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【開口〜喉頭鏡の操作】
【声門の確認〜チューブ挿入】
【確認と位置調整】
【まとめ】
0:00クロスフィンガーで確実な開口をしよう
喉頭鏡のブレードを握る前に、まず大事なのが開口です。クロスフィンガーで確実に口を開けるところからスタートしましょう。
💡 開口のポイント
| 方法 | やり方 |
|---|---|
| クロスフィンガー(基本) | 右手の親指と人差し指をクロスさせて開口。親指は天井に向かってグッと力を入れるイメージ |
| 両手法(開口不十分な場合) | 下顎に両手をかけて、前方に脱臼させるように開ける |
⚠️ よくあるミス:親指を足側に押し込んでしまう
親指を患者さんの足側(鼻側)に押し込んでしまうと、せっかく挙上していた下顎が落ちてしまいます。口が開いているように見えても、口腔外しか見えない状態になってしまうんですよね。
親指を上に向けて、咽頭の後壁を見るようなイメージで開口すると、視野が確保しやすくなります。
1:27喉頭鏡の握り方:根元を持つ理由
皆さんは喉頭鏡をどのあたりで握っていますか?
ポイントは、なるべくブレードの根元を持つことです。
📋 握り方で変わること
| 握る位置 | 何が起きるか |
|---|---|
| 先端寄り | テコの原理でブレードが上に立つ方向に動く → 前歯を折るリスク |
| 根元(推奨) | 安定した持ち上げが可能 → 前歯への負荷が少ない |
先端を持ってしまうと、どうしてもこう「てこで返す」動きになりやすいんですよね。根元を持つだけで、自然と正しい方向に力がかかるようになります。
2:22ブレードの進め方:喉頭蓋谷を目指す
今回はマッキントッシュ型をベースにお話ししています。
🫁 ブレード挿入の3ステップ
- 真下から挿入:咽頭蓋の裏(喉頭蓋谷)に引っ掛けるイメージで、ブレードを沿わせていく
- 舌を避けて移動:ブレードに舌を沿わせながら、舌根をグッと押しのけるように進める
- 喉頭蓋谷にかけて持ち上げる:喉頭蓋谷にブレードがかかったら、グッと上に持ち上げなくても声門がある程度視認できる
💡 「今どこにいるか」を常に意識する
ブレードの先端が、喉頭蓋のどこに位置しているのかを常に意識すること。これがめちゃくちゃ大事です。マッキントッシュやマックグラスでは、喉頭蓋の裏の喉頭蓋谷にブレードを引っ掛けに行くイメージで進めていきます。
ブレードがしっかり入っていれば、強い力で持ち上げなくても、喉頭蓋がペロッと上がって声門が見えてくるんですよね。
3:12声門が見えた!でも焦らない
声門が見えたら、つい急いでチューブを入れたくなりますよね。でも、ここで焦らないのがポイントです。
🔍 声帯の動きを確認しよう
完全な筋弛緩をかけずに、フェンタニルやケタミンだけで自発呼吸を残して気管挿管を試みる場合は、声帯が閉じたり開いたりしているのが見えます。
稀に喉頭痙攣が起きていることもあるので、声門が見えたら正常と異常の解剖を確認するという意識を持っておくことが大切です。
4:09BURP:介助者が声門を見やすくする方法
介助者がBURP(Backward Upward Rightward Pressure)を行うことで、声門が見やすくなることがあります。看護師さんが介助に入る場面でもよく使いますよね。
🫁 BURPの解剖学的ポイント
声門は甲状軟骨のレベルにあります。
- 甲状軟骨の位置を触って把握する
- 画面(喉頭鏡の視野)を見ながら、声門が見やすい方向に調整する
- 解剖の高さを理解しておくと、どこを押せばいいかがわかる
体表から触れるランドマークと、喉頭鏡の画面で見えている世界をリンクさせておく。この感覚が大事なんですよね。
5:00チューブ挿入のコツ:つまみ方と手首の使い方
声門が見えたら、いよいよチューブの挿入です。
✅ チューブ操作の3つのコツ
- 声門マーカー(黒線)を通過するまで確認する:声門が見えても、マーカーが通過するところまでしっかり見届ける
- 「置く」イメージで挿入する:グググッと押し込むのではなく、奥にそっと先端を置くような感覚で入れると、優しい挿管になる
- 手首は背屈+回外:チューブをつまんだ後、手首を反らせて親指を外に開くように回す。これだけで先端の操作性がかなり上がる
⚠️ 避けたい持ち方
- 先端すぎるところを持つ → コントロールが難しい
- 根元すぎるところを持つ → 同様に操作しにくい
- 握りしめる → 微調整ができなくなる
「つまむ」→「背屈」→「回外」の3ステップを意識してみてください。
5:56ETCO2で気管挿管を確認する
気管挿管の後、まず確認すべきは「本当に気管に入っているか」ですよね。
📋 ETCO2による確認
| 確認方法 | ポイント |
|---|---|
| カプノメーター(独立型) | モニターに映さず、波形と数値が直接表示されるタイプ |
| 人工鼻接続型 | 人工鼻に紐でつなげてETCO2をモニタリングするタイプ |
どちらの方法でも、必ずETCO2の波形と数値で気管挿管の成功を確認する習慣をつけましょう。
💡 心肺蘇生ガイドラインでも推奨
ETCO2を用いた気管挿管の確認は、心肺蘇生のガイドラインでも推奨されています。聴診所見や胸郭の上がりなど複合的な評価はもちろん大事ですが、ETCO2の信頼度はかなり高いということは覚えておきたいですね。
6:56レントゲンで位置確認:忘れがちだけど大事
ETCO2で気管内にあることが確認できたら、次はチューブの位置をレントゲンで確認します。
📊 チューブ位置の目安
| 確認項目 | 目安 |
|---|---|
| カフの位置 | 声帯より約3cm下方 |
| 先端の位置 | 気管分岐部(カリナ)から2〜3cm上方 |
⚠️ 「急いでるからレントゲンは後で」は危ない
緊急で気管挿管した後、脳卒中のCTに行きたい、心筋梗塞の治療に行きたいけど大動脈解離だけ否定したい…と急ぐ場面はありますよね。
でも、もし片肺挿管になっていたら、片側の肺が完全に虚脱してしまう可能性があります。もともとの原因疾患に対して悪さをすることもゼロではないんです。
- 気管挿管したら、ポータブルレントゲンを呼ぶことを忘れない
- 焦っている時ほど深く入りすぎがちなので注意
- ICU入室後も毎日の位置確認を忘れずに
💊 胃管も一緒に確認すると効率的
胃管を挿入した後にレントゲンを撮ると、気管チューブと胃管の位置を同時に確認できて、手順が少なく済みます。
8:43まとめ:手技の前に、判断と準備を整える
✨ 今日のポイント:気管挿管の基本手技
- 開口:クロスフィンガーで確実に。親指は天井に向ける。不十分なら両手法も
- 喉頭鏡の握り方:根元を持つ。先端を持つとテコで前歯を折るリスク
- ブレードの進め方:喉頭蓋谷を目指して舌を沿わせながら進める
- 声門の確認:見えても焦らない。声帯の動きや異常を確認する
- BURP:甲状軟骨の高さを理解して、介助者と連携する
- チューブ挿入:「つまむ→背屈→回外」で操作性アップ。声門マーカーまで確認
- ETCO2:波形と数値で気管挿管を確認。信頼度が高い
- レントゲン:カフは声帯から3cm下、先端はカリナから2〜3cm上を目安に
💡
「気管挿管って、どうしても”いかにうまく入れるか”に目が行きがちだよね。でも、緊急で挿管する時は条件が悪いのが当たり前。その条件をいかに整えに行くか、そこが本当に大事なんだ。手技はもちろん練習する。でも、その手前にある判断と準備にこそ、時間をかけていこう。」
参考文献
- Higgs A, et al. Guidelines for the management of tracheal intubation in critically ill adults. Br J Anaesth. 2018;120(2):323-352.
- Brown CA, et al. The Walls Manual of Emergency Airway Management. 6th ed. Wolters Kluwer, 2022.
- 日本救急医学会.『JATEC 外傷初期診療ガイドライン』改訂第6版, へるす出版, 2021.
- Panchal AR, et al. Part 3: Adult Basic and Advanced Life Support: 2020 AHA Guidelines. Circulation. 2020;142(16_suppl_2):S366-S468.
どうですか?あなたの感想を聞かせてください。
気管挿管って、手技そのものはもちろん大事なんですけど、僕が最近よく思うのは、緊急で挿管する時は条件が悪いのが当たり前だということなんですよね。
手術室で全身麻酔をかけて、筋弛緩をしっかりかけて、ゆっくり挿管する。それと、救急外来で意識が悪い患者さんに緊急で挿管するのとでは、まったく状況が違います。
だからこそ、その条件をいかに整えに行くか。挿管の判断、リスク評価、準備。この手前の部分にこそ、もっと目を向けたいなと思っています。
今月のリアルタイムセミナーでは、実際の症例をベースにしながら、気管挿管・気道確保について一緒に議論していきましょう。
一緒に学び、一緒に悩み、そして一緒に成長していきましょう。
Qラボ 2026年4月 アーカイブセミナー③
講師:三谷雄己(広島大学病院 救急集中治療医)





