心拍数が180回/分ですって報告をもらったけど、何から手を付けよう…?
あれ?数日前から便秘だから下剤をたくさん指示で出してたけど今後は少量の下痢が続く…?
この持参薬継続したいけど今は意識障害で内服できなさそう…どうしよう…
これらは日々病棟管理の勤務中に後輩と悩んでいることで、みなさんもおそらく一度は同じような疑問や悩みを持ったことがあると思います。
病棟指示や病棟管理は、それぞれの施設や先生によってほぼルーチンのように対応されることも多く、これまで研修医時代も含め自分自身も体系的に教わることがありませんでした…
そんなもやもやを抱えていた後期研修医のときに、『レジデントノート2021年5月 号』に出会い、病棟指示や病棟管理の基本をたくさん学ばせてもらいました。
レジデントノート2021年5月号のレビューはこちら
その後もこのレジデントノートにはずっとお世話になっており、出会う後輩たちにもオススメし続けていたのですが、なんとこの2022年12月に、このレジデントノートが完全版として書籍化され出版されたのです…!
そして、この完全版をありがたいことに編著を担当されている松原先生よりご贈呈いただきました。
前作ももちろん素晴らしかったのですが、この書籍はあらゆる点でさらに進化しており、衝撃を受けました…!
本書を読むことで今後の医者人生通じての病棟管理ストレスは激減します!
前作との違いも含めてのレビューと、効果的な使用方法を詳しく解説できればと思いますので、興味がある方は是非ご一読してみてくださいね👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
初期研修医から後期研修医
【推定読了期間】
7-8時間程度
です。
2.本書の特徴
本書は、 松原知康・宮崎紀樹先生が執筆された、一冊です。
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること】
●発熱時や頻脈・徐脈時、SpO2低下時などよくあるシチュエーションでの適切な投薬・処置の指示の出し方と、Dr.Callされたときの考え方・動き方
●持参薬継続の意思決定やマイナートラブルなど、病棟管理で悩みやすい項目の具体的な評価方法やアクションプラン
についてわかりやすく学ぶことができるのが特徴の一冊です。
例えば、発熱時・疼痛時・SpO2低下時・血圧異常・脈拍異常・血糖異常・吐気嘔吐・便秘・不眠不穏といったそれぞれの症候や症状に関して、生理学や生化学の観点から知識を学ぶことができ、その後の管理方法もくわしく解説してくださっています。
加えて、前作からはページ数も実に2倍以上に増えており、下肢動脈血栓症予防や、緊急入院時の各専門科領域における持参薬管理の意思決定、維持透析など特殊な背景をもつ患者の入院時ルーティンアプローチなども網羅的に解説されています。
それぞれの項目に関しては、イラストやフローチャートを活用してなるべく初学者にとってとてもわかりやすく解説されており、著者の方々の優しさがあふれる一冊となっています。
ここまで初学者が悩むポイントに寄り添った書籍は珍しいですし、中でも病棟指示というポイントに特にフォーカスしているのがこの本最大の特徴と言えるでしょう。
どの診療科を専門としても、これら入院患者さんの病棟管理のスキルは基本的にこれらの知識は研修医の先生方にとって、今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると考えますので、非常にニーズは高い一冊なのではないかと思います。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
この本を通読する中でまず感じたのは、ああ…この本は絶対今後ベストセラーと呼ばれる一冊になるだろうな…!ということでした。
病棟指示の本と聞くと、一見少しニッチに感じる分野にフォーカスしており、しかもいわゆる各プロブレムの対処療法的なとりあえずの対応を学ぶ一冊のように感じてしまうかもしれません。
ですが、本書を通読することで実際には病棟で頻度の高い各症候に対する体系的なアプローチを学ぶことができます。
その場の対処療法ではなく、入院加療の過程でプロブレムを解決するための治療方針についても学ぶことができるのです。
また、初期研修医にとってはそれら知識を例え頭に入れていても、どのように活用すればいいのかわからず、なかなか実臨床の現場でアウトプットし患者さんへの介入を変えることが難しいと感じることが多いでしょう。
そこで他職種である看護師さん達と共に治療介入をする上で欠かすことのできない病棟指示が登場します。
病棟指示は、とりあえずのデフォルト治療をするためのもので頭を使わずとりあえずテンプレート入力してしまおうと思っていませんか?
だから、病棟指示について学ぶ労力や時間を割くのはちょっと…と思っていませんか。
実は逆なんです。
病棟指示を各患者さんの持つプロブレムを意識しながら、入院後の治療経過も含めこだわりを持って作成することで、医師の目が届かない時にも看護師さんと協力して質の高い診療を提供できるようになります。
病棟管理って何をどうしたらいいかわからない…と思う初学者こそ、病棟指示について深く学ぶべきなのです!
病棟指示に関しては、安定のレジデントノートクオリティーで、本のページ数も多すぎる事なく完結にまとまっているので、苦痛を感じることなく通読することができます。
それぞれの分野の専門化の先生方が、本書の解説は初学者にも理解しやすいようわかりやすく丁寧に書いてくださっているので、途中で挫折してしまうことも少ないと思います。
さらに、非刺激性下剤の使い分けのフローチャート等が追加され、より充実した内容となっている点も評価ポイントだと感じます。
こんなに密度の高い情報に加えて、持参薬、病棟でのマイナートラブルまで解説してくださっています。
持参薬の継続と中断に関して、研修医の時は薬剤師さんや上級医に聞くしかすべがなく、しかも聞く人によってその意思決定もまちまちだった過去の自分に読ませてあげたい一冊です…。
こんな本が研修医の時にあればどれだけ助かったか…!と感動しながら一気に通読してしまいました。
ここまで想定読者の想いに寄り添った、痒い所に手が届く本はなかなかないと思います。
良くも悪くも慣れてしまうとルーチン化しやすい病棟指示や入院管理ですが、意図と背景知識を踏まえた指示出しができるよう学び直すきっかけになりました。
身が引き締まります。
初期研修医はもちろん、私のような後期研修医にとっても日々の診療を見つめ直す大きなきっかけになり、勉強になる事ばかりの一冊だと感じました。
一度通読して病棟指示について学んだ後でも、半年後や一年後はもちろん、今後医師として診療に当たる上で一生活用することができる一冊なのではないでしょうか。
これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は本書は今後医師人生の中で一生必要な、病棟管理や指示の知識についてわかりやすく学べる研修医必読の一冊である!
と感じました。
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ病棟管理を思い出しながらまず通読
●病棟管理で悩んだ時はいつでも参照しながら実践で学んでいく
●本書を用いて後輩が入力してくれた病棟指示や入院管理をフィードバックすることで学びを深める
著者個人の意見としては、本書の分量は通読しても苦痛とならないページ数なので、まずはこれまで悩んだ診療を思い出しながら通読することをおすすめします。
どこに何が書いてあるかざっくり把握し、いつでも復習できるように付箋を貼ったり、マークしておくと良いでしょう。
その後は実際に経験した病棟管理の前後で読み直して復習することで知識を深められます。
また、学んだ知識は今後の後輩教育でも大いに役立つと感じました。
自分自身、病棟指示について体系的に学んだ記憶はなく、今後はこの本で学んだ知識をベースに自信を持って後輩を指導できるようになったと感じました。
この病棟指示は、どんな入院患者さんにおいても入力する必要があります。
それだけ、後輩を指導する機会も多いということです。
その都度後輩と本書を確認しながらレクチャーし、知識をたくさんアウトプットすることで、より知識を定着することができるでしょう。
5.まとめ
【本書のまとめ】
本書は今後医師人生の中で一生必要な、病棟管理や指示の知識についてわかりやすく学べる研修医必読の一冊である!
まとめると、本書は病棟管理について、わかりやすく学ぶことができる研修医には本当におすすめの一冊です。
この一冊を通じて学ぶことで、
今後呼ばれていたかもしれないDr callの回数が減り、日々の業務がとても効率的になるので、多くの時間と心の余裕が得られることでしょう!
今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です。
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
タイトル:病棟指示と頻用薬の使い方 決定版〜持参薬対応や病棟でのマイナートラブル対処まで、意外と教わらない一生使える知識の詰め合わせ
著者:松原知康・宮崎紀樹
出版社:羊土社
発行年月日:
【ターゲット層】
初期研修医から後期研修医
【本書の種類】
通読系・目次系
【推定読了期間】
7-8時間程度
【本書で学べること】
●発熱時や頻脈・徐脈時、SpO2低下時などよくあるシチュエーションでの適切な投薬・処置の指示の出し方と、Dr.Callされたときの考え方・動き方
●持参薬継続の意思決定やマイナートラブルなど、病棟管理で悩みやすい項目の具体的な評価方法やアクションプラン
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ病棟管理を思い出しながらまず通読
●病棟管理で悩んだ時はいつでも参照しながら実践で学んでいく
●本書を用いて後輩が入力してくれた病棟指示や入院管理をフィードバックすることで学びを深める
【本書のまとめ】
本書は今後医師人生の中で一生必要な、病棟管理や指示の知識についてわかりやすく学べる研修医必読の一冊である!
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