日本版敗血症診療ガイドライン2020より
血液培養を取るタイミングと正しい採取方法
についてまとめました。
採取するセット数や、分注する量など施設によって異なるところもあるのではないでしょうか?
こちらの内容について今回は文献を用いて解説していきたいと思います。
1.血液培養を取るタイミング
血液の中に細菌感染している菌血症の状態に陥っていないか検査するのが血液培養の検査です。
まず血液培養を提出するシチュエーションとして考えられるのは、発熱などの症状により感染症及び敗血症を疑ったときですね。
病歴はもちろん、バイタルサインの変化などにより早期に敗血症を想起します。
キーワードは敗血症ガイドラインでも強調されている、q-SOFAです。
SOFAスコア、q-SOFAについての詳しい記事は以下をチェック👇
また、その他に血液培養を考慮するシチュエーションとしては、
原因不明の発熱、低血糖、意識障害、ショックなどの症例で考慮します。
身体所見としては、悪寒戦慄、シバリングを認めたときは迷わず血液培養を提出しましょう!
2.血液培養の正しい採取方法
敗血症における血液培養
●抗生剤投与前に2セット以上提出
1セットあたり20-30mlを採取
血液培養の陽性率:5-13% コンタミ率:20-56%
●セットの数を増やせば感度は上昇
1セット:約80% 2セット:約89% 3セット:約98%との報告あり
●基本は2セット提出(IEのみ3セット)
引用:日本版敗血症診療ガイドライン2020 CQ2-1
敗血症ガイドラインより、推奨されている血液培養の採取法をまとめました。
まずポイントとなるのがコンタミネーションを避けるということ。
採取する前に入念に皮膚表面の常在菌を消毒することが大切です。
皮膚表面の消毒薬にはアルコールやポビドンヨード、クロルヘキシジンなどを用いられることが多いですが、中でもクロルヘキシジンを用いたほうがコンタミネーションのリスクが低いと言われている2)ので、アレルギーなど使用できない状況でない場合はまずクロルヘキシジンでの消毒を行います。
血液培養の培養セット数によって感度が変わるのも注目すべきポイントです。
文献により報告は様々ですが、敗血症診療ガイドラインでは1セット:約80% 2セット:約89% 3セット:約98%と記載されています。
一方で1セットでの感度は73%との報告もあるので3)、基本的に培養は複数提出するのを徹底しましょう。
採取部位については、鼡径部には皮膚常在菌や排尿及び排便による汚染がありコンタミ率が上がるので、鼠径を避けて採血するのを忘れずに注意します。
3.引用文献
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