病院前でFAST陽性ショックの患者さんが来院する!チーム内でどんなことを共有すればいいだろう?
緊急手術はどこで実施するのがよいだろう?その時に申し送りしないといけないことはなんだろう…?
これらは日々ERで重症外傷患者さんの初期治療をする中で感じる悩みや疑問点です。
私自身もコマンダーや、サポートのスタッフとして日々外傷診療を行う際にいつも思うのは、
外傷初期診療においては手技や治療方針以上に、協力してくれる医療スタッフとの連携やコミュニケーションが大事
ということです。
今回はこのような外傷における治療戦略の決定と、それを実行するためのチームマネジメントを学ぶ一冊として本書を紹介させていただきます。
本書を読むことで
今後多発の重症外傷患者さんに出会った際に、チームで協力しながら自信を持って対応するヒントを手に入れることができるでしょう!👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
外傷初期診療に関わる全ての医師・看護師
【推定読了期間】
4-5時間程度
です。
2.本書の特徴
本書は、外傷外科手術治療戦略(SSTT)コース運営協議会で作成された一冊です。
【本書の特徴】
●外傷外科医および看護師を含む外傷チームを養成するため、off the job trainingとして開発されたSSTTコースの公式テキストブック
●重症外傷患者の救命のために4つの要素(迅速性と的確性、戦略、戦術、チームワーク)をあげ、重症外傷手術の質の向上に資することが目的
一部引用)
へるす出版 改訂第2版 SSTT 外傷外科手術治療戦略(SSTT)コース 公式テキストブック (herusu-shuppan.co.jp)
SSTTコースとは…?
<SSTTコース=外傷外科手術治療戦略(Surgical Strategy and Treatment for Trauma)コース>
外傷外科手術における戦略決定能力とスキルやチームワークを習得する目的で、医師・看護師を対象として開発されたわが国独自のトレーニングコース
JATECの理念と重症外傷診療の特殊性の理解のうえに,座学や実習を通して修得していく
一部引用)
へるす出版 改訂第2版 SSTT 外傷外科手術治療戦略(SSTT)コース 公式テキストブック (herusu-shuppan.co.jp)
2013年の第1版出版後より、外傷診療に対する戦略・戦術に関しての新たな知見の報告やさまざまな経験が蓄積されたことを受け、その集大成として2018年に改訂第2版が刊行されました!
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること】
●重症外傷患者の救命のために4つの要素(迅速性と的確性、戦略、戦術、チームワーク)
●治療方針決定に不可欠な知識である、ダメージコントロールや外傷死の3徴などの概念
●損傷臓器毎に知って置かなければならない、具体的な一次止血術や根治的治療の流れや準備すべきこと
これらは外傷初期診療に関わるすべての医療従事者は学んでおくべき大切な事項であると思います。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
本書の特徴はなんと言っても、よくある医師向けのプロバイダーコースの公式テキストではなく、看護師さんと一緒に受講することを念頭に作成されていることです。
お互いの職種の事情や、知って置かなければならない前提知識を共有することで、
現場でのスムーズなコミュニケーションを行うことができます。
そして肝となるのはコミュニケーションや専門科へのコンサルト時のテクニックや注意べきことについても丁寧に言及されていることです!
基本的にこのSSTTコースを受講することを前提に作成されているテキストではありますが、本のページ数も多すぎる事なく完結にまとまっているので、苦痛を感じることなく通読することができます◎
本書の解説は初学者にも理解しやすいよう外傷初期診療に必要なダメージコントロールや外傷死の三徴などの知識の整理から各論へと話が展開されていくので、途中で挫折してしまうことも少ないと思います。
これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は
本書は外傷初期診療および外科的治療に関わるすべての医療従事者が理解しておくべき基本事項が網羅されている一冊である!
と感じました。
注意点としては、本書はJATECなどの外傷初期診療の初期評価に関する知識があるて程度理解されている前提で展開されていくので、もしそれらの知識についてまだ理解が不十分だと感じた際にはPTLSやJATECをしっかりと読み込んでから本書に取り掛かるといいかと感じました。
外傷初期診療の初期評価についてしっかりと学びたい方はこちらの一冊もオススメです👇
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●通読できるページ分量なので、まずはざっくりと通読する
●自分自身が勤務する病院での外傷治療の流れについて本書を参考にしながら再確認する
●自分自身が感じた施設での問題点を考え、それらを改善できるよう各スタッフ間で情報共有やミーティングを行う
●本書を読んで興味が湧けばSSTTコースを受講する
個人的におすすめの使い方をご紹介します!
まずは、分量としてもそこまで多くはないので一度さらっと本書を通読し理解を深めることをおすすめします。
そのあとは実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。その際におそらく、自分自身が勤務する病院では外傷治療の理想的なフローになっていない問題点がきっといくつか抽出されるでしょう…
そこで感じた問題点を上司や各医療従事者と共有し、各施設での最善の治療戦略を常に考え続けることで、より具体的な外傷初期診療の流れを学ぶことができると感じました。
また、私自身は本書を読んでSSTTのコースに興味を持ちましたので先日実際に受講させていただいたところ、とても実りのある講習を受けることができたので興味がある方は是非参加してみていただきたいです。
私が参加したのは公式のSSTTコースの中の一日Web座学コースだったのですが、座学と入ってもオンライン上で半分以上は想定症例での治療方針について議論し合うといった内容だったので、能動的な学びを得られる素敵なコースだと感じました!
5.まとめ
【本書のまとめ】
本書は外傷初期診療および外科的治療に関わるすべての医療従事者が理解しておくべき基本事項が網羅されている一冊である!
まとめると、本書は外傷初期診療のチームでの治療戦略について、深く学ぶことができる本当におすすめの一冊です。
今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
【基本情報】
タイトル:外傷外科手術治療戦略(SSTT)コース公式テキストブック
著者:外傷外科手術治療戦略コース (著)
出版社:へるす出版
発行年月日:2018/12/1
【ターゲット層】
外傷初期診療に関わる全ての医師・看護師
【本書の種類】
辞書系・参照系
【推定読了期間】
5-6時間程度
【本書の特徴】
●外傷外科医および看護師を含む外傷チームを養成するため、off the job trainingとして開発されたSSTTコースの公式テキストブック
●重症外傷患者の救命のために4つの要素(迅速性と的確性、戦略、戦術、チームワーク)をあげ、重症外傷手術の質の向上に資することが目的
一部引用)
へるす出版 改訂第2版 SSTT 外傷外科手術治療戦略(SSTT)コース 公式テキストブック (herusu-shuppan.co.jp)
【本書で学べること】
●重症外傷患者の救命のために4つの要素(迅速性と的確性、戦略、戦術、チームワーク)
●治療方針決定に不可欠な知識である、ダメージコントロールや外傷死の3徴などの概念
●損傷臓器毎に知って置かなければならない、具体的な一次止血術や根治的治療の流れや準備すべきこと
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●通読できるページ分量なので、まずはざっくりと通読する
●自分自身が勤務する病院での外傷治療の流れについて本書を参考にしながら再確認する
●自分自身が感じた施設での問題点を考え、それらを改善できるよう各スタッフ間で情報共有やミーティングを行う
●本書を読んで興味が湧けばSSTTコースを受講する
【本書のまとめ】
本書は外傷初期診療および外科的治療に関わるすべての医療従事者が理解しておくべき基本事項が網羅されている一冊である!
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