【疑問】
今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、
TDM (Therapeutic Drug Monitoring)とは?
についてまとめました。
抗菌薬の適正利用の観点からも重要な概念なのでこれを機会に復習していただけると嬉しいです。
1.TDMとは?
一般的に「薬物治療モニタリング」と呼ばれ、臨床薬物動態学の観点から血中の薬物濃度を測定して治療方針を決め、薬物の治療効果や副作用を確認しながら、適切な薬物投与を行う手法
TDMよりも、薬物治療モニタリングの方が聞きなじみが多い方も多いかもしれません。
どんな治療薬にも、良い治療効果がある一方で副作用にも注意しなければなりません。
TDMは治療効果を最大化しつつ、副作用を最小限に抑えるのに有効な方法であるといえます。
TDMが必要な抗菌薬のうち、有名なものとしては
ゲンタマイシンやアルベカシンなどのアミノグリコシド系薬
バンコマイシンやテイコプラニンなどのグリコペプチド系薬
があげられます。
2.TDMの手順
①薬物投与後、適切な時間に採血を行い薬剤部あるいは検査部で薬物血中濃度を測定します。
②1~2点の少ない血中濃度測定値から、 薬物の血中濃度推移を推定し、効果的な投与量や投与方法を検討します。
③これらの結果に基づいて、投与量や投与間隔を変えたり、継続、中止などを再検討します。
3.TDMの注意事項
薬物の血中濃度を測定し、データを解析して薬物の投与計画を立てる場合には、採血のタイミングが重要です。
①採血時期
薬物の血中濃度が一定の範囲で上下するようになった状態で採血。
(半減期の5~6倍の投与時間が必要)
②採血時間
効果と副作用の確認のために、トラフ値(投与直前値)での採血を行う。効果の指標が、ピーク濃度に依存するアミノグリコシド系薬の場合は、トラフ値とピーク値での採血を行う。
4.引用文献
日本化学療法学会抗菌薬 TDM ガイドライン作成委員会
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