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【2021年最新】救急科志望の研修医におすすめのER診療の参考書5選

いつもブログをご覧になっていただきありがとうございます。

今回は特定のターゲット層の方に向けた記事を書かせていただきます。

救急科志望の研修医はどのように学んでいくべきかというのが本記事のテーマです。

これは、SNS上でも実際の日々の業務で出会う研修医の先生方からもよく聞く質問なので、

恐らく一定のニーズはあるテーマなのだと思います。

【今回の記事のターゲット層】

進路として救急科を選択し、救急科専攻医として勤務することを考えている研修医の先生方

日々の救急外来診療について

もっと勉強したい・あるいは悩んでいる研修医の先生方

5分程度で読める内容にまとめましたので、是非とも最後まで読んでみてください。

あなたの今後の救急科専攻医としての日々を、より良いものに変えられるよう精一杯解説するので、

僕に5分間の時間をいただけると嬉しいです。

日々の業務をこなす中で、避けて通ることのできない『救急外来診療』

特に初期研修医は当直などの仕事も多いため、普通の勤務医よりも救急外来診療について深く考える機会が多いかもしれません。

将来、救急科を志望する研修医にとってはなおさらです。

その分抱えるのは救急外来診療に関するたくさんの悩みや疑問…昔の自分もそうでしたし、今もなお悩むことばかりです。。

「救急外来での指示出しを先輩の先生たちは即座に指示してるけど、

 あれってどうやったらそんなにテキパキとオーダーできるように

 なるんだろう…?」

「低Naの患者さんの電解質補正速度って、どうするんだっけ…?」

「この病態を疑ったときに使うスコアリングってなんだっけ…?」

こういった悩みや疑問を解消するために、僕自身たくさんの救急外来診療に関する参考書を読んできました。

本を読むのは苦痛にはならないタイプなので、盛っているわけではなく本当に20冊くらい読んできた気がします。

その経験を通じて感じたのは、

救急外来診療において絶対に外せない名著というものはいくつか存在する!

ということです。

 

これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、

その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている

とある救急科専攻医が考え抜いて結論を出した、

失敗しない救急外来診療・重症患者管理の参考書選び5選をご紹介します。

自分自身、まだ専攻医の立場ではありますが、

こんな未熟な立場だからこそ研修医の悩みは痛いほどわかります。

専攻医だからこその着眼点で紹介させていただければと思いますので、

もしこれから紹介する本のなかでまだ読んだことのない・または読んでみたいと思えた本については是非手に取ってみてください👇

救急外来 ただいま診断中!

【基本情報】
タイトル:救急外来 ただいま診断中!
著者:坂本壮
出版社:中外医学社
発行年月日:2015/12/3
【タイプ】
症候別の通読+上級医と研修医の対話形式の症例検討
【ターゲット】
1年目初期研修医(特に前半)
【推定読了時間】
12-13時間
【背景・作者の想い】
●何もわからない研修医が救急外来で共に戦える仲間へと成長できるように教育したい
●救急外来での基本事項を定期的に研修医向けに行っていた勉強会の内容がベースとなっている。

 

【学べること】
●合計22つもの症候別に救急外来で必要な知識を体系的に習得
例)意識障害・失神・心筋梗塞・CPA他内科救急のメジャーな症候を網羅
●豊富な鑑別や病態の解釈、スコアリングの必要性など救急医の思考パターン
例)意識障害をきたす疾患がいくつ言えますか? Well’s criteriaを付けるべきタイミングは?
●初期研修医が陥りやすい救急外来でのピットフォールを上級医との楽しい対話形式で疑似体感
例)痙攣している患者さんがやってきたら、まず何をしますか?
●論文や成書だけでは学びきれない、現場で使いやすいclinical decision ruleも多数掲載されており、明日からの救急外来での業務にすぐに生かせる思考力
例)BZ系で止まらない痙攣重責…どうしましょうか?
そもそも痙攣重責と臨床上判断する基準は大きく2つ、わかりますか?

 

【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:

個人的な見解ですが、この一冊を読まずして救急外来での仕事は始められないと思います!

各症候についての解説がベースであり1つ1つの章を通読していくことになるのですが、

読み始めは1ページ当たりの文章量がやや多く感じるかもしれません。

ですが、読み進めていくうちに感じるのは、

解説の文章の中には臨床で経験したり重要となるエッセンスがこれでもかと凝縮されており、

この文章量であっても、一つも無駄な文や内容がない!

と感じるはずです。なんと素晴らしく恐ろしい一冊なのでしょう…。

Amazonのレビューも素晴らしく参考になるので興味がある方は是非一読ください👇

【レビュー】『ただいま救急外来診断中!』【救急科の勉強はまずはこの一冊からスタートしましょう】救急外来で何をしていいかわからず、棒立ちになってしまった経験はありませんか…? 救急外来の基本について何もわからない初期研修医の救急科の初学書として強くお勧めするのがこの一冊。是非手に取って勉強し、自ら行動できる立派な医師となってください。...

ビビらず当直できる 内科救急のオキテ

【基本情報】
タイトル:ビビらず当直できる 内科救急のオキテ
著者:坂本 壮
出版社:医学書院
発行年月日:2017/8/14

【タイプ】
症例ベース・通読タイプ

【ターゲット】
初期研修医(特に2年目)・後期レジデント(時に3年目)

【推定読了時間】
4-5時間程度

【背景・作者の想い】
●救急外来のスペシャリスト、坂本壮先生の長年の経験に基づくオキテを集約

●自分なりの内科救急患者へのアプローチを確立を目指す

【学べること】
●実臨床でよく出会うけど誤診しやすい、注意すべき症例を豊富なフィードバックと共にテンポよく!

●良く出会う疾患の非典型的な臨床上を把握
飲酒後の嘔吐とめまい、これって急性アルコール中毒…だよね??(正解は?!)

●救急外来で必須のバイタルや重症度の正しい解釈を学習
卒倒後ぼーっとしている高齢女性。これってヤバい?ヤバくない?!

●Choosing wisely…救急外来での検査選択は適切に!
側腹部痛で目覚めた中年男性、まず何から検査しますか??

【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:

実践書の1冊目としてオススメするのがこの一冊。

本書のおすすめポイントは、

●さっと読みやすい本の薄さ!

●面白い症例問題の数々!

●覚えるべきポイントを最小限に集約!

です。それぞれを数値化すると上記のようになります!

特に症例問題は、ちょっと意地悪だなあ…笑 と思うほど

実臨床でミスリードされやすい情報の罠が仕掛けてあるので、本当に勉強になります。

【レビュー】ビビらず当直できる 内科救急のオキテ【ERで注意すべきアブナイ症例から学ぼう】救急外来や病棟業務、少しずつ仕事にも慣れてきて「あれ、最近自分デキレジかも…?」という思っているそこのあなた。 救急に少し慣れてきた研修医に読むべき一冊としておすすめするのがこちらの一冊です。症例問題は、ちょっと意地悪だなあ…笑 と思うほど 実臨床でミスリードされやすい情報の罠が仕掛けてあるので、本当に勉強になります。是非手に取ってみてください。...

動きながら考える!内科救急診療のロジック

【基本情報】
タイトル:動きながら考える!内科救急診療のロジック
著者:松原知康 (著)  吉野俊平 (著)
出版社:南山堂
発行年月日:2016/3/11

ターゲット層は、

初期研修医から後期研修医

推定読了期間は

5-6時間程度

【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:

よく救急外来診療で注目されるPrimary surveyとSecondary surveyに加えて、

救急車受け入れ前のPreparationや、pre-Primary surveyは実際に現場で学ぶことも多く、

ここについて言語化されているのは本当にすごいなと思いました。

理解すればいいところと、本当に覚えなければならないことをしっかりつ分けてくださっているので読者側としては重み付けをしながら読み進めることが出来ました。

また、各症例が研修医と指導医、ベテラン医の3人の会話で進むため、「研修医がやりがちな凡ミスがどのように発生するのか」が臨場感をもってスイスイ読み進められます。

自分も若手指導医として各疾患をハラハラしながら診察している気持ちで一気に読み進めてしまいました…やはり面白い本は一気に通読できてしまいますね…

Open/Closed questionで陥りがちなミスや、各検査項目やスコアリングで陥りやすいミスについても各シナリオで扱ってあるので、二度目に読めばまた違った学びが得られる一冊でした。

個人的には、

あくまで個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は

本書は救急外来診療を学ぶ上で必須の一冊である!

と感じました。今後出会う初期研修医に本書を勧めたいと思います。

『動きながら考える!内科救急診療のロジック』【ER診療での動き方を言語化した名著です】救急外来という特殊で時間の限られた場での診察は、 ポイントを絞ってかつ効率的にゴールを設計して診察にあたらなければ、 診察も判断も時間がかかり助長なものとなってしまいます。 初期研修医の子たちにER診療についてもっとわかりやすく、そしてクリアに教えてあげられるようになりたいなあ… そんな時にこの一冊に出会いました。 今回ER診療の初めに読むべき一冊として自分が自信をもっておすすめするのがこちらです...

研修医当直御法度 第6版

【基本情報】
タイトル:研修医当直御法度 第6版
著者:寺沢 秀一 (著), 島田 耕文 (著), 林 寛之 (著)
出版社:三輪書店
発行年月日:2016/7/9

ターゲット層は、

初期研修医・ER診療に携わる後期研修医

推定読了期間

8-10時間程度

【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:

さすが20年以上も改訂され続けてる名著なだけあって、Amazonでは圧倒的高評価でした…!

実は、自分自身は研修病院で先輩から代々引き継がれている本書(第5版)を最初読んだのですが、救急医を志すことを決めて第6版を改めて購入し直しました。

4年ぶりの改訂だったようで、例えば「頭痛・めまい」として記載されていた項目それぞれ独立させてより詳細に記載されてたり、

「失神・痙攣」の項目も大きく改変されていたりと

各項目も最新情報へ改定するたびにUpdateし、常に現代の医療現場で役立つ一冊になっているのだと痛感しました!

やはり、時代を超えてオススメされ続けるベストセラーにはそれだけの理由があるのですね…

あくまで個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は

本書救急の患者さんのために日夜働く研修医、救急室で働く看護師、救急救命士のための、虎の巻として必携の一冊である!

と感じました。

『研修医当直御法度 第7版』【進化し続ける!救急診療のベストセラー!】ERでの業務の合間に後輩たちからよく聞くのは、 「ER診療でのエッセンスやピットフォールを学ぶ上で効率的な本はありませんか?」 という質問です。 ER診療に関する医学書は数多く読んだ方ではありますが、最もエッセンスが凝縮された一冊といえばなんだろう…? そんな時にまず思いつくのがこちらの一冊です。 本書は、救急の患者さんのために日夜働く研修医、救急室で働く看護師、救急救命士のための、虎の巻として必携の一冊といえます!...

ユキティのER画像Teaching File

ターゲット層は、

初期研修医・一人当直が始まり不安な専攻医

推定読了期間は

7-8時間程度

 

【学べる項目の一例】

●腹痛患者の手術適応についてCT所見から論理的に考えられる思考プロセス

●肺炎・無気肺・胸水を見分ける読影眼

●重症外傷患者のCT読影で重要な要素を漏らさないポイント

【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:

最後の一冊は、救急外来診療でしばしば問題となる、画像診断についての一冊。

個人的には、ここまで救急外来での画像読影に特化した参考書はなく、救急外来での読影に自信をつけたい方には間違いなく役に立つ一冊だと考えます。

この本を読み終えた時には、
●腹痛患者の手術適応についてCT所見から論理的に考えられる思考プロセス
●肺炎・無気肺・胸水を見分ける読影眼

●重症外傷患者のCT読影で重要な要素を漏らさないポイント

など、今後何科に進んでも大事な基礎となる重要事項を学習している事でしょう。
【レビュー】ユキティのER画像Teaching File【ERでの読影にはこの1冊】ER・救急外来での治療方針や帰宅可能判断に大きく関与するCTの画像所見。 大変重要である一方で、体系だって学ぶ機会が少ないのもまた...

まとめ

いかがでしたでしょうか。最後にもう一度今回紹介した参考書を掲示しますので、

概要や評価を読んでいただいて気になったものは是非手に取っていただければと思います。

皆様の救急外来診療の勉強がより効率的で質の高いものとなるよう切に願っています。

 

この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は

 

今後も定期的に記事を更新していきますので

 

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