初期研修医にとって恐怖の場である、ICU…
挿管人工呼吸され、無数のシリンジポンプで管理されている患者さんに対して、
ローテし始めたばかりの研修医は何一つ介入できることはないかもしれません…
「ICUの患者さんの呼吸器設定を触るの怖すぎる…自分のせいで急変したらどうしよう…何もできない…」
「どんどん血圧が下がってくる…輸液をした方がいいの?それともカテコラミンを使った方がいいの…??」
僕自身もそんな風に無力感に苛まれていた研修医の一人でした。
今回はそんなICU管理の苦手意識を払拭する、集中治療分野学習の初めに読むべき一冊としておすすめするのがこちらです👇
※前作からさらにパワーアップした改訂版が2020年9月に発売されましたので、
今回は改訂版のレビューとなります!
この記事は、本書を田中竜馬先生からご寄贈いただき、
レビュー記事を書かせていただくことを公認していただいた医学書レビューとなります!
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.ターゲットと読了時間
本書の
ターゲット層は、
初期研修医1年目(中盤ー後半)・重症患者さんの管理を日々担当している後期研修医
推定読了期間は
9-10時間程度
です。
タイミングとしては、ある程度一般的な内科や麻酔科・救急科いずれかをローテした後の初期研修医1年目が最適かなと思います。
2.本書の特徴
本書は、米国の集中治療医である田中竜馬先生が
3.個人的総評
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
本書の特徴は、研修医と上級医(コテコテの関西弁…笑)の二人が、
重症な病態の患者さんの初療から全身管理までの流れを、
面白おかしく質疑応答しながら進んでいくストーリーにあると思います。
研修医が抱きがちな集中治療領域の素朴な質問に、上級医が病態生理から論文のエビデンスベースに丁寧に解答されていきます。
重症患者さんに何が起きているか、循環や呼吸の生理学を学ぶ上では最高の一冊であると思います。
さらに、今回特筆すべきは2020年の最新の論文までを網羅した内容となっていること!
前作で個人的に気になった敗血症の項目がアップデートされているのはもちろん、
これまでの集中治療のエビデンスがどのように変遷してきたかのストーリーを知ることができる点が魅了です。
冒頭の読者対象にも記載した通り、本書は初期研修医はもちろん、
後期研修医などの若手医療従事者にもオススメの一冊であると思います!
参考までの後期研修医1年目の私が今回の著書を読んだうえで特に勉強になったなと思った項目はコチラ👇
●BP上昇の3つの軸(交感神経・バソプレシン・RAA系)
●合成アンギオテンシンⅡ製剤について
●PEでのV/Qスキャンの適応と注意点
●ROXインデックスを用いたHFNC使用中患者の評価法(2019年提唱)
●定流量酸素投与を行われている患者さんのFiO2の解釈
一通り循環と呼吸について理解しているよ!と思っておられる
優秀な先生方にとっても、
最新のエビデンスが網羅された内容となっているので必ず学び・復習できる項目があるのではないかと思います!
4.おすすめの使い方
●時間に余裕がある方は、研修医と上級医の会話を含めゆっくり通読
●忙しい人はまとめページだけ読み込んでいく
●まとめページのサマリは本当に重要なエッセンスが含まれているので、
自分のノートに書き写してまとめる(Evernote)
初学者で時間に余裕があれば通読をお勧めします。本当に冒頭の会話は面白く、スラスラと読み進めることが出来るので!
ある程度理解している内容も多ければ終盤のまとめのページを読み込んで、
実際に引用されている論文を読むと、どのような竜馬先生がどのような解釈をしているのか知ることが出来て面白いです。
4.まとめ
タイトル:Dr.竜馬のやさしくわかる集中治療 循環・呼吸編 改訂版
著者:田中 竜馬
出版社:羊土社
発行年月日:2020/9/18
【タイプ】会話形式⇒まとめページ
【ターゲット】初期研修医1年目(中盤ー後半)・重症患者さんの管理を日々担当している後期研修医
【作者の背景】●敗血症や肺炎、COPDなど病棟や外来でよくみる内科疾患が重症化したときの基本的なアプローチ方法を病態生理の視点から氷解していく。
●ショックや低酸素に伴う嫌気性代謝など、全身管理で必要な基本的知識をわかりやすく解説の想い
【学べること】
●重症敗血症の初期対応と、その後の全身管理
例)カテコラミンや抗菌薬、適切なタイミングで適切に変更できますか?
●DO2を意識した全身管理をするための周辺知識の学習
例)全身の酸素化にどれだけHbが重要か、意識できていますか?
●輸液反応性を意識した循環動態への介入
例)輸液するのは血圧を上げるため??⇒COを増やすためです!
参考:救急科後期研修医1年目にとって参考になったと感じた項目の一例
●BP上昇の3つの軸(交感神経・バソプレシン・RAA系)
●合成アンギオテンシンⅡ製剤について
●PEでのV/Qスキャンの適応と注意点
●ROXインデックスを用いたHFNC使用中患者の評価法(2019年提唱)
●定流量酸素投与を行われている患者さんのFiO2の解釈
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
個人的には竜馬先生の医学書はシリーズでそろえて読むことをお勧めします。
なぜなら、竜馬先生の生理学や生化学といった病態把握の根幹の部分はどの医学書でも説明されており、シリーズで読むほうがその知識がより定着するなと実感したからです👇