整形外科系疾患の中でも非常に頻度の高い疾患の一つが大腿骨近位部骨折。
コンサルトの際には、どのようなことに注意しなければならないのでしょうか?
大腿骨近位部骨折の基本をベースに、整形外科へのコンサルトのタイミングや要点のまとめ方などを中心に解説していきます。
忙しい救急外来のコンサルトは、緊急性と合わせて治療に必要な知識を適切にサマライズすることが求められます。
限られた時間でコンサルトする必要があるからこそ、常日頃から情報をどのようにまとめていくかを考える癖をつけておくことが大切です。
そうすれば、いざという時に焦らずスムーズに情報共有することができるでしょう。
Antaaとは、医師・医学生向けのオンラインプラットフォームのことです。
日々の情報のアップデートと、日本各施設で活躍されている先生方の近況が知ることが出来て、私自身とても毎回刺激を受けております。
Antaaではこのようなスライド含め、様々なコンテンツがFacebookグループ・アプリで日々配信されていますので、以下のリンクより登録し視聴してみてください!(なんと無料です!)
⭐️Antaa医師医学生限定Facebookグループはこちらから
⭐️Antaaアプリダウンロードはこちらから👇
(iOS版)
(Android版)
※今回の記事は普段よりお世話になっている、
アンター株式会社COOの西山様含め、
Antaaにて執筆の許可をいただいている記事になります。
詳細はコチラをチェック👇
以下、スライドの文章まとめです。URL等参考にしていただれば幸いです◎
テキスト全文
-
スライド画像)広島大学病院 演者作成
-
平日日中の救急外来で脛骨骨幹部骨折と診断 コンパートメント症候群の可能性あり 手術中の多忙な整形外科医にコンサルトをしたい…
-
1. コンサルトとは 2. 整形外科へのコンサルトの特徴 3. コンパートメント症候群とは 4. コンサルトの組み立て方 目次
-
1. コンサルトとは 2. 整形外科へのコンサルトの特徴 3. コンパートメント症候群とは 4. コンサルトの組み立て方 目次
-
プレゼンテーション=プレゼント
-
プレゼン≠コンサルト コンサルトの主な目的 意思決定してもらうこと さらに寄り添ったプレゼンテーションを
-
普遍的なニーズ 正確に 簡潔に 礼儀正しく
-
患者情報量と所要時間のグラフ 所要時間 患者情報量 好ましい 好ましい 聞き手のニーズがどこなのか
-
●情報の重み付け must say > should say > could say ●病態の緊急度や相手の状況に合わせて 情報を取捨選択し, 組み合わせる コンサルトする情報を重み付けし 取捨選択するスキルが重要
-
1. コンサルトとは 2. 整形外科へのコンサルトの特徴 3. コンパートメント症候群とは 4. コンサルトの組み立て方 目次
-
まずは急ぐ病態を理解する
-
整形外科が電話口で考えていること ❶ 緊急で対診・治療介入が必要かどうか ❷ 手術加療が必要かどうか ❸ dispositionをどうするか(入院or帰宅)
-
must say ≒緊急で対診, 治療介入が必要かの判断に必要な情報 should say ≒手術適応,disposition の判断に必要な情報 整形外科へのコンサルトに含める情報
-
1. コンサルトとは 2. 整形外科へのコンサルトの特徴 3.大腿骨近位部骨折とは 4. コンサルトの組み立て方 目次
-
大腿骨近位部骨折 ●大腿骨頸部骨折や大腿骨転子部骨折などの 文字通り大腿骨近位部に生じる骨折を包括した名称 ●歩行は困難であり基本的に入院適応 ●できる限り早期の手術が推奨されている(48時間以内)
-
大腿骨近位部骨折の患者数 Hagino H, et al.Osteoporos Int. 2009; 20:543–548 ●非常にコモンな骨折 年間20万人以上 2030年には年間新規患者数は29万人に達すると予想…
-
大腿骨近位部骨折の分類 画像2024年レジデントノート7月号 著者作成 術式に関わる情報 この図を参考にコンサルトできるとベター
-
四肢外傷では骨折の有無・PMSを必ず評価 スライド画像)広島大学病院 演者作成 スライド画像)広島大学病院 演者作成 ●2方向の撮影が原則(正面・側面) 【例外】 ・関節周囲の骨折を疑った場合は 両斜位を加えた4方向 ・膝蓋骨➡skyline,肩関節➡scapular Y ・中手骨:正面・斜位 ●小児は必ず健側も撮影(骨端線があるため) ※明らかに骨折がある場合は、撮影前にシーネ固定検討
-
四肢外傷では骨折の有無・PMSを必ず評価 スライド画像)広島大学病院 演者作成 ●PMSの評価が大切! P:pulse(脈の触知) M:motor(運動障害の有無) S:sensory(感覚障害の有無)
-
1. コンサルトとは 2. 整形外科へのコンサルトの特徴 3. コンパートメント症候群とは 4. コンサルトの組み立て方 目次
-
平日日中の救急外来 大腿骨近位部骨折 の診断で入院加療が必要だと判断 外来診療後の業務が落ち着いている 早めに手術調整+入院を 整形外科医に依頼したい…
-
適切な情報量は? ●比較的落ち着いていそうなタイミング●病態としては超緊急ではない ▼ must say(緊急性が伝わる情報)を1-2つshould say(術式や術前のマネジメントを判断するのに必要な情報)を3-5つ
-
【年齢・性別】80 歳 女性 【主 訴】右股関節痛 【現病歴】入所中の施設の屋内でつまづいて転倒し受傷.意識消失なし 【既往歴】慢性心不全,高血圧症,脳梗塞 【生活歴】介護老人保健施設入所中.要介護2.杖歩行 【アレルギー歴】なし 【内服歴】アスピリン 100 mg 1 回1 錠 1 日1 回(朝食後) サ クビトリル・バルサルタン(エンレスト®)200 mg( ARNI)1回1錠 1 日2 回(朝・夕食後) ビソプロロール 2.5 mg 1 回1 錠 1 日1 回(朝食後) 【バイタルサイン】SpO2 95 %(2 L/ 分)その他はおおむね安定. 【身体所見】 もとより左不全麻痺あり.右大腿scalpa三角の圧痛あり. 股関節の内外旋で疼痛あり. 【検査所見】Hb 9.1g/dL の貧血あり.その他特記所見なし 【評価と介入 】右大腿骨頸部骨折の診断で,入院および手術加療が必要. 低酸素血症は受傷前からあり,おそらく心不全による胸水貯留が原因か. 入院時および術前の一般的な検査は実施済 【方 針】整形外科に入院および加療を依頼 コンサルト時の情報のまとめ
-
どう取捨選択する? must say の情報を1~2個 ≒緊急性の高さを伝える情報 簡単な受傷機転や時間,骨折部位,PMSの所見
-
入院およびご加療をお願いしたい右大腿骨頸部骨折の 患者さんについてご相談です。 特別養護老人ホームに入所中の80歳女性で、屋内でつまづいて受傷されました。既往症としては慢性心不全や脳梗塞があり、抗血小板薬の内服歴があります。普段のADLは脳梗塞による左不全麻痺のため杖歩行で、要介護2です。 転倒の内因性の原因はなく、他部位に明らかな外傷はありません。 バイタルサインとしては、もともと転倒前より心不全による胸水貯留があり、施設では酸素2 L/分の投与を要していますが、その他はおおむね安定しています。 採血ではHbが9.1 g/dLの貧血が認められました。 輸血検査や画像検査、心電図などの一般的な入院および術前の検査は実施済みです。 入院および手術加療をお願いいたします。 コンサルト内容の組み立て(一例)
-
参考文献 『臨床研修の羅針盤』 羊土社 出版 整形外科へのコンサルトを執筆担当しました◎ 事例をベースにしたコンサルトについて学べる、素敵な一冊です!
-
コンサルトをもっと学びたい人は? 『臨床研修の羅針盤』 羊土社 出版 https://dancing-doctor.com/compass-for-resident/
●コンサルトの基本や臨床研修でぶつかる壁について学びたい方はコチラ👇