ERでの業務の合間に後輩たちからよく聞くのは、
「整形外科疾患に苦手意識を感じます…」
「首や腰が痛いとの訴えで来院された方に、内科的疾患を除外したあとの鑑別にても足も出ません…」
という声です。
確かに自分自身、もともと整形外科に興味があったためいろんな整形外科の本を読んできましたが、
実際に読んだのは手術の本ばかりで、救急外来での診断学については断片的な知識しかないので経験則で診断や鑑別をしていたのも確か…
初期研修医の先生たちがもっとわかりやすく、そしてクリアに整形外科の診断学について教えてあげられるように知識を身に着けたいなあ…。
そんな時にこの書籍に出会いました。
今回整形外科の診断学分野の初めに読むべき一冊として自分が自信をもっておすすめするのがこちらです。
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
以下、今回の医学書レビューは実際に著者である藤井達也先生に当記事を確認いただいており、一部本書の前書きの内容も引用させていただいているレビューです。
1.本書のターゲット層と読了時間
ターゲット層は、
整形外科診療に関わるプライマリーケア医
救急外来でのwalk-in診療に従事する初期研修医
卒後3年目の駆け出し整形外科医
推定読了期間は
5-6時間程度
です。
2.本書の特徴
本書は、整形外科医師として勤務するなかで、整形外科の診断学について日々研究されてきた藤井達也先生が、
3.個人的総評
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
今回の総評はほぼカンストしていますが、正直オススメ度やわかりやすさには☆100個ぐらい付けたいほどでした…笑
こんなに夢中で読み進めた医学書は久しぶりでした。
本書の構成における特徴としては、なんと言っても各症候ごとに最初に掲載されているフローチャートでしょう。
このフローチャートに目を通した上で、フローチャートに準じて実際に救急外来でコモンな疾患を診断していきます。
それぞれの症候や疾患について豊富な図表を使ってくださっているのでスイスイ読み進められます。
特に各部位に掲載されている外表から触れることのできる疼痛部位と鑑別疾患についてのまとめイラスト内容については目から鱗の内容ばかりでした。
そして、何より著者の藤井達也先生の愛を感じるのが、
本文中の初学者がつまづきやすい用語や身体所見について丁寧に注釈やPOINTとして別項にまとめてくださっている点です。
専門用語は頻出し、つまづきそうになった瞬間そっと手を差し伸べてもらえるような安心感で、最後までストレスなく読み進めることができる…読了感の心地いい一冊でした。
あくまで個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、
本書は整形外科疾患の診断学を学ぶ上で必読の一冊である!
と感じました。今後出会う初期研修医に本書を勧めたいと思います。
4.おすすめの使い方・読み進め方
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●その後は救急外来で各症候に該当する症例に出会うたびにフローチャートを中心に復習する
個人的におすすめの使い方をご紹介します!
私個人の意見としては
本書を読んだ後に経験する整形外科疾患の診察はフローチャートを用いた体系的なものとなるため、初期研修医など早い段階での通読をおすすめします。
個人的な印象ではありますが救急外来で経験する軽症整形外科疾患は詳細な身体診察を行うことなく画像診断を早期に行い、結果頻度の高い疾患でしたというパターンが多い気がします。
本書を使って適宜復習し、自分の問診や診察が果たしてもれなく行えていたかを毎回確認することが大切だと感じました。
5.まとめ
購入する際には参考にしてください。
【基本情報】
タイトル:フローチャート整形外科診断
著者:藤井達也
出版社:中外医学社
発行年月日:2020/12/30
【ターゲット層】
整形外科診療に関わるプライマリーケア医
救急外来でのwalk-in診療に従事する初期研修医
卒後3年目の駆け出し整形外科医
【本書の種類】
辞書系・フローチャート
【推定読了期間】
5-6時間程度
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価: