【疑問】
今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、
血糖とHbA1c値が乖離しているときは何を考えるか?
についてまとめました。
結論から申し上げますと、このような場合に想起すべき疾患は異常Hb血症です。
なぜそのような鑑別疾患が想起されるかというとその背景にはHbA1c測定法のHPLC法の基礎知識が必要となります。まずはこちらの記事をご覧ください👇
1.異常Hb血症におけるHPLC法
異常Hb血症におけるHPLC法について考える際に根拠となる論文を一つご紹介します。
20例の異常ヘモグロビン血症の検体を用いてHPLC法によるHbA1c値と、GA値を比較した。
そのうち、HbA1c値のほうがGA値よりも低かったものをC1と分類しそれ以外をnon-C1とした。
C1の中でもα鎖とβ鎖の変異があるものにさらに分類した。
α鎖やβ鎖の欠損といった単純な変異に比べ、複雑なHb異常症の方がGA値よりHbA1c値が高値となりやすい傾向がある。
引用Classification of variant forms of haemoglobin according to the ratio of glycated haemoglobin to glycated albumin. Ann Clin Biochem. 2012 Sep;49(Pt 5):441-4
●HPLC法で測定したHbA1cが血糖および免疫法で測定したHbA1cと乖離すれば異常Hbであるといえる。
2.追加説明
日本における異常ヘモグロビン血症といえば代表的なのはサラセミアです。
サラセミアは小球性貧血の鑑別として国家試験で勉強した記憶のある方も多いとは思います。
引用「貧血データをどう読むか ~貧血の鑑別診断~」
横浜市立大学附属市民総合医療センター奈良典子 2015.4.27
疫学としては日本での発症頻度は約0.1%で九州や西日本に多いです。
それぞれα鎖、β鎖の合成が抑制されたαサラセミア、βサラセミアに大別され、日本ではβサラセミアが多いといわれています。
鑑別に上がった際は出身地や出身国をしっかり問診してみましょう。
3.参考ページ・医学ノート
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