【疑問】
今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、
ビタミンB1の特徴や具体的投与量、治療に用いた際の副作用
についてまとめました。
普段からERやICUでよく使用する薬剤であるからこそ、これを機会にしっかり学んでおきましょう◎
1.チアミン(ビタミンB1)の生化学まとめ
【チアミン(ビタミンB1)】
• 水溶性ビタミン
• 肉、卵黄、緑色野菜、米の胚芽、麦などに多い
• 余剰分は体内に貯蔵されず全て尿中に排泄される
• 生体内に蓄えられるのはわずか30mg。
• 糖代謝の補酵素となる(上図参照)
• ブドウ糖はB1の需要を増大させ、欠乏症状を悪化させる
画像引用)
http://omoromachi.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-55886a.html
まず、ビタミンB1について臨床で役立つ生化学について簡単にまとめました。
まず注意しておかなければならないこととしては、ビタミンB1(チアミン)の余剰分は体内に貯蔵されず全て尿中に排泄されているということです。
生体内に蓄えられるのはわずか30mgといわれており、食事摂取などによる補給がなければ10日で枯渇すると言われています。
すなわち、毎日補充する必要があるということです!
そしてもう一点注目すべきポイントとしては、解糖系の補酵素であるという点ですね。ブドウ糖を体内に取り込んで分解し、エネルギーを産生するときにチアミンを消費します。
低血糖患者さんなどで急速にブドウ糖投与を行う際には、血糖が改善される一方で急速にチアミンも消費されているのです。
これにより、低栄養状態の患者さんに対して急速にブドウ糖投与を行うことによる医原性Wernicke脳症が生じてしまいます。
チアミン欠乏のリスクが高そうな患者さんの対応をする際には、常に意識しておきましょう!
チアミン欠乏のリスクファクターや、ERでの妥当な対応についてまとめた記事がコチラ👇
2.チアミン欠乏を疑ったら…
ERや病棟の患者さんで、チアミン欠乏を疑った際に、チアミンはどの程度投与したらいいのでしょうか?
文献等で推奨されている投与量に関してコチラにまとめました👇
【Up To Date】1)
500mg(30分以上かけて静注)×3回/日 連続2日間
500mg静注もしくは筋注×1回/日 連続5日間
100mg/日 経口
【Lancet】2)
500mg(30分以上かけて静注)×3回/日
連続2-‐3日間
👇
効果あり
250mg(静注もしくは筋注)×1回/日
連続3-‐5日間 もしくは 臨床症状が改善するまで
効果なし
投与中止
結構な高用量を投与する場合もありますね…!
たくさんのバイアルを開けて、シリンジポンプで持続投与されているのを見たことある方も多いとは思います。
ちなみに、気になるお値段ですが、
アリナミンF100注* 134円
• フルスルチアミン(B1) 100mg
ビタメジン注* 140円
•チアミン塩化物塩酸塩(B1) 100mg
•ピリドキシン塩酸塩(B6) 100mg
•シアノコバラミン(B12) 1mg
と、意外と安いんです◎
3.注意すべき合併症
経験的に投与することも多いチアミンですが、気になる治療の副作用について簡単にまとめました👇
【989症例(1070投与)に100mgのビタミンB1を急速静注(前向き)】3)
• 1症例に全身性掻痒感( 0.093%)
• 11症例に局所的なかぶれ( 1.02%)
アナフィラキシーの報告はありますが、頻度としてはかなり低いと言われているので、チアミン欠乏疑ったら救急外来では躊躇せず投与しても良さそうですね◎
4.引用文献
1)Up To Date Wernicke encephalopathy Author:Yuen T So, MD, PhD
2)Lancet Neurology 2007; 6: 442-‐55
3)Annals of Emergency Medicine 1989; 18: 867-‐70
この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は
今後も定期的に記事を更新していきますので
各種SNSの登録よろしくお願いいたします!
【公式ラインアカウント】
各種SNSでのコンテンツ配信を定期的に配信!
この中でしか見られない限定動画配信もしています◎
日々のスキマ時間に気軽に見ることができるので、興味があれば是非登録していただければ幸いです!
コチラのボタンをタップ!👇
みなさまのリアクションが今後の記事を書くモチベーションになります!