「先生、皮膚に発赤があります。」とコールされた後、カルテに記載したり、皮膚科にコンサルトするとき『皮疹』としか形容することができないことに、もどかしさを感じる…
皮膚科とは、たまに専門科によるsnap diagnosis(パターン認識)であるという意見を聞くことがあるが、どうやって勉強したら良いのだろう?
これらは日々一般病棟で後輩や同僚と仕事をする中で感じる悩みや疑問点であり、
私自身も、この悩みを解消しようとして様々な皮膚科の本を読んでいたところ、この一冊に出会いました。
本書を読むことで、病変の存在部位から皮疹が生じた原因を推測して鑑別診断を考えることができるようになるため、皮膚科専門医にコンサルトする時、さらに良好なコミュニケーションを取ることができるようになります。
今回皮疹を含む皮膚科領域の疾患をもっと理論的に診断したい方が読むべき一冊として自分が自信をもっておすすめするのがこちらです👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
救急外来や病棟で皮疹を見たとき、皮膚科に相談する前にしっかりと評価できるようになりたい方
研修医はもちろん、皮膚科専門医以外すべての医師
【推定読了期間】
3時間程度
です。
2.本書の特徴
本書は、松田 光弘先生が執筆された、
【本書の特徴】
●皮膚科専門医が鑑別を進める際の、思考回路に着目していること
●皮膚科診断のプロセスを、表面性状ごとのフローチャートで示したこと
が特徴の一冊です。
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること】
●鑑別診断を考える際、存在部位から皮疹が生じた原因を推測する方法
●皮膚科における臨床推論や診断学の原則
●表面性状ごと、鑑別診断を行うためのフローチャート
これらは研修医の先生方にとっては今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると思います。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
本書の特徴はなんと言っても、皮膚科医が鑑別診断に至るまでのプロセス、思考回路に着目していることです。
外来や病棟セッティングで経験することの多い紅斑や紫斑の診断の思考回路をわかりやすく解説してくださっています。
本書を手に取ったきっかけとしましては、「湿疹や蕁麻疹、薬疹など、日常で何気なく診断しがちな皮疹をもっと理論的に診断したい」と多く感じていたからです。
普段の病棟診療業務を行う中、皮膚科の知識に特化してアップデートを行う機会は少ないですよね。
日々の中で、皮疹のアセスメントと対応方法について、今一度体系的に学びたいと思いました。
そのため実際にこの本を読み、”皮膚科専門医の一連の思考プロセス”を学ぶことができました。
私の同僚や先輩が、「皮膚科を学ぶならこの本がダントツ!」と推薦してくれる機会が非常に多かったのも頷けます。
何より、本書の解説は皮膚科初学者にも理解しやすいようわかりやすく丁寧に書いてくださっているので、途中で挫折してしまうことも少ないと思います。
たまに「皮膚科というのは、専門科によるsnap diagnosisである」という意見を聞くことがありますが、本当はパターン認識ではなく鑑別を進める思考回路があるのだと知ることができました。
救急専攻の私も、ブラックボックスになっていた皮膚科の鑑別疾患までの思考回路をはっきり理解することができ、これまで皮膚科の医学書に類書はなかった革新的な本だと感じます。
そして、本のページ数も多すぎる事なく完結にまとまっているので、苦痛を感じることなく通読することができます◎
普段実臨床でよく経験するパターンの皮疹の症例が多いため、実臨床で働いている感覚で楽しく約3時間程度で通読することができます。
一度通読して皮疹について学んだ後でも、半年後や一年後はもちろん、今後医師として診療に当たる上で一生活用することができる一冊なのではないでしょうか。
一方で、あくまで個人的な印象ではありますが気になった点としては、あくまで診断理論について言及した書籍であるため、ステロイド外用薬の使い分けや抗ヒスタミン薬などの症例ごとの”具体的治療に関しては、改めて学んだり調べたりする必要がある”という点です。
しかし、皮膚科医の思考回路を学ぶという診断理論こそがこの本の核なので、その点はあまり気にならなかったと言えるでしょう。
本書は、治療の前に診断に至るまでの皮膚科医の思考プロセスを知りたいという方には非常におすすめです。
この点については少しだけ配慮した上で、一度手にとっていただければと思います。
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●すぐに通読できるボリュームなので、まずは数時間で通読
●章末の臨床問題で皮膚科の臨床推論ができるようになっているか、知識を再確認
●日々皮疹を見るたびにこの書籍の型に合わせて毎回診断し、後日の診断結果を確認し経験を積み重ねていく
個人的におすすめの使い方をご紹介します。
著者個人の意見としては、まずは通読をすることをおすすめします。
本書では普段実臨床でよく経験するパターンの皮疹を扱っていますので、楽しく約3時間程度で通読することができました。
本書の最後には、これまでの思考回路をフル活用して診断やアクションプランを決定する巻末問題付がついています。
皮膚科の臨床推論ができるようになっているか、知識を再確認してみましょう。
その後は、日々皮疹を見るたびにこの書籍の型に合わせて毎回診断してみることで、診断方法を身につけることができます。
各症例で基礎の思考回路を何度も繰り返すことで、診断の型を学んで行きましょう。
5.まとめ
【本書のまとめ】
本書は非皮膚科専門医の先生方全員に読んでもらいたい「皮疹の診かた」の入門書の決定版である!
まとめると、本書は皮膚科疾患について、わかりやすく思考回路を学ぶことができる本当におすすめの一冊です。
この一冊を通じて学ぶことで、救急外来や病棟で皮疹を見たとき、皮膚科に相談する前にしっかりと評価できるようになります!
今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎
以下に要点や基本事項をまとめましたので、購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
タイトル:誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた
著者:松田光弘
出版社:医学書院
発行年月日:2021年12月
ターゲット層は、
救急外来や病棟で皮疹を見たとき、皮膚科に相談する前にしっかりと評価できるようになりたい
研修医はもちろん、皮膚科専門医以外すべての医師
推定読了期間は
約3時間程度
【本書の特徴】
●皮膚科専門医が鑑別を進める際の、思考回路に着目していること
●皮膚科診断のプロセスを、表面性状ごとのフローチャートで示したこと
【本書で学べること】
●鑑別診断を考える際、存在部位から皮疹が生じた原因を推測する方法
●皮膚科における臨床推論や診断学の原則
●表面性状ごと、鑑別診断を行うためのフローチャート
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●すぐに通読できるボリュームなので、まずは数時間で通読
●章末の臨床問題で皮膚科の臨床推論ができるようになっているか、知識を再確認
●日々皮疹を見るたびにこの書籍の型に合わせて毎回診断し、後日の診断結果を確認し経験を積み重ねていく
【本書のまとめ】
本書は非皮膚科専門医の先生方全員に読んでもらいたい「皮疹の診かた」の入門書の決定版である!
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