初期研修医での救急科ローテが始まったばかりの後輩たちから必ずといっていいほど聞くのは、
「救急の教科書って何を買ったらいいでしょうか…?」
という質問です。
研修医の2年間の主戦場である救急外来…誰もが最初は不安です。
その際に救急分野の初めに読むべき一冊としておすすめするのがこちらです👇
あまりに有名な参考書であり、冗談抜きに日本中の研修医は必ず一冊持っているのではないかというこの本。
本書を通じて救急外来診療を学べば、今後救急車で搬送される患者さんに自信を持って対応できるようになります◎
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.ターゲット層
救急外来初日
上級医「失神の患者さんが来るよ!」
著者(どうしよう…まずはABCを確保して…しっかり意識レベルを評価して)
〈5分後患者さんが搬送される。意識清明でバイタル安定、元気に今日の朝ごはんの話をしているおじいちゃんのようだ…〉
著者(あれ、なにも問題がない…ここから何をしたらいいんだ…??)
これは著者が救急外来初日の初めての患者さんで経験し感じたことです(お恥ずかしい…笑)
当時は、
救急車で来るのはみんな重症!救急と言えばABCDだ、まずはABCD安定させるんだ!
という意識ばかりがあったのですが、実際の救急外来ではABCDが安定している、
いわゆる1次2次救急の患者さんが多く搬送されてきます。
しかも多くの病院においてはこういった患者さんの方が多いというのは当時の著者にとっては意外でした(不勉強すぎたのかもしれません…笑)。
おそらく救急外来での業務に慣れていない初期研修医の前半の当直はどんな研修医も言葉に表せない不安と恐怖を抱き、
救急車のサイレンが聞こえると胸がどきどきしてくるものだと思います。
自分にはそんな判断力ないよ!と感じてしまいそうですが、
実は、上級医の先生方は全ての事に対し咄嗟の判断をしているのではなく、
ある程度の症候別のパターン戦法にのっとって行動しています。
つまり、救急外来での具体的なアクションプランは、
思いのほか症候別に体系的に決まっていて、まずはその型を学ぶことが大切なのです。
本書はそんな症候別のアクションプランを学びたい初期研修医を対象とした一冊です。
本書のターゲット層は、
初期研修医1年目(特に前半)
推定読了期間は
12-15時間程度
2.本書の特徴
本書は、様々な名著を出版され、日本各地では大人気の講師として有名な坂本壮先生が、
●研修医が最も知りたい救急外来での基本事項を、定期的に研修医向けに行っていた勉強会の内容がベースに書籍化したい
●初めての事ばかりで何もわからない研修医全員を、救急外来で共に戦える仲間へと成長できるように教育したい
との思いで制作された一冊です。
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
●合計22つもの症候別に救急外来で必要な知識を体系的に習得
例)意識障害・失神・心筋梗塞・CPA他内科救急のメジャーな症候を網羅
●豊富な鑑別や病態の解釈、スコアリングの必要性など救急医の思考パターン
例)意識障害をきたす疾患がいくつ言えますか? Well’s criteriaを付けるべきタイミングは?
●初期研修医が陥りやすい救急外来でのピットフォールを上級医との楽しい対話形式で疑似体感
例)痙攣している患者さんがやってきたら、まず何をしますか?
●論文や成書だけでは学びきれない、現場で使いやすいclinical decision ruleも多数掲載されており、明日からの救急外来での業務にすぐに生かせる思考力
例)BZ系で止まらない痙攣重責…どうしましょうか?
そもそも痙攣重責と臨床上判断する基準は大きく2つ、わかりますか?
など、今後何科に進んでも大事な基礎となる救急外来の基礎を学習している事でしょう。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:[jinstar3.5 color=”#ffc32c” size=”16px”]
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
またインフレした総評を作ってしまいました…笑
この一冊を読まずして救急外来での仕事は始められないと思います!
各症候についての解説がベースであり1つ1つの章を通読していくことになるのですが、
読み始めは1ページ当たりの文章量がやや多く感じるかもしれません。
ですが、読み進めていくうちに感じるのは、
解説の文章の中には臨床で経験したり重要となるエッセンスがこれでもかと凝縮されており、
この文章量であっても、一つも無駄な文や内容がない!
と感じるはずです。なんと素晴らしく恐ろしい一冊なのでしょう…。
一度通読して救急外来診療について学んだ後でも、半年後や一年後はもちろん、今後医師として診療に当たる上で一生活用することができる一冊なのではないでしょうか。
ちなみに、あくまで個人的な印象ですが、内容については内科救急でよく遭遇する症候が網羅されている一方、
外傷やマイナー科の分野についてはやや手薄な症候もあるので、そちらは他の参考書も参考にして知識を肉付けしていくことをお勧めします。
マイナーエマージェンシーについて学びたい方はこちらの一冊がおすすめです👇
Amazonのレビューも素晴らしく参考になるので興味がある方は是非一読ください👇
4.おすすめの使い方
●まずは心して集中し、一冊通読する。
●その後は救急車の触れ込みを聞いて該当する症候を軽く一読、初療の後にもう一度読む。
●初療で悩んだこと、上級医に教えてもらったこと、自分で調べたことをこの一冊に集約化して自分だけの救急外来バイブルに!
個人的におすすめの使い方を紹介します。
セオリー通りな使い方ではありますが、手を抜かず初療の前後で本書を読むことでかなり理解が深まります。
書き込みまくって自分だけのバイブルにしましょう。
4.まとめ
【基本情報】
タイトル:救急外来 ただいま診断中!
著者:坂本壮
出版社:中外医学社
発行年月日:2015/12/3
【タイプ】
症候別の通読+上級医と研修医の対話形式の症例検討
【ターゲット層】
初期研修医1年目(特に前半)
【本書の種類】
通読系・目次系
【推定読了期間】
12-15時間程度
【本書の特徴】
●研修医が最も知りたい救急外来での基本事項を、定期的に研修医向けに行っていた勉強会の内容がベースに書籍化したい
●初めての事ばかりで何もわからない研修医全員を、救急外来で共に戦える仲間へと成長できるように教育したい
という思いを込めて制作されている
【本書で学べること】
●合計22つもの症候別に救急外来で必要な知識を体系的に習得
●豊富な鑑別や病態の解釈、スコアリングの必要性など救急医の思考パターン
例)意識障害をきたす疾患がいくつ言えますか? Well’s criteriaを付けるべきタイミングは?
●初期研修医が陥りやすい救急外来でのピットフォールを上級医との楽しい対話形式で疑似体感
例)痙攣している患者さんがやってきたら、まず何をしますか?
●論文や成書だけでは学びきれない、現場で使いやすいclinical decision ruleも多数掲載されており、明日からの救急外来での業務にすぐに生かせる思考力
例)BZ系で止まらない痙攣重責…どうしましょうか?
そもそも痙攣重責と臨床上判断する基準は大きく2つ、わかりますか?
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:[jinstar3.5 color=”#ffc32c” size=”16px”]
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●まずは心して集中し、一冊通読する。
●その後は救急車の触れ込みを聞いて該当する症候を軽く一読、初療の後にもう一度読む。
●初療で悩んだこと、上級医に教えてもらったこと、自分で調べたことをこの一冊に集約化して自分だけの救急外来バイブルに!
【本書のまとめ】
本書は臨床研修の救急外来診療に必須の参考書の一つである!
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どの診療科に進む初期研修医1年目にとっても、学んでおいて損のない参考書をまとめてレビューしています!
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