学習

心停止!最初の3分がカギ【現場で動ける3つのアクション】

「先生、心停止です!」

この言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になったことはありませんか?

私も研修医1年目の当直で、初めての心停止に遭遇した時、足がすくみました。何をすればいいか分かっているはずなのに、体が動かない。そんな経験をしました。

でも、心肺蘇生は「やるべきこと」がはっきりしています。この記事では、心停止に遭遇した時に「まず何をするか」を整理します(1)。


まず確認:反応と呼吸(10秒以内)

患者さんの反応がない。これが心停止を疑う最初のサインです(1)。

📋 心停止の認識(10秒以内)

  1. 反応を確認:肩を叩いて「大丈夫ですか?」と呼びかける
  2. 呼吸を確認:胸の動きを見る(10秒以内)
  3. 反応なし+呼吸なし(or 死戦期呼吸) → 心停止と判断

ここで大事なのは、10秒以内に判断することです(1)。

💡 臨床のコツ

「死戦期呼吸(agonal gasps)」は心停止のサインです。あえぎ呼吸、しゃくり上げるような呼吸を見たら、心停止と判断してCPRを開始します(1)。


アクション1:応援を呼ぶ

心停止と判断したら、まず応援を呼びます(1,2)。

💡 応援を呼ぶ時のポイント

  • 院内:「コードブルー」「ハリーコール」など院内のシステムを起動
  • 院外:119番通報 + AEDを依頼
  • 具体的に指示:「あなた、救急車を呼んでください」「あなた、AEDを持ってきてください」

アクション2:胸骨圧迫を開始する

心停止で最も重要なのは、質の高い胸骨圧迫です(1,2)。

✅ 質の高い胸骨圧迫の基準(AHAガイドライン)

項目 基準
圧迫の深さ 少なくとも5 cm(6 cmを超えない)
圧迫のテンポ 100〜120回/分
圧迫の解除 毎回、胸壁を完全に戻す
中断の最小化 中断時間を10秒以内に

「強く、速く、絶え間なく」。これが胸骨圧迫の合言葉です(1)。

Christenson Jらの研究(Circulation 2009)では、胸骨圧迫の中断が10秒長くなるごとに、生存退院率が低下することが示されています(3)。


アクション3:AED/除細動器を装着する

胸骨圧迫と並行して、AEDまたは除細動器を装着します(1,2)。

📊 除細動のタイミング

  • Shockable rhythm(VF/pVT):すぐに除細動 → CPR再開(2分間)
  • Non-shockable rhythm(Asystole/PEA):CPR継続 + 原因検索

除細動後は、脈の確認をせずにすぐにCPRを再開することがポイントです(1)。

VFの場合、除細動が1分遅れるごとに、生存率は7〜10%低下すると言われています(2)。


CPR中に考えること:Hs and Ts

CPRを継続しながら、心停止の原因を考えます(1,4)。

📋 Hs and Ts(可逆的原因)

H T
Hypovolemia(循環血液量減少)
Hypoxia(低酸素)
Hydrogen ion(アシドーシス)
Hypo/Hyperkalemia(低/高K)
Hypothermia(低体温)
Tension pneumothorax(緊張性気胸)
Tamponade(心タンポナーデ)
Toxins(中毒)
Thrombosis, pulmonary(肺塞栓)
Thrombosis, coronary(心筋梗塞)

ROSC後に忘れてはいけないこと

心拍が再開(ROSC)したら、それで終わりではありません(1,5)。

✅ ROSC後のポイント

  • 12誘導心電図:STEMIの有無を確認(必要ならカテ室へ)
  • 体温管理療法(TTM):32〜36℃で24時間以上
  • 血行動態の安定化:低血圧を避ける(MAP ≥ 65 mmHg目標)
  • 原因治療:Hs and Tsへの対応

Roberts BWらの研究(JAMA 2018)では、ROSC後の高酸素血症が死亡率上昇と関連することが示されています(5)。SpO₂ 92〜98%を目標としましょう。


まとめ

✅ 心停止で最初にやること

  1. 反応と呼吸を確認(10秒以内)
  2. 応援を呼ぶ(コードブルー、119番)
  3. 胸骨圧迫を開始(強く、速く、絶え間なく)
  4. AED/除細動器を装着(Shockable rhythmなら除細動)
  5. 原因を考える(Hs and Ts)

引用文献

  1. Panchal AR, Bartos JA, Cabañas JG, et al. Part 3: Adult Basic and Advanced Life Support: 2020 American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care. Circulation. 2020;142(16_suppl_2):S366-S468.
  2. Soar J, Böttiger BW, Carli P, et al. European Resuscitation Council Guidelines 2021: Adult Advanced Life Support. Resuscitation. 2021;161:115-151.
  3. Christenson J, Andrusiek D, Everson-Stewart S, et al. Chest Compression Fraction Determines Survival in Patients With Out-of-Hospital Ventricular Fibrillation. Circulation. 2009;120(13):1241-1247.
  4. 日本蘇生協議会. JRC蘇生ガイドライン2020.
  5. Roberts BW, Kilgannon JH, Hunter BR, et al. Association Between Early Hyperoxia Exposure After Resuscitation From Cardiac Arrest and Neurological Disability: Prospective Multicenter Protocol-Directed Cohort Study. Circulation. 2018;137(20):2114-2124.

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