「もっと輸液入れた方がいいですか?」
ショックの患者さんに輸液を開始したものの、どこまで続けるべきか迷うことありますよね。輸液は少なすぎても多すぎても害になります。
私も以前、「とりあえず輸液」で入れすぎてしまい、肺うっ血を悪化させてしまった苦い経験があります。
この記事では、輸液反応性の評価方法と、輸液を止めるタイミングについて解説します(1)。
輸液反応性とは
輸液反応性(fluid responsiveness)とは、輸液を投与することで心拍出量が増加するかどうかを指します(1,2)。
📋 輸液反応性の定義
- 輸液反応性あり:輸液負荷で心拍出量が10-15%以上増加
- 輸液反応性なし:輸液負荷しても心拍出量が増えない
輸液反応性がない状態で輸液を続けると、肺水腫や組織浮腫の原因に(1)。
重要なのは、血圧低下=輸液が必要、ではないということ。
心原性ショックに輸液を入れすぎると、むしろ悪化します(2)。
体液過剰を避ける管理が重要になるわけです。
静的指標の限界
従来使われてきた「静的指標」には限界があります(2,3)。
⚠️ 輸液反応性の予測に使えない指標
- CVP(中心静脈圧):輸液反応性との相関が低い
- PAWP(肺動脈楔入圧):同様に予測精度が低い
- 心拍数:様々な要因で変動
- 尿量:遅延して反映される
CVPは長年使われてきましたが、輸液反応性の予測には不向きであることが分かっています。
「CVPが低いから輸液」という判断は見直す必要があります(3)。
💡 臨床のコツ
CVPは「輸液が必要かどうか」より、「右心負荷がかかっているか」を見るのに有用です(3)。
動的指標を使おう
輸液反応性の評価には、動的指標が推奨されています(1,4)。
💡 輸液反応性の動的指標
| 指標 | 方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| PLR(受動的下肢挙上) | 下肢を45°挙上し、1-2分後の変化を見る | 自発呼吸でも使える |
| PPV/SVV | 呼吸による脈圧/1回拍出量の変動 | 調節換気、洞調律のみ |
| IVC呼吸性変動 | エコーでIVC径の変動を評価 | 調節換気と自発呼吸で解釈が異なる |
| ミニ輸液負荷試験 | 100-200mLを1分で投与 | 少量で反応を確認 |
PLR(Passive Leg Raising)は、自発呼吸患者でも使えるのがメリット。下肢を挙げることで約300mLの輸液効果を模擬し、反応を見ます(4)。
いつ輸液を止めるか
輸液をやめるタイミングを見極めることが重要です(1,5)。
✅ 輸液を減らす・止めるサイン
- 輸液反応性がなくなった:PLRで変化なし
- 末梢灌流が改善:乳酸低下、CRT短縮、尿量増加
- 過剰輸液の兆候:肺うっ血、末梢浮腫、IVC拡大
- 血圧・心拍が安定:昇圧薬なしで維持
💡 臨床のコツ
「輸液反応性がある」ことと「輸液が必要」は別です。
反応性があっても、灌流が改善していれば追加輸液は不要です(5)。
Lacなどを参考にしましょう。
まとめ
✅ 輸液負荷のポイント
- 静的指標(CVP)に頼らない:輸液反応性の予測に不向き
- 動的指標を使う:PLR、PPV/SVV、IVC変動
- 過剰輸液を避ける:肺水腫、浮腫のリスク
- 灌流改善を目標に:乳酸、尿量、末梢所見
引用文献
- Cecconi M, De Backer D, Antonelli M, et al. Consensus on circulatory shock and hemodynamic monitoring. Task force of the European Society of Intensive Care Medicine. Intensive Care Med. 2014;40(12):1795-1815.
- Marik PE, Cavallazzi R. Does the central venous pressure predict fluid responsiveness? An updated meta-analysis and a plea for some common sense. Crit Care Med. 2013;41(7):1774-1781.
- Marik PE, Baram M, Vahid B. Does central venous pressure predict fluid responsiveness? A systematic review of the literature and the tale of seven mares. Chest. 2008;134(1):172-178.
- Monnet X, Marik P, Teboul JL. Passive leg raising for predicting fluid responsiveness: a systematic review and meta-analysis. Intensive Care Med. 2016;42(12):1935-1947.
- Malbrain MLNG, Van Regenmortel N, Saugel B, et al. Principles of fluid management and stewardship in septic shock: it is time to consider the four D’s and the four phases of fluid therapy. Ann Intensive Care. 2018;8(1):66.





