いつもブログをご覧になっていただきありがとうございます。
今回は特定のターゲット層の方に向けた記事を書かせていただきます。
【今回の記事のターゲット層】
令和時代の初期研修医の皆さん
日々の入院患者さん、救急外来での輸液による体液管理や電解質補正について
もっと勉強したい・あるいは悩んでいる皆さん
5分程度で読める内容にまとめましたので、是非とも最後まで読んでみてください。
あなたの今後の医者人生を、輸液で悩まないものに変えられるよう精一杯解説するので、
僕に5分の時間をいただけると嬉しいです。
日々の業務をこなす中で、避けて通ることのできない『輸液』
特に初期研修医は病棟管理や救急外来でのオーダーの仕事も多いため、普通の勤務医よりも輸液の組成について深く考える機会が多いかもしれません。
その分抱えるのは輸液分野に関するたくさんの悩みや疑問…昔の自分もそうでした。
「生食80ml/hrで…って先生たち即座に指示してるけど、
あれってどうやったらそんなにテキパキとオーダーできるようになるんだろう…?」
「低Naの患者さんの電解質補正速度って、どうするんだっけ…?」
「輸液反応性を確認しろって怒られた…とりあえずIVC見たらいいんだろうか…?」
こういった悩みや疑問を解消するために、僕自身たくさんの輸液に関する参考書を読んできました。
本を読むのは苦痛にはならないタイプなので、盛っているわけではなく本当に15冊くらい読んできた気がします。
その経験を通じて感じたのは、
輸液に関する勉強を進める上で、
どんな参考書をどのタイミングで読むかが非常に大切である
という事です。
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
とある救急科専攻医が考え抜いて結論を出した、
失敗しない輸液分野参考書の参考書選びをご紹介します。
【段階別】失敗しない輸液分野参考書の参考書選び
結論から言いますと、上記の図が今回の記事のすべてです。
冒頭から申し上げている通り、どんな参考書をどのタイミングで読むかが非常に大切です。
輸液など医学における複雑な概念や分野について学習する際にまず整理しておかないといけないことは、
現在読んでいる参考書の、この分野における位置づけです。
すなわち、今手に取っている本が果たして若手が読む初学書なのか、その分野の専門家が愛読している専門書なのかをはっきりさせておくことが大切なのです。
僕はこの位置づけを理解した上で、
初学書から専門書へ少しずつ難易度を上げながら段階的に学習していくこと
を強くお勧めします。
特に、初学書と専門書の間の、臨床の場面でも役立つ実践書を経由することがとても大事だと自分自身の経験より感じます。
個人的な体感ではありますが、この勉強法とそれ以外の闇雲に思うままに勉強する方法(過去の自分です…)とでは、
定着度は2-3倍になり、所要時間は1/3-1/4に短縮、購入費用に至っては1/5
程度違ってくる気がします。
僕自身は、まだまだひよっこの若手専攻医なので、研修医や各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかります。
忙しい研修医の皆さんに時間効率が良く、コスパのいい参考書をご紹介しますので、
自分の段階に合わせて概要を読んで、是非手に取ってもらえたらと思います。
レジデントのためのこれだけ輸液
【基本情報】
タイトル:レジデントのための これだけ輸液
著者:佐藤 弘明
出版社:日本医事新報社
発行年月日:2020/6/29
ターゲット層は、
医学生から後期研修医・看護師
推定読了期間は
8-10時間程度
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
令和の研修医のゴールドスタンダードとなるであろうこの一冊。
今年6月に発売されたばかりにも関わらず、既にAmazonではベストセラー書籍となっております。
理解すればいいところと、本当に覚えなければならないことをしっかりつ分けてくださっているので読者側としては重み付けをしながら読み進めることが出来ます。
輸液や電解質異常の内容はもちろん、インスリンやステロイドなど、研修医や医学生の目線に立って網羅的に掲載してあるので、
輸液の本でまず迷ったらこの一冊を僕はお勧めしています。
酸塩基平衡、水・電解質が好きになる―簡単なルールと演習問題で輸液をマスター
【基本情報】
タイトル:酸塩基平衡、水・電解質が好きになる―簡単なルールと演習問題で輸液をマスター
著者:今井 裕一
出版社:羊土社
発行年月日:2007/3/1
ターゲット層は、
初期研修医(特に前半)
推定読了期間は
8時間程度
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
実践書の1冊目としてオススメするのがこの一冊。
基本を学んだうえでの演習問題を解いていく形式で、まさに実践書としての役割を担っています。
臨床ではフィードバックがもらえないような細かな点まで触れてあるので、
日々漫然とDo処方している自分に喝を入れることができる一冊といえるでしょう。
また随所にちりばめられている、実臨床で使用できる補正式や換算式はとても役立つので、
問題演習が終わった後も継続して使用できる本当にいい参考書です。
電解質輸液塾
【基本情報】
タイトル:電解質輸液塾
著者:門川 俊明
出版社:中外医学社
発行年月日:2020/9/29
ターゲット層は、
初期研修医
推定読了期間は
6-7時間程度
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
実践書の2冊目としてオススメするのがこの一冊。こちらは2019年9月に大幅改定されたばかりの新しい実践書といえます。
特徴は何といっても、Youtubeに本書のレクチャーが掲載されていること
国家試験をオンライン講座の勉強で突破した令和の研修医にとって、映像授業がある参考書はやはりなじみやすく、僕自身も何度も視聴させていただきました。
僕が長々とレビューするよりも、実際に視聴していただいて本書のきれいなイラストやわかりやすいレクチャーを是非ご覧いただければと思います👇
明日のアクションが変わる ICU輸液力の法則
【基本情報】
タイトル:明日のアクションが変わる ICU輸液力の法則
著者:川上 大裕
出版社:中外医学社
発行年月日:2019/9/11
ターゲット層は、
研修医(特に2年目)からICUや重症患者管理をメインに行う後期研修医
推定読了期間は
7-8時間程度
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
専門書としてまずオススメさせていただくのは、この1冊。
オススメ度や継続使用度には☆をいくつつけても足りないほどでした…
これまで断片的に理解していた循環管理における知識が見事につながっていき、頭の中で整理されていくのを感じました。
通読していて気持ちいいと思った本は本当に久しぶりでした…!
特筆すべき点として、本書は輸液の参考書かと思いきや、敗血症や心不全、ARDSの循環動態を中心とした管理の内容についても言及されており、重症患者で想定される病態がかなり網羅されていました。
特にスワンガンツカテーテルや右心不全の項目は、これまで苦手意識が強かった自分にとってはまさに目から鱗の内容ばかりでした。。感動的。。。
一方、僕自身の能力が低いからかもしれませんが、P-Vループなど個人的には一度通読するだけでは理解できていないことも多く、何度も読み込んだり臨床で出会う度に継続して読み続ける必要があるなと思いました。
輸液を学ぶ人のために
【基本情報】
タイトル:輸液を学ぶ人のために
著者:和田 孝雄 (著), 近藤 和子 (著)
出版社:医学書院
発行年月日:1997/9/1
ターゲット層は、
輸液の本質を学びたい新人看護師・初期研修医から後期研修医
推定読了期間は
6-8時間程度
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
専門書最後の一冊は、時代を超えて愛される、輸液の手ほどき書というべき一冊。
特徴としては、これだけの本質的な内容を網羅しているにもかかわらず、200ページ程度と薄く通読しやすいのに加えて値段もお手頃という事。
さらに本書は和田先生に加え、臨床現場で共に働いている近藤先生に加え、看護学生の梶原様の三人の語り口調で内容が進んでいくので、あっという間に楽しく通読できてしまいます。
また、愛嬌たっぷりの豊富な図表を使ってくださっているので読み進めやすい。
特に脱水症の概念についての内容は目から鱗の内容ばかりでした。
一方で、輸液の初学者であれば難解な内容も散見されるので、やはり初学書から段階を踏んで読むことをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。最後にもう一度今回紹介した参考書を掲示しますので、
概要や評価を読んでいただいて気になったものは是非手に取っていただければと思います。
皆様の輸液分野の勉強の勉強がより効率的で質の高いものとなるよう切に願っています。