救急搬送された重症患者さん…この患者さんの住宅ローンはどうなるの?失業中の手当ては?
私が後見人ですと現れた近所の隣人…この人は本当に後見人?
推定意思がわからない患者さん…どこまでの治療をすればいいの…?
これらは日々ERで後輩や同僚と仕事をする中で感じる疑問点であり、
私自身も上記のような「もしも」の状況が来たらどう対応するべきかと日々想定をしています。
本書は、集中治療学会U35メンバーとして繋がる事ができた、著者の白崎先生からご贈呈いただきました。
自身が医療従事者としてこの本に向き合ってみた結果、”医療従事者としても読み応えがあり、かつ心を打たれる一冊”であると感じたので、ご紹介させていただければと思います。
自分の家族や友人が救急搬送される重症の状態だったときに、どのように対応すべきか、何が起きているのかということを明らかにしている一冊です。
急性期医療などについての想像がしにくい一般人向けのものとなっていると感じました。
今回のレビューは、救急医という急性期の医療を担う医療従事者としての視点で、医療従事者の読者層に向けて、ご意見を述べさせていただければと思います。
今回、今より一歩患者さんに寄り添ったケアをするために読むべき一冊として自分が自信をもっておすすめするのがこちらです👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専門医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
救急外来対応や、集中治療領域などの急性期医療に関わる全ての医療スタッフ
【推定読了期間】
2-3時間程度(医療従事者の場合)
です。
2.本書の特徴
本書は、亀谷 航平 先生, 白﨑 加純 先生が執筆された、
【本書の特徴】
●イメージがつきやすいキャラクターが登場
●医療スタッフの方々それぞれの視点で、熱い思いを持って執筆されている文章
が特徴の一冊です。
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること】
●救急科でよく経験するリアルな症例とその家族への対応方法
●患者フォローに関する医学的知識のみならず、金銭的、心理的な知識
これらは研修医の先生方にとっては今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると思います。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
本書の特徴はなんと言っても、一般の方々に寄り添った文体となっており、とても読みやすいということです。
それぞれの症例の冒頭部分や肝となる病状説明の部分に関しては、漫画で掲載されています。
漫画で、それぞれのキャラクターや登場人物の状況や表情、感情などを理解した上で文章を読み進められるので、とてもイメージがつきやすいと感じました。
また、これら疑問点などを医師だけでなく、看護師さんやソーシャルワーカー、理学療法士の先生方の立場から解説してくれています。
そして、現場で日々悩みながら患者さんと向き合っている医療スタッフの方々が、熱い思いを持って執筆されている文章。
私自身、医師として救急医として患者さんと向き合っていますが、自分の周りにはこんなにも熱い看護師さんやソーシャルワーカー、リハビリの方々がいるのだと改めてとても心強く感じました。
本書の構成としては、脳卒中、敗血症など重症の病態を抱えて救急搬送される患者さんのリアルな症例をベースに、家族や友人が悩む点を一つずつ紐解いていく一冊となっています。
私自身、「同様の症例をよく経験するなぁ」と頷いてしまうようなリアルなものばかりでした。
それらの症例から、
- 患者さんが実際に失業した後、どれぐらいの負担になるのか、
- 療養の病院に転院した後、どれぐらい家族の金銭的な負担があるのか
- 家族に連絡がつかないときはどう対応したらいいのだろう
といった患者さん家族だからこその疑問を学ぶことができます。
自分自身、上記の質問されたことが過去にありました。
そして、それらについてクリアに応えられなかったという経験を思い出しました。
(お金のことに関しては自分自身も色々と理解したいと思い、ファイナンシャルプランナーを勉強して3級を習得したことがあります。
しかしそれらの知識は、やはり自分自身の確定申告など普段活用する情報以外は抜け落ちてしまっているのだと改めて認識しました…。)
本書を通して、より患者さんサイドの視点を持つことができるようになり、医療者向けの教科書で学ぶことができる医学的知識・治療よりも、より包括的なケアができるようになったと感じました。
これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は
本書は、今より一歩患者さんに寄り添ったケアをするために読むべき一冊である!
と感じました。
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療現場を思い出しながらまず通読!
●特に聞き取り方という項目については、患者サイドの視点を意識
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
この本の活用方法について、医療従事者がどのように本書を活用すべきかという視点から、解説したいと思います。
著者個人の意見としては、
この本は分量自体も少なく、医療従事者であれば医療知識について解説されているページや図などはある程度速いスピードで通読できると思いますので、個人的には1~2時間あれば全体像を把握することができると思います。
そのため、時間がある方々は是非一度通読してもらいたいと感じます。
特に漫画で示されている病状説明の部分や、患者さんが高度な救命処置をどこまで希望しているか、というところの聞き取り方は必読だと思います。
私自身が三年間悩みながら働いてきた中で身に着けてきた、マインドや言葉選びなどが如実に出てきています。
患者さんの病状説明や治療方針のすり合わせについて悩む若手医師にとっては、ぜひこれらを参考に日々の自分の病状説明の方法について再度検討してもらえると、より学びが深まると思いました。
そのあとは実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。
5.まとめ
【本書のまとめ】
本書は、患者さんの”もしも”のときに寄り添う医療を提供するための道しるべとなる一冊
まとめると、本書は救急医療について、患者さんからの視点で学ぶことができる本当におすすめの一冊です。
この一冊を通じて学ぶことで、
今後治療者としてだけでなく、患者さん家族の視点を持った対応することができます!
今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
【基本情報】
タイトル:命の教科書 東大クイズ王医師×聖路加救急医療チームが伝える! 『もしも』のときの基礎知識
著者:亀谷 航平 (著), 白﨑 加純 (著)
出版社:集英社
発行年月日:2024/3/5
ターゲット層は、
救急外来対応や、集中治療領域などの急性期医療に関わる全ての医療スタッフ
推定読了期間は
2-3時間程度(医療従事者の場合)
【本書の特徴】
●イメージがつきやすいキャラクターが登場
●医療スタッフの方々それぞれの視点で、熱い思いを持って執筆されている文章
【本書で学べること】
●救急科でよく経験するリアルな症例とその家族への対応方法
●患者フォローに関する医学的知識のみならず、金銭的、心理的な知識
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療現場を思い出しながらまず通読!
●特に聞き取り方という項目については、患者サイドの視点を意識
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
【本書のまとめ】
本書は、患者さんの”もしも”のときに寄り添う医療を提供するための道しるべとなる一冊である!
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