今回はERで遭遇することの多い尿管結石についてにまとめました。
頻度が高い分、絶対に見逃してはならない鑑別疾患とスコアリングをしっかり把握しましょう。
1.ポイント
●侮ることなく必ず鑑別疾患を想起
●最初にすべき検査はCTではなくエコー
●結石性腎盂腎炎に注意
2.疫学
●急性発症の痛みを訴える男性が嘔気・嘔吐や血尿を伴う場合はかなり可能性は高い(STONE score参照)
●体内が脱水となる明け方に起きることが多い。当直中は午前5-6時ごろに経験することが多い
3.症状
●血尿を伴う腰背部痛、CVA knocking pain
●左右差ないときもあり、痛みに波があるのが特徴。嘔吐を伴うこともあり、よく身の置き所のない痛みと表現される。
●問診では家族歴を聞いてみてもいい(相関がある)
4.除外診断・注意すべき合併症
50歳以上:腹部大動脈瘤切迫破裂
女性:卵巣茎捻転、異所性妊娠
右側の痛み:虫垂炎や胆石、胆管・胆嚢炎
Afの既往:腎梗塞
発熱:結石性腎盂腎炎(超緊急!急変が起きやすい)
5.問診・診察のポイント
スコアリングの項目を意識した問診、診察が大切
STONEスコア(CTをとる前)
1,040人のコホートスタディーで作成された尿路結石の評価スコアでは、合計13点で低0~5点:約8%、中程度6~9点:5割、高10~13 点:約9割。
男性=2点
疼痛の期間(来院時)6-24時間=1点、6時間未満=3点
黒人= -3点
吐き気=1点または嘔吐=2点
尿検査にて血尿を認める=3点
STONEスコア(CTをとった後)も存在
それぞれMDCalcで計算してみてもよい
6.検査
●エコー
・水腎症を見つける AAA、膵炎、胆嚢炎もチェック
・手術が必要な異所性妊娠や卵巣茎捻転ではモリソン窩の液体貯留などをFASTを施行し確認することが大切
●尿検査
・多くの場合には尿潜血・血尿が陽性であるが、嵌頓した場合などでは陰性になることもある
・女性では妊娠の可能性を考えておく。妊娠反応が陽性か否かで、鑑別疾患は異なり、対応も変わる。
7.治療
排石促進薬は,抗コリン薬や生薬・漢方薬など
●生活指導(飲水励行・アルコールや動物性たんぱく質を控える・規則正しい生活)
8.引用、参考文献
Ann Emerg Med. 2016 Apr;67(4):423-432.e2. doi: 10.1016/j.annemergmed.2015.08.019. Epub 2015 Oct 3.
External Validation of the STONE Score, a Clinical Prediction Rule for Ureteral Stone: An Observational Multi-institutional Study.
Moore CL, et al. BMJ.2014;348:g2191.
第19回 侮ってはいけない尿路結石【救急診療の基礎知識】
https://www.carenet.com/series/sakamoto/cg002128_19.html?keiro=index
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