医学書LABO

『明日のアクションが変わる ICU輸液力の法則』【目から鱗!あなたの思考回路が劇的に変わります】

ICUでの業務の合間に後輩たちからよく聞くのは、

「この患者さんの点滴の内容をどう調整していいかわかりません…?」

「輸液反応性って何ですか…?下大静脈留置をエコーで見たらいいんですか?」

という質問です。

確かに自分自身いろんな輸液の本を読んできましたが、

それぞれについて病態生理に基づいたアセスメントと解説をするのは難しいな…と質問の返答に困ってしまうこともしばしばありました。

初期研修医の先生方と一緒にICUの体液バランス管理についてもっと理解を深めたいなと思っていた時にこの一冊に出会いました。

今回ICU領域での輸液の知識を深めるために読むべき一冊として自分が自信をもっておすすめするのがこちらです👇

これからご覧いただく医学書レビューは、

これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み

その中でもオススメの医学書のレビューを書いている

ある救急科専門医のレビューです。

医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、

是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!

 

 

1.本書のターゲット層と読了時間

 

【ターゲット層】

研修医(特に2年目)からICUや重症患者管理をメインに行う後期研修医

【推定読了期間】

7-8時間程度

です。完全な初学者というよりは、少し点滴療法の基礎がわかってきた段階で読むと勉強になることも多々あるかと思います。

2.本書の特徴

本書は、神戸市立医療センター中央市民病院集中治療部に所属されている川上大裕
先生が、

集中治療医を志す若手医師だけでなく、急性期の輸液や循環管理に携わるすべての医師に向けての輸液の指南書を作りたい

●新しいエビデンスが次々と乱立していく現在、それらに振り回されることなくそれらを使いこなすことができるようになってほしい

●そのための根っこである循環生理をしっかり理解してほしい

との思いを込めて制作した一冊です。
この本を読み終えた時には、輸液反応性やその指標、そして各疾患の循環生理やフェーズを意識した管理など、

今後何科に進んでも大事な基礎となる急性期の輸液や循環管理で学ぶべき重要事項を学習している事でしょう。

3.個人的総評

【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:

本書の個人的総評は上のとおりです。この本を読み進めていくと、これまで断片的に理解していた循環管理における知識が見事につながっていき、頭の中で整理されていくのを感じました。

ここまで通読していて気持ちいいと思った本は、本当に久しぶりでした。

特筆すべき点として、本書は輸液の参考書かと思いきや、敗血症や心不全、ARDSの循環動態を中心とした管理の内容についても言及されており、重症患者で想定される病態が網羅されていました。

特にスワンガンツカテーテルや右心不全の項目は、これまで苦手意識が強かった自分にとってはまさに目から鱗の内容ばかりでした。

一方、僕自身の能力が低いからかもしれませんが、P-Vループなど個人的には一度通読するだけでは理解が十分ではないなと感じたことも多く、度も読み込んだり臨床で出会う度に継続して読み続ける必要があるなと思いました。

あくまで個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は

本書は集中治療領域の循環管理を学ぶ上でバイブルとなる一冊である!

と感じました。今後出会う初期研修医に本書を勧めたいと思います。

また、USMLEのSTEP1・2CKを終えた自分としましては、

USMLEの循環器の生理学の参考書としても最適である!

とも思いました

4.おすすめの使い方・読み進め方

●難しい概念に立ち止まることもあるが、ある程度理解できていないことを許容しながらまずは通読

●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!

後輩に本書の内容を駆使してベッドサイドでアウトプットすることで自分の理解度を高める

個人的におすすめの使い方をご紹介します!

著者個人の意見としては、上記のようにまずは集中治療領域の体液管理について全体的に学んだ後に、様々なシチュエーションでアウトプットすることで理解が深まるなと思いました。

実際の症例はもちろん、勉強会や普段の後輩への指導の際に本書の内容を用いて自分の言葉でアウトプットし続けることで自分自身が成長できるのではないかと思います。

5.まとめ

本書は集中治療領域の循環管理を学ぶ上でバイブルとなる一冊である!!  
USMLEの循環器の生理学の参考書としても最適である!
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には参考にしてください。

【基本情報】
タイトル:明日のアクションが変わる ICU輸液力の法則
著者:川上 大裕
出版社:中外医学社
発行年月日:2019/9/11

【ターゲット層】

研修医(特に2年目)からICUや重症患者管理をメインに行う後期研修医

ICUケアに慣れてきた中堅看護師

本書の種類
通読系・目次系

【推定読了期間】

7-8時間程度

【本書の特徴】

●集中治療医を志す若手医師だけでなく、急性期の輸液や循環管理に携わるすべての医師に向けての輸液の指南書!

●新しいエビデンスに振り回されることなくそれらを使いこなすことができる本質を学べる一冊!

●診療の根っことなる循環生理を徹底的にわかりやすく解説!

【本書で学べること】

●輸液反応性って結局何…?

●乳酸リンゲル液と酢酸リンゲル液って使い分ける必要があるの…?

●右心不全や肺高血圧症の循環管理のポイントは…?

【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
おすすめの使い方・読み進め方

●難しい概念に立ち止まることもあるが、ある程度理解できていないことを許容しながらまずは通読

●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!

後輩に本書の内容を駆使してレクチャーすることで自分の理解度を高める

まとめ
本書はICU領域の輸液管理を学ぶ上でバイブルとなる一冊!
この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は

 

今後も定期的に記事を更新していきますので

 

LINE登録Twitterのフォローnoteの登録よろしくお願いいたします!
みなさまのリアクションが今後の記事を書くモチベーションになります!
【2024年 最新版】研修医1年目におすすめの参考書10選初期研修が最初に読むべき参考書について知りたくはありませんか?著者が強くおすすめする人気の参考書を10冊紹介します。...