行っていた敗血症性ショックの患者さんが経過中に発作性心房細動を起こしました。
HR80-90(sinus)➡HR140-130(Af)となり、血圧はやや低下MAP70-65mmHg➡60-55mmHgしました。
水分バランスを再評価し血管内脱水の可能性があるとして補液を行いましたが改善せず、オノアクト持続投与によるHRコントロールを行った後はHR100-90程度であり、循環動態も概ね安定しました。

感染巣コントロールや水分バランス管理、抗生剤加療も問題なく行えていると判断しましたが、今回のAfは恐らく敗血症の臓器障害に伴う発作性心房細動と考えました。
今後心房細動が継続した場合、抗凝固療法を検討しなければならないと考えましたが、妥当な開始期間や、そもそも抗凝固を行う必要があるのかについて悩みましたので根拠となりそうな文献やガイドラインを読んで見ましたが、

ICU入室中などの重症患者さんの発作性心房細動の抗凝固療法の開始期間についての情報は集められませんでした。今のところ、循環器学会の心房細動の除細動治療の際に抗凝固療法を行う開始基準としての出現してから48時間以内が妥当なのかと判断しています。

また、敗血症による発作性心房細動への抗凝固のリスクとベネフィットについての文献を見てみると、以下の文献がヒットしました👇

Walkey AJ, Quinn EK, Winter MR, McManus DD, Benjamin EJ. Practice Patterns and Outcomes Associated With Use of Anticoagulation Among Patients With Atrial Fibrillation During Sepsis. JAMA Cardiol. 2016 Sep 1;1(6):682-90PMID: 27487456

これによると敗血症中の心房細動患者における動脈血栓塞栓症の予防に対する非経口抗凝固の使用は、利益よりも大きなリスクと関連している可能性があるとされていました。

個人的には本症例では、HAS-BLEDが1点と出血に伴うリスクは少なそうなこと、L/D上凝固異常を来していなかったことを踏まえ、発症後48時間を持って抗凝固療法を開始するのがよいのかと考えていました。

皆様の施設では
ICU入室中の重症患者さんが発作性心房細動を起こした際(敗血症以外の患者さんでも)、
●いつから抗凝固療法を行うのか
●そもそも抗凝固療法を行うのか(しないとすればどのような患者群なのか)
教えていただければ幸いです。

また、本質問に関連した文献などもご紹介いただけると大変嬉しいです。

そして、皆様の施設で普段どのように対応されているか教えていただければ幸いです。
大変お忙しいところ申し訳ありませんが、何卒ご回答のほどよろしくお願いいたします。

こちらの質問に対する回答の中でも、今後自分の診療に活かせそうなエッセンスをまとめたものはこちらになります👇

●リスクスコアの他、BNPや左房径なども参考にAF発症の素地のある左房変性はあると判断したら結構、抗凝固を勧めてしまっています

●循環が安定しなくなった時に除細動することを考えると出現した時点で出血リスクが許容されるなら抗凝固薬を開始しますね。

●臓器障害を来している、循環動態が不安定ならヘパリンを選びます

●一応、48時間以内なら大丈夫かと言われるとそれまでにも血栓を生じることがあるとされていて、48時間以内のものをどうするかは定まったものはないという感じです。

⇑こちらの内容を視聴するには冒頭のAntaaアプリへの登録が必要なので、興味がある方は是非登録してみてください◎

クローズドなグループならではの良さが実感いただけると思います。

最後に、今回の回答の中で、日本のICUでは新規発症のAf患者さんをどのようにマネジメントしているのか、についての論文を紹介していただいたので、お示ししておきます。

【日本の32のICUを対象(423人) 新規発症のAF患者】

●40%で抗凝固療法が導入
●3%で出血性合併症
●6%は1週間後もAF
●脳卒中発症は4.5%
※入院中の死亡は26%と総じて予後不良

引用) J Crit Care. 2020;59:136-142

臨床現場での役に立つ専門科の意見に加えて、自分の勉強にもなる論文紹介までいただけるなんで本当に素敵なコミュニティーだと思いました!

皆さんも是非日頃の臨床の疑問をAntaa QAに投げかけてみてくださいね◎