【疑問】
今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、
レジオネラ肺炎はなぜ比較的徐脈なのか?
についてまとめました。
USMLEを思い出すような病態生理の勉強を久々にして面白かったので紹介させていただきます。
感染症の鑑別の際にも重要となる特徴の一つですので、比較的徐脈についても少しだけ書きました!
1.そもそも比較的徐脈とは?
比較的徐脈:発熱のわりに脈が頻脈とならないこと1)
38.3度以上の発熱があるにもかかわらずこの法則通りの心拍数の上昇がみられない状態を「Faget徴候」または「比較的徐脈」という。比較的徐脈は38.9度を超える体温のときには優位な所見と考えれらており、病歴や身体診察、臨床検査データと合わせて用いられる。
臨床において、比較的徐脈を簡単に注意できるゴロと、よく出会う疾患については以下のまとめを参考にしてみてください👇
「39度では110番」
39度以上で110bpm以下であれば徐脈性不整脈
・レジオネラ
・非定型肺炎
・薬剤熱
・他(腸チフス・デング・レフトスピラ)
また、これまで教科書的には非定型性肺炎の特徴の一つとして比較的徐脈があげられていましたが、非定型肺炎の近年ガイドラインからは削除されています。
「比較的徐脈がみられる」の項目は、レジオネラ肺炎やオウム病では感度が高いが、他の非定型肺炎では低いのです。
2.レジオネラ肺炎はなぜ比較的徐脈なのか?
ではここからが今回の記事の本題となります。
今回調べて出てきたのは仮説の一つではありますが、USMLEを思い出すような病態生理の勉強を久々にして面白かったので紹介させていただきます。
最近の知見では、炎症に伴う頻脈の病態生理としてLPS(lipopolysaccharide)刺激に伴って産生さ れるthromboxane A2及びprostaglandin F2 α によることが証明されてきている。
多くの細菌の LPSはToll-like receptor 4に結合することが知られているものの、レジオネラのLPSはToll-like receptor 2に結合することから、LPSによる刺激後の経路が異なることが仮説として考えられる。
第114回日本内科学会講演会 超世代の内科学―GeneralityとSpecialtyの先へ―
3.参考ページ・医学ノート
4.引用文献
1)The Clinical Significance of Relative Bradycardia.
Ye F, Hatahet M, Youniss MA, Toklu HZ, Mazza JJ, Yale S.
WMJ. 2018 Jun;117(2):73-78.
2)非定型肺炎のガイドライン
3)第114回日本内科学会講演会 超世代の内科学―GeneralityとSpecialtyの先へ―
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